表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

91/142

91.禁書庫


 マリィ一行は、帝国に突如出現した幻の存在、蓬莱山ほうらいさんへと向かうことにした。

 目的は蓬莱山ほうらいさんにいって、帰ってこなくなった帝国民たちの調査。


 ……というのが表向きの理由で、本当の目的は、蓬莱山ほうらいさんにある美味しい果実を使って、デザートを作るためだ。


『つってもよぉ、仙人の住む伝説の島なんて、無策で突っ込んで大丈夫なもんかね?』

「確かにそうですね。もう何人も犠牲者が出てるわけですし……仙人について、魔女様はどれくらい知ってます?」


 マリィは息をついて言う。


「そこまで詳しいわけじゃあないわ。本で見たくらい。転生前だし、だいぶ記憶はおぼろげね」

『本って……どこにのってんだよ、そんな幻の存在が』

「禁書庫」

『きんしょこぉ?』


 聞き覚えが無いのか、オセも、そして皇帝親子も首をかしげた。


「この星に存在する、あらゆる叡智が集められた、不思議な図書館のことよ」

『んなもんどこにあるんだよ』

「示現の狭間ね」

『じげ……そんなとこ、よくいけたな』

「女神に選ばれし賢なる者なら誰でも入れるらしいわ」

『け、けんなる……もの……』


 ……とても、マリィには似つかないワードだった。

 マリィは不愉快に思ったのか、魔法を発動させる。


『ぐええええ!』


 風魔法、風重圧エア・プレッシャーによってオセが潰れる。


「その、禁書庫には、魔女殿が昔呼んだことのある、蓬莱山ほうらいさんにまつわる記述が書いた本があると?」


 カリバーン皇帝がマリィに尋ねる。

 こくん、とうなずいてマリィが言う。


「確か地図もあったはずだわ」

「! それは……是非とも手に入れたいですね! 何があるかわかりませんし……」


 カイトの言うとおり、これから未知の場所へ行くならば、情報をある程度仕入れておく必要があった。


「そうね。じゃあ、ちょっと蓬莱山ほうらいさんに行く前に、禁書庫へいって、【あいつ】から情報をぶんどってきましょうか」

「あいつ……?」

「禁書庫の番人よ」


 番人。

 つまり、禁書を守る存在が居るということだ。


「そうと決まれば話は早いわ。さくっと行ってきましょう」

「わ、私も同行してよろしいでしょうか!」


 カリバーンの娘、リアラ皇女が手を上げる。


蓬莱山ほうらいさんには、未だ帰らぬ私の部下が多数います。私も……助けに行きたいのです!」

『でもよぉ、あんたの父ちゃんは許してくれるのか? あんた皇帝の娘なだろ? いかせてくれるのかね?』


 オセの言うとおり、皇女をそんな危ない場所へ連れてっていいものか。

 リアラは父に頭を下げる。


「お願いします、父上! どうか……」

「…………ならぬ」


 リアラががっくりと肩を落とす。


「だが、皇女リアラ=ディ=マデューカスとしてではなく、リアラ個人として行くならば、それは当人の自由だ」

「! 父上……! それって……」


 ふっ、と微笑んで、カリバーンが彼女の頭をなでる。


「いってきなさい」

「はい!」


 一方でマリィは、同行者が増えることにして、どうでも良いと思っていた。

 マリィの関心事は食べることしかないので。


 食べる取り分が減らなければ、どうでもいいと思ってるのだった。


「さっさといくわよ、禁書庫へ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★1巻10/20発売!★



https://26847.mitemin.net/i766904/
― 新着の感想 ―
[良い点] いつも楽しく美味しく読んでます! どんな食べ物なら願い叶えてくれるかな~ 天下◯ラーメンとかケン◯ッキーなんかに連れて行ったら、1つぐらい願い叶うかな(笑) 伊勢の赤◯もちもデザート…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ