75.フィジカルVSマジカル
マリィは呪術王アベノハルアキラとの、最終決戦に挑んでいた。
「さあ死合おうか」
呪術王がマリィに、一瞬で接近する。
瞬きする暇のあたえない、超高速の移動。
マリィは冷静に転移魔法を使って、呪術王の拳を回避する。
足下には遅延魔法を使いトラップを張っていた。
風刃を含めた、初級魔法を無数に浴びせる。
「は……!」
呪術王はギラリと凶暴な笑みを浮かべると、素手でその全てを打ち落とす。
「…………」
マリィは呪術王の手を凝視する。
だが特別な何かが付与されているようには見えない。
完全なる、素手で、魔法を打ち砕いてみせたのだ。
「こんなもんではないだろう、魔女? あの杖を使わないのか?」
「そちらがこっちの手の内を知ってるのだから、こっちも計らせてもらうわよ」
マリィは無詠唱で、極大魔法、颶風真空刃を放つ。
巨大な竜巻が呪術王をまるごと包み込む。
風の渦の中に、無数の真空の刃が見て取れる。
いかに呪術王が、すでで魔法を打ち砕く存在だろうと、これだけ四方八方から、極大の魔法をたたき込まれれば……。
「いいぞ、魔女!」
ばきん! という音とともに、竜巻が破壊される。
呪術王の身体には無数の切り傷ができており、そこから大量に出血していた。
しかし一瞬で傷が治る。
「呪禁……ね」
「その通り!」
呪術王は、文字通り呪術を極めた存在なのだろう。
マリィがまだ解明できていない呪いを使っている。
呪いで身体を強化したり、魔法を打ち砕くなど。
マリィも時間をかければできるようになるかもしれない……だが。
呪術において、アベノハルアキラのほうがマリィよりも、一日の長がある。
「厄介ね」
「こんなもんじゃないだろ、なあ、魔女よ」
本気の殺し合いをしているというのに、呪術王は実に、実に、楽しそうだ。
マリィの必殺の魔法を受けてなお、笑みを浮かべている。
戦いを楽しんでいる。
「……理解不能ね」
マリィとアベノハルアキラ。
ふたりはエゴイストという点、そして強いという点で似ている。
しかし決定的に違うのは、戦いを楽しんでいるか、否か。
マリィにとって戦いとは煩わしいもの。
一方で呪術王は、戦うこと自体を楽しんでいる節がある。
もとは、母を復活させるため、術を磨くために、戦いをしていたというのに……。
今や、戦うこと自体が目的となっている。
「さぁまだだ。もっと魅せろ、魔女」
「ふぅ……」
マリィはけだるげに息をつくと、接骨木の神杖を取り出す。
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