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プロローグ
教室はちいさな社会だ。
社会には、当然優劣が存在する。いわゆる、スクールカーストってやつ。
カースト上位の目立つグループの生徒たちは教室の真ん中で大口を開けて笑っている。下位の、目立たない 生徒たちは、教室の隅で、ひっそりと息をしている。
ここにいると、私は世界が歪んで見えるときがある。
ぐにゃりと波打つ世界は、なんとも滑稽で、愚かしい。
こんなところ、早く出て行きたい。
ずっと、そう、思っていた。
そして、あの事件が起きた。
あの日から、私の教室は、ずっと、ずっと、歪んだまま。