14 合同演習、大勝利
「ひ、ひいいい……」
俺の目の前で、彼女は震えていた。
宮尾千佳。
萌とよくつるんでいるギャル系の女子生徒だ。
明るくてよく笑う性格だったはずだけど、今は俺の前でおびえていた。
自分のスキルでは俺に対抗できないと悟っているからだろう。
彼女のスキルはいわゆるデバフ系の【アタックダウン】。
効果範囲が狭い代わりに、一対一の局面では有効なスキルだ。
けれど――、
「俺は君のスキルの射程外から遠距離攻撃で君を倒せる。降参しろ」
そう、俺の【フライングソード】や【ファイアバスター】は彼女のスキルの効果が届かない場所から一方的に攻撃できるんだ。
これでは千佳に勝ち目はない。
「ううう……時雨ごときに降参なんてぇ……屈辱ぅ」
彼女は歯噛みしていた。
「落ちこぼれのクソダサ時雨に、なんであたしがぁ……」
顔が真っ赤だ。
俺は相当見下されてたんだな。
「ここまできたら『詰み』だと思うぞ。無駄に君を攻撃したくない。降参してくれ」
「ば、馬鹿にしないでよ! あたしだって勇者なんだから! スキルを使えば――」
「使ったところでどうにもならない」
俺は淡々と説いた。
「俺のスキルには遠距離攻撃系のものが複数ある。君のスキルの範囲外から、いくらでも攻撃できる。【アタックダウン】自体は強力なデバフ効果があるけど、効果外からの攻撃には対処できない」
「うぐぐぐぐ……」
「もう一度言うぞ。降参してくれ」
「うぐぐぐぐぐぐぐぅぅぅ……」
顔を真っ赤にしながら、千佳は悔し涙を流していた。
――しばらくして、千佳は降参を宣言。
彼女の頭上に赤い光球が点滅した。
こうして三人の勇者は俺がすべて撃破した。
あとは、残る騎士や魔術師を倒すだけだ。
と、
「おっ。あれはセイラの【コントロールボム】だな」
俺は前方で縦横無尽に跳ね回る光弾を見つめた。
瀬良セイラの光弾【コントロールボム】はその名の通り、本人の意志によって自在に動き回り、さらに任意のタイミングで爆発する光弾を操るスキルだ。
すでに勇者がいない敵陣営は、セイラのスキルによって薙ぎ払われていく。
騎士たちではこのスキルに対抗できない。
変幻自在の光弾は回避するのは無理だし、防御しても盾を貫く。
かといって、魔術師の魔法でも撃ち落とせない。
セイラの無双状態だった。
「勝負あり、だな」
十分後、敵軍は全員が『死亡』判定となり、俺たちの完全勝利が確定した。
「すごい、こんなに簡単に勝てちゃうなんて……」
萌は驚いた様子だ。
「ふん、今回はあんたのスキルが上手くはまったみたいね」
と、鼻を鳴らすセイラ。
「……まあ、ちょっとだけ認めてやらないこともなくもなくもないわ」
「どっちだよ」
俺は苦笑して、
「今日はもう一試合ある。こっちも勝って気持ちよく終わろう」
「……それは無理」
セイラがうつむいた。
「えっ」
「次の対戦相手の面子、見た? はっきり言って、無理ゲー。クラス最強が固まってるよ」
そういえば、次の相手のチェックをしていなかった。
「一体誰がいるんだ――」
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