76.窮地
魔女マリィと呪術王との戦闘が繰り広げられてる……。
町外れから、ケモミミ料理人カイトはその様子をうかがっていた。
だが……。
「やっぱり……ぼく、まってられません!」
『おいばか! 行くなって!』
カイトはマリィのもとへかける。
黒猫の悪魔オセは、カイトの頭の上に乗っかって、止めようとする。
『いっても邪魔になるだけだ!』
「それでも……! 敵の隙を作るくらいはできます!」
『ああもう! ばかやめろって!』
正義の味方マリィが、悪の権化である呪術王と戦っている(カイト視点)。
でも相手は強力だ。
負けてしまうかも知れない。
加勢しなきゃ……とカイトはマリィのもとへ向かう。
一方でオセは……。
『小僧、おまえはただの獣人だ。特別な能力を持ってないし、魔法も使えない』
獣人は人間と比べて頑丈ではあるものの、人間を含めたどの種族より、魔力保有量で劣る。
魔法は使えないし、特殊なスキルを覚えているものもまれだ。
『断言する。おまえが行っても100%、足手まといにしかならん。おとなしく待っとけ!』
「でも!」
『ったく! 麻痺毒《パラライズ!》』
「ガッ……!」
オセが麻痺の毒を使って、カイトを止める。
「どう……して邪魔するの……?」
オセは、旅の仲間であるカイトに対して、情が移ってしまっている。
非力なこの少年が挑んで、死んでしまうのは目に見えているのだ。
死なせたくない。
しかし……。
『ここでおまえをとめなかったら、あのエゴイスト魔女に殺されちまうからよ』
と、ついそう言ってしまう。
「でも……ぼくは……魔女様が心配です……」
はぁ……とオセはため息をつく。
本当は、マリィのことも好きでもなんでもない……。
が。
『したかねえ。おれがみてくる』
「オセ様が……?」
『ああ』
しゅるり、とオセがカイトのまぶたのうえを、尻尾でなでる。
その瞬間、カイトの目が開くなる。
『一時的に契約を結んだ。おまえはおれと視界を共有する。そこでおとなしくしてな』
たっ……とオセがその場から走って、マリィのもとへむかう。
獣人より、悪魔の方が遥かに強い。
加勢するつもりはないが、マリィの足手まといになることはないだろう。
『ったくよぉ……なにしてんだよおれ……』
オセはマリィの魔力を探知して、彼女の居場所へと向かう。
だが……そこで見たのは……。
『なんだと!?』
マリィの腹部に……呪術王の腕が、突き刺さっていた現場だった。
【★読者の皆様へ お願いがあります】
ブクマ、評価はモチベーション維持向上につながります!
現時点でも構いませんので、
ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂けると嬉しいです!
お好きな★を入れてください!
よろしくお願いします!