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3 スキル【ネクロマンサー】が第二段階へ到達

「スキルの効果が追加された、ってことか――?」


 俺は戸惑いながら、それらの文を読み上げた。


「おあつらえむきにモンスターの一群が現れたぞ、マスター」


 ミラージュが言った。

 振り向くと、通路の一方から十数体の狼型モンスターが近づいてくる。


 剣のような牙を備えた大型の狼――『ソードウルフ』だ。


「討て」


 俺は短く告げた。


「承知」


 剣を抜いてミラージュがソードウルフの群れに突っこんでいく。


 ざしゅっ、ざんっ!


 一瞬で勝負は決した。


 道中、何度かモンスターに襲われ、そのたびにこいつに討伐してもらったけど、本当に圧倒的な強さだ。


 数秒後にはすべてのソードウルフが斬り殺され、倒れていた。

 と、




『スキル【ネクロマンサー】が発動しました』

『「ソードウルフ」13体の魂を隷属させ、しもべにすることが可能です』

『しもべにしますか?』




「これは――」


 今までなら最下級のゴースト以外のモンスターを倒したとき、こんな表示がでたことはない。


 クラスの連中がモンスターを退治しても、俺がそれをしもべにすることはできなかったんだ。


「スキルが第二段階に進んだから、ゴーストやスケルトン以外のモンスターをしもべにできるようになった、ってことか……」


 ソードウルフは中級程度のモンスターだけど、13体いればそれなりの戦力になるだろう。


 もちろんミラージュは圧倒的に強いけど、一体しかいないからな。


「13体全員をしもべにする――けど、こいつらをゾロゾロ連れ歩くのは大変だな……」

「それは問題ない」


 ミラージュが言った。


「しもべにしたアンデッドはマスターの『影』の中に収納可能だ」

「えっ、そうなのか?」




 俺はミラージュとともにダンジョン内を進んでいく。


 アンデッドを服従させる能力が飛躍的にアップしたため、ダンジョン内を案内できそうなアンデッドをしもべに加えるのが、次の目的だ。


 そうすれば、この迷宮を抜け出して地上まで帰還できるだろう。


「あれだ」


 ほどなくして、ミラージュが前方を指さした。


 全長一メートルほどの、巨大な甲虫型のモンスター……『ダンジョンワーム』だ。


 名前の通り、ダンジョンではよく見かけるタイプのモンスターである。


「奴はダンジョン中を徘徊している。あらゆる通路を知り尽くしているはずだ」

「あいつを倒してから、しもべにすればいいんだよな?」

「然り。今のマスターなら、問題なく服従させられるはずだ」


 ミラージュが言った。


「私が倒してくるか? それともマスターが自分でやるか?」

「えっ」


 ミラージュの言葉に俺は思わず聞き返した。


「俺が、自分で?」

「スキルが第二段階に進んだことで、しもべにしているアンデッドたちの能力の一部が、マスターのステータスに上乗せされている。今のマスターは、身体能力や感知能力、魔力などが大幅に上がっているはずだ」

「えっ、そうなのか?」


 言われてみれば、体が軽くなっているような気がする。


 俺のしもべ――現在はソードウルフ13体とミラージュ――の力の一部が、俺の力を上乗せしている、か。


「ステータスは表示できるはずだ。やってみたらどうだ?」

「えっ」


 なんで、そんなことを知ってるんだろう?

 不思議に思いつつ、俺は試しにこう口にしてみた。


「ステータスオープン」


 異世界ファンタジー漫画なんかでお決まりの、あのセリフだ。

 すると、


***

名前:時雨

筋力:2→51

速度:3→66

耐久:1→39

魔力:5→128


追加スキル

【斬撃】【シールド】

***


「えっ、これって……かなり強くなってないか?」


 具体的にこの数字がどの程度の強さなのかは分からない。


 ただ、元の数字は俺の体力や魔力を示しているはずだ。

 そして、その数字は一般的な高校生と大差ないはず(魔力は別として)。


 となると……上昇後の数字は、かなりすさまじい。

 俺は人間離れした能力を得たってことじゃないのか、これ。


「しかも追加スキルって項目があるな。【斬撃】と【シールド】……?」

「それは私のスキルだ」


 ミラージュが答えた。


「えっ」

「しもべの力の一部をステータスに加え、同時にしもべのスキルも使用可能になったんだろう」


 と、ミラージュ。


「ただ、私には【斬撃】や【シールド】以外にもいくつかのスキルがあるから、マスターが使えるのは一部のスキルだけのようだが……」

「なるほど」


 それでも、十分にすごい。


 正直、テンションがめちゃくちゃ上がって来た。


 強くなったんだ、俺――。

 純粋に嬉しい。


 とはいえ、過信は禁物だ。


「今後のためにも、俺自身の戦闘能力をテストしておいてもいいかもしれないな」


 俺は懐からナイフを抜いた。

 俺の唯一の装備である。


「……やばそうなら援護を頼むぞ、ミラージュ」

「心得た」


 と、剣を構えるミラージュ。

「少しでも危ないと判断したら、すぐに私が割って入ろう」


 まったく頼もしいかぎりだ。


 俺は甲虫型のモンスター『ダンジョンワーム』と向かい合った。

 こいつの上位種の中には外殻がやたら硬くて剣が通らないタイプもいるが、通常の『ダンジョンワーム』は動きも遅く、ナイフで十分に倒せるはずだ。


 とはいえ、俺の体力じゃ互角の勝負くらいにしかならないんだけど――。


「……いや、今はパワーアップしてるってことだから、なんとか」


 やってみるか――。

 俺はナイフを手にジリジリと近づく。


 ヴンッ。


 ダンジョンワームの目が青から赤になった。

 俺を敵と認識したのだ。


 さあ、戦闘開始。

 俺はさらに間合いを詰める。


 ダンジョンワームもジリジリと近づいてくる。


 タイミングを図り、俺は一気にダッシュした。

 そのまま奴の背後に回り込み、ナイフで一撃を加える作戦だ。

 と――、


「えっ、軽い!?」


 スキルが解放されて以来、『以前より体が軽い』感じはあったんだけど、走り出すとその感覚が大きくなった。


 俺はオリンピック選手も驚きの超スピードであっという間にダンジョンワームを抜き去る。


 そのまま背後に回り込み、


「【斬撃】!」


 スキルを発動しながら一撃を加えた。


 きゅいいい。


 小さな悲鳴とともに絶命するダンジョンワーム。


 意外なほどあっけなく勝ってしまった。


 それだけ俺が強くなった、ってことか――。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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[気になる点] ワームってミミズとかイモムシとかの細長くてウネウネしたやつの総称なのに甲虫なのか
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