19 宿命の対峙
「おおおおおっ!」
俺が繰り出した剣が三体の高位魔族をまとめて屠った。
背後から、しもべ化した13体の高位魔族が援護してくれたことも大きく、俺は三体が相手でも楽勝だった。
「これで高位魔族撃破16体――!」
俺のステータスは既に大幅に上がっており、高位魔族ですら敵じゃない。
もう、このまま魔王城を攻め落とす選択もアリかもしれない。
もちろん、確実な勝算を立てなければいけないことと、人間界に戻る手段を確保した上で、だ。
「それに――俺が魔王を倒した、っていう確かな証拠も手に入れる必要があるな」
魔王を倒した後、俺たちは元の世界に帰してもらう約束になっている。
ただ、魔界で魔王を倒してしまうと、人間界に戻ったときに『本当に魔王を倒したのか?』という疑義が生じるだろう。
最悪の場合、俺の虚言扱いされ、魔王討伐を認められないことも考えられる。
そう成ると、俺たちは元の世界に戻る手段を失いかねない。
「魔王城を攻めるにしても、その辺りの懸念点を全部洗いだし、クリアしてからだ」
「そうはいかんな」
「……っ!?」
気配も、何もなく。
突然、そいつは俺の前に現れていた。
「お前――」
「随分と暴れ回っているようだな、時雨」
目の前の男が言った。
「サイクス……!」
「魔王様の命を受け、俺がお前を討つ」
いよいよ、お出ましか。
こいつはおそらく高位魔族でも最強レベルのはず。
逆に言えば、こいつに勝てるようなら、今の俺に勝てる魔族はほとんどいないと考えていいだろう。
「試してみるか? 今のお前と、俺と。どちらが上か」
「そうしよう」
言うなり、俺は予備動作なしで剣を抜き放った。
「――!」
サイクスは驚いた顔でバックステップし、斬撃を避ける。
「もはや別人だな……人間がここまでの身体能力を備えるとは」
うめくサイクス。
「いや、もはや人間ではないのかもしれんな」
「俺は――人間だ」
剣を構え、言い放つ俺。
「人間として戦う。人間として魔族を倒す。そして、戦いを終わらせるんだ」
「ああ、終わらせる」
サイクスの手に黒い光が集まり、剣になった。
「お前を殺して、な」
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