10 打倒、高位魔族2
「いくぞ、ガラ!」
俺はガラに向かって突進した。
「てめぇ……俺たちの仲間になるふりをしておいて! やっぱり裏切るのかよぉっ!」
ガラが怒声を上げた。
「勘違いするな! 俺はお前らの仲間になるなんて、一言も言ってないだろ!」
俺も負けじと怒声を返す。
ここに来たのはあくまでも生き残るための立ち回りであり、同時に情報収集でもあった。
目論見通り殺されずに済んだし、新たな情報を得ることもできた。
それどころか、こうしてスキルを成長させられたんだから、望外の幸運だ。
「ここに来たのは間違ってなかったらしい……いちおう感謝しておくぞ、ガラ!」
俺はガラに渾身の斬撃を叩きこんだ。
「このぉっ!」
ガラが大剣でそれを受ける。
鍔迫り合いの格好になった。
「おおおおおお……!」
「ぐぐぐぐぐぐ……!」
互いに剣で押し合う俺とガラ。
見るからにパワータイプのガラが、
「馬鹿な……!?」
俺に押されている。
そう、パワー勝負は俺の方が上だった。
やっぱり、しもべたちによる俺のステータス底上げの『強化率』が大幅に上がったため、俺自身のステータスは思った以上に強化されたらしい。
今や高位魔族のガラを上回るほどに――。
「な、舐めるなぁぁぁっ……!」
ガラが絶叫した。
その全身から魔力が放射状に広がる。
「っ……!」
俺は慌てて飛び下がった。
こいつ、近接攻撃専門かと思ったけど、こういう術も使えるのか。
「くそ、剣の勝負だけで人間ごときを圧倒できないとは……この技を出させられるとは」
ガラは悔しげに表情を歪めている。
「屈辱だぜ」
「さすがに魔族だけあって魔法技は持ってるわけか」
「魔法だってそれなりには使えるさ。ただ、俺は剣に誇りを持っている。だからいつもこれ一本で戦っているんだ」
と、ガラ。
「なのにお前には押し込まれた。魔法を使わされたんだ……こんな屈辱は初めてだぜ」
「じゃあ、ここからは剣の勝負で仕切り直しと行くか?」
俺はニヤリと笑った。
正直さっきの技を無制限に使われるのは、かなりきつい。
だから、何とか相手を挑発して、さっきの技の使用を封じたいところだが――。
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