82.蝶神精残骸《スーパーノヴァ・レムナント》
マリィは呪術王へ向けて、魔法を放った。
彼女の前で、呪術王がうなだれて活動停止してる。
『何が起きてるんだ……魔女様よ』
マリィのそまで、黒猫の悪魔オセが近づいてくる。
彼女はその場で崩れ落ちて、肩で息をする。
「神域級魔法を、使ったのよ」
『し、神域だってぇ!?」
オセが驚愕する一方で、今回協力した、九尾が尋ねる。
『なんやの、神域級ってのは?』
オセは九尾に説明する。
『神の奇跡を再現する、超凄い魔法のことだよ』
魔法は本来、初級、中級、上級、極大、の四つのクラスに分かれている。
『極大魔法が、才能ある人間が到達できる……最高地点、と一般にはされている。だが、違う』
『その上に神域級ってのがあるんやな?』
『そうだ。超天才が、一生をかけて開発する魔法……。神の奇跡としか思えないほどの現象を引き起こす』
神の奇跡……。
「神域級魔法……蝶神精残骸。他人の精神に干渉し、自在に記憶を操る魔法よ」
『洗脳やないかい! そんなもん……正義の魔女が使う必殺技ちゃうで……』
ふん、とマリィが鼻を鳴らす。
「私は正義の味方でもなんでもないわ」
エゴイストの魔女。
それが、マリィという女の正体。
あきらかに悪役の能力を使おうが、そんなの知らないのである
邪魔者を排除できるのならば。
「私の蝶神精残骸で、呪術王は心地よい夢を見てるのよ。現実にこのまま、戻ってこれなくなるくらいの」
オセと九尾は、そんなえげつない魔法を使うマリィに、畏怖を覚えた。
なんて恐ろしい魔法を使うのだ、と怯える一方で、こんなに若い女が、このような神の奇跡の技を使えるなんて……驚愕するのであった。