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4 俺は剣咲を圧倒する


「何やってんだよ、那由香。また時雨なんかと話して」


 不快な態度をあらわにした少年が歩いて来た。

 暴力的な雰囲気の男子生徒――剣咲(けんざき)(じん)だ。


「へへ……時雨なんて放って俺と付き合えよ。いい加減、俺のものになっちまえよ、ええ?」


 剣咲は舌なめずりをした。

 その視線が那由香の胸元や腰回りを這いまわっていた。


「剣咲……」


 言い知れぬ不快感を覚え、俺は半ば無意識に二人の間に立つ。


 もちろん、俺は那由香の彼氏とかじゃない。


 剣咲が那由香にアプローチしたとしても、俺に止める権利はない。


 でも……彼女が暴力的に何かされそうになっているなら、話は別だ。


 何かあれば彼女を守る。

 そのために俺は剣咲の前に立ちはだかった。


「なんだ、てめえ!」


 その態度が彼を激高させたようだ。

 俺を押しのけるようにして那由香に詰め寄る。


「おい、俺と行くぞ! こんな奴と一緒にいるんじゃねーよ!」

「い、嫌……」


 那由香は嫌悪感をあらわに後ずさった。


「前に『俺のモノになれ』って言ったよな。あの返事はどうなったんだよ、ええ?」

「返事も何も……あなたの告白は断ったでしょう」

「生意気なこと言ってんじゃねーよ。俺のモノになる、ってことを光栄に思わないのか」


 剣咲の怒りは収まらない。

 実に理不尽だった。


「お、思わない……」


 言いながら、那由香の声は震えていた。


「そこまでにしろ、剣咲」


 俺はふたたび二人の間に割って入る。


 ――怖さは微塵も感じない。


 一触即発の空気だけど、俺はひるまない。

 臨戦態勢だ。


「あ? 最底辺のゴミムシはどっか行ってろよ」


 剣咲が俺をドンと突き飛ばす。


 ――いや、突き飛ばそうとした。


 俺は奴の腕を片手でつかみ、軽く握る。


「っ……!?」


 たちまち剣咲の表情が変わった。


「い、いてえ……ううう」

「彼女に対して乱暴な言動はよせ」


 俺は剣咲の腕を片手で握り、軽く痛みを与えながら警告した。


「放せ……うう」


 剣咲は力を込めているようだが、がっちり握った俺の手はビクともしない。


 当たり前だ。

 お互いの腕力が違いすぎる。


【ネクロマンサー】のスキル解放に伴い、俺のステータスが大幅にアップしたおかげで、もうクラスの他の連中とは身体能力に大きな差がついてしまったんだろう。


 しかも田中や鈴木――いやソードマンとレッドメイジをしもべにしたことで、俺のステータスはさらに上昇した。


 今や剣咲も、俺にとって取るに足らない相手になったわけだ。


「駄目だ。見過ごせない」


 俺は剣咲を真っ向からにらみつけた。


「那由香は、俺の大切な友だちだ」


 互いの視線がぶつかり合う。


 一瞬にして剣咲がひるんだ。

 目が泳ぎ、おびえた様子を見せる。


 あの剣咲が、クラス内で最底辺の俺に対して――。


「く、くそっ……」


 剣咲は腕をひねるようにして、強引に俺の手を振り払った。


「殴られなきゃ分かんねーか? ええっ」


 怒声と共にパンチを繰り出してくる。


 だけど、ステータスが上がった俺の前では、こいつの動きなんて――。

 俺はわずかに横に動いて、彼のパンチを避けた。


「えっ……!?」


 カウンターで一撃を繰り出す。


「がはっ……」


 俺の拳一発で、剣咲は体を『く』の字に折り曲げ、崩れ落ちた。


 悪いな。

 俺も黙って殴られるのは、もう御免だ。


「今までとは立場が逆になったな」


 俺は倒れた剣咲を冷ややかに見下ろす。


 なるほど、俺はいつもこうやって見下ろされてたわけか。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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