11 打倒、高位魔族3
「……いいだろう。人間ごときに魔法を使った屈辱を晴らすには、お前を剣だけで殺すしかない」
ガラがうなった。
「お前の挑発を受けてやる。たとえ、それでお前が有利になったとしても――」
剣を振りかぶるガラ。
「俺が人間ごときに負けるはずがないんだぁぁぁぁっ!」
絶叫とともに、その剣を振り下ろした。
ごうっ!
衝撃波が吹き荒れ、大地が割れる。
さすがに、とんでもないパワーだった。
ガラの正面に立つと、この衝撃波が次々に飛んでくるだろう。
俺は奴の側面に回り込むようにして疾走を開始した。
「無駄だ! 俺のこの【爆剣波】からは逃れられねぇ!」
ガラはさらに剣を振り回す。
次々に衝撃波が飛んできて、俺の周囲の地面をえぐる。
「無差別攻撃か……」
どうにかして奴の間合いに入るか、あるいは遠距離からチマチマ削っていくか――。
「……やるか、あれ」
一度だけ、奴の虚をつくことができるかもしれない。
ただし一度使えば、種が割れる。
だから、その一度で奴に大打撃を与えなければならない。
「ミラージュ、死神、ブラッドライノ。お前たちが前衛に回れ」
俺は三体のしもべに呼びかけた。
「奴の注意を引き付けろ。タイミングを見て、俺が合図を出すから、それに合わせて左右に散るんだ。いいな?」
三体はうなずき、ガラに向かっていった。
「今度はお前らか! アンデッドごときに――」
ガラとしもべたちが交戦状態になる。
「……さて、と」
俺は彼らとガラの戦いを注視した。
重要なのはタイミングだ。
確実にこっちの攻撃を当てられるタイミングを図り、そして放つ。
決着の一撃を――。
ミラージュが剣を繰り出し、死神が鎌を振るう。
ブラッドライノは体当たりを繰り出した。
「へっ、お前らなんぞにぃぃっ!」
ガラは大剣を旋回させて反撃する。
ごおおおっ!
まるで竜巻のような攻撃に、ミラージュたちが後退する。
三対一だというのに、ガラはまったく退かない。
それどころか劣勢なのはミラージュたちだ。
やっぱり、強い――。
「これなら……っ!」
俺はミラージュたちの援護に火炎や飛剣を連続して放った。
いずれも、しもべである【レッドメイジ】や【ソードマン】と同じスキルである。
「っ……! お前、こんなスキルも持っているのか――」
ガラが驚いた顔をしつつ、剣を払い、剣圧による突風で炎を弾く。
「ちっ、とっておきの切り札だったんだが、こうも簡単に防ぐとはな」
俺はガラをにらんだ。
「ははははは! 今の今まで温存していたのも無駄だったようだなぁ!」
「いいや、まだだ。ミラージュ、死神、ブラッドライノ! やれ!」
俺はふたたび三体のしもべを突っ込ませた。
「無駄だ無駄だ!」
大剣を振りかざし、迎撃態勢を取るガラ。
――刹那、
「いっけぇぇぇぇぇっ!」
俺は右腕を思いっきり突き出した。
「スキル【伸腕】!」
「えっ……!?」
ガラが驚いたように目を見開く。
剣を握った俺の腕がゴムのように伸びていき、ガラの背後に回り込んで斬りつけた。
「が……はぁっ……!?」
「いくらお前でも隙を突かれると脆いみたいだな」
俺はニヤリと笑う。
腕を伸ばすことができるスキル【伸腕】――。
俺の本当の切り札はこっちだったのだ。
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