27 重圧(豪羅視点)
毎日が恐怖で……不安で押しつぶされそうだった。
最近は眠れない夜が続いている。
――周りの奴らは、俺を見てどう思ってるだろうか。
豪羅はため息をついた。
コワモテで、いつも喧嘩腰で乱暴者。
はたから見れば『怖い者などない』――そう見えるだろう。
「どいつもこいつも……馬鹿ばかりだ」
豪羅は自嘲気味につぶやいた。
本当は全然違う。
スキンヘッドで、常に威圧的な表情をしているのは怖いからだった。
自分自身の弱さを、誰にも悟られたくないからだ。
人より体格に恵まれ、ケンカなら、そうそう負けたことはない。
だが、本当は他人と争うのは苦手だった。
人と向き合うのは、怖い。
だから――やられる前にやる。
先手を打って叩き潰す。
豪羅は、そうやって生きてきた。
だが――この異世界では、それだけでは通用しない。
今までは『学生』という身分で、学校や社会に保護されていた部分があった。
が、異世界における豪羅たちは『勇者』だ。
彼らから頼られ、世界の救済という重すぎる責任を背負う立場だった。
当然、彼らを守ってくれる者などいない。
豪羅たちこそが、人々を守らなければならないのだから。
心理的な重圧は日増しに強くなる一方だった。
「もう……限界かもしれないな」
必死に保ってきた仮面が、ひび割れていくのを感じる。
「怖い――」
思わず声が漏れた。
か細く、震えている。
「怖いよぉ……」
駄目だ。
もう隠しきれない。
豪羅の心は、既にボロボロだ。
崩壊が始まっている――。
と、そのとき扉がノックされた。
「――だ、誰だ」
慌てて涙をぬぐい、扉の向こうに呼びかける。
「お休み中、申し訳ございません。勇者様」
城の騎士のようだった。
「王がお呼びです。あなた様に頼みたいことがある、と――」
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