22 ふたたび人間界へ
「うっ……!?」
気が付くと、景色が一変していた。
「ここは――」
周囲を見回す。
空気が、違う。
魔界のどんよりと体にまとわりつくような、あの澱んだ空気じゃなくなっている。
もっと爽やかで、清涼感のある空気だ。
前方には草原が広がり、遠くに森が見える。
街道が一本通っていて、遠くに町の影があった。
「戻ってきた……!?」
そう、俺は人間界に戻ってきたんだ。
――ってことは、もう魔界には行けない、ってことだろうか。
サイクスの言葉が真実なら、そうなる。
「……とにかく城に帰らなきゃ」
俺は歩き出した。
城門が見えた瞬間、俺はようやく息をついた。
ここに戻るまでの道のりは長かった。
魔王軍の拠点からの脱出。
増大したスキルと、それを活かした戦闘は、もはや今までのレベルとは大きく違っていた。
そして帰還。
本当に戻ることができるのか、ずっと不安だったし、意図したものとは違う方向性になったけど――今ようやく王都の門の前に立っている。
城門の前には騎士たちが並んでいた。
魔族を警戒してのことか、今までのように衛兵ではなく正規の騎士たちだ。
「し、時雨様!? 本当に時雨様なのですか!?」
俺の姿を見つけるなり、彼らはいっせいに目を見開いた。
「ああ、今帰った」
俺が答えると、騎士たちは一瞬の沈黙のあと、次々に歓声を上げた。
「時雨様、ご無事で戻られたのですね!」
「まさか生きて帰ってこられるとは……!」
「すぐに国王陛下に知らせを!」
騎士たちが慌ただしく動き出す。
すぐに城内へと案内され、広間へと通された。
「時雨くん!」
「時雨!」
クラスメイトたちが駆け付けてきた。
ああ、こいつらに会うのも随分久しぶりのような感覚だ――。
「時雨くん、よかった――」
最初に俺の元まで来たのは那由香だった。
俺の手を取り、ボロボロと泣き出す。
「ずっと心配してた……魔族と一緒に……その……」
「色々あったけど、なんとか戻ってくることができたよ」
俺は那由香に微笑んだ。
「うん、よかった……おかえりなさい、時雨くん」
那由香は泣き笑いで言った。
よかった。
彼女の笑顔に再会できたことが、何よりも嬉しい――。
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