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3 剣と炎の力を得る


「スキルが増えてる……」


【フライングソード】は田中の、【ファイアバスター】は鈴木のスキルである。


 しもべにしたアンデッドの能力の一部が俺のステータスに上乗せされ、同じくしもべのスキルの一部を使用可能になる――。

 それは『元人間』がアンデッドになった時も同じようだ。


 ミラージュの【斬撃】や【シールド】に加え、田中と鈴木のスキルも加わったし、戦闘で重宝しそうだ。


 ミラージュのスキルも強力だけど、近接戦闘系だからな。

 それに対して、田中と鈴木の能力は中距離から遠距離を攻撃できる。


 これで俺の戦い方にも幅ができるわけだ。


「だんだん強くなってきたのかもしれない、俺……」


 正直、嬉しかった。


「あ、そうだ。みんなの前ではお前たちが生前に田中と鈴木だったことは言わないでくれよ」

「承知しました、マスター」


 二人は恭しくうなずいた。


 うーん……生前と態度が全然違うなぁ。


「俺の能力は、強いしもべが増えれば増えるだけ、より強くなるんだ。お前たちも存分に働いてくれ……成仏するまでな」


 こいつら、本当の成仏するんだろうか?


 それとも、ずっとこのまま――?


 分からないけど、今はとりあえず俺の配下として働いてもらうことにした。




「じゃあ戻るか。とりあえず討伐任務の報告をしなきゃな」


 俺はクラスメイトたちに言った。


「時雨」


 そのうちの一人が俺の前まで歩いてきた。


 ジッと見つめられる。


「その……助かった」


 よく見ると、目が潤んでいる。


 恐怖と安堵からだろうか。


 確かに今回の敵は今までの魔族とは段違いだったみたいだし、しかもこっちには犠牲者が二人出ている。


 他の連中も殺されてもおかしくなかった。


 ……もちろん、俺だって立ち回りを間違えれば死んでいたかもしれない。


「ありがとう、時雨」

「時雨くんがいなかったら、私たち殺されてたよ……」


 他のみんな泣き顔だ。

 どうやら俺に感謝しているらしい。


「いや、みんなが無事でよかった」


 俺は戸惑いつつも、そう言った。


 クラスの連中から感謝されるなんて初めてだし、こんな風に扱われることに慣れていなかった。


 まあ……悪い気分じゃない。




 というわけで、俺たちは王城に戻ってきた。


 犠牲を出しつつも、初めての中級魔族討伐ということで、王様から褒賞をもらうことになった。


 で、中級魔族を撃破した俺には、特に厚い褒賞がもらえるということで、一人で王様と謁見することになった。


 ちょっと緊張する。


「ちょっと早く来すぎたかな……そうだ、ラウンジでまとう」


 城内の一室を、俺たち『異世界の勇者』専用スペースとして与えられている。


 そこで謁見までの時間を潰すことにした。

 と、


「時雨くん」

「那由香――」


 ちょうど那由香と出くわした。


「あ、これから王様に褒賞をもらうのよね? おめでとう」

「はは、ありがとう」

「今回の敵……強かったんだよね?」

「ああ、そうだな……」


 初めての犠牲者が二人出た。

 そして、その二人は俺の新たな力へと変わった。


「そんな敵からクラスの人たちや村の人たちを守るために……体を張って戦ったんだよね?」

「……まあ、な」

「勇気、あるね」


 那由香が俺を見つめる。


「すごいよ」


 那由香に言われると、特に嬉しかった。

 同時に、ちょっと照れてしまった。


 やっぱり那由香と一緒にいるときは心が安らぐ。


 この異世界における唯一の癒しの時間だ。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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