71.呪術王のおわす場所
マリィは九尾を下僕にして、ひたすらに北上した。
ワーズ湖を乗り越えて、平地をぐんぐんと登っていく。
シナノの領地は山に囲まれた盆地だった。
途中でいくつも山や森を抜けて……。
『こ、ここよ。呪術王様のいらっしゃる、場所』
ついにマリィたちは、一つの街へとたどり着いた。
ここもよそと一緒で盆地ではあるのだが、かなりの広さを誇っている。
……そして。
「あまり長居したくないわね」
街が瘴気で満ちている。
正直ここに数時間もいたら、具合を悪くすること請け合いだ。
『妖怪どもの気配であふれてやがるなこりゃ』
『呪術王様から作られし妖怪が、あのお方をお守りしてるやからね』
奇妙な化け物どもが街を徘徊してる。
九尾が言うとおりだとすれば、目に見えているものすべてが敵だということである。
「どれもオイシソウじゃ無いわ」
『この期に及んで食うことばかり……はあもういいや。さくっと倒してしまおうぜ』
ええ、とマリィがうなずく。
そして……カイトを見やる。
「どうしました、魔女様?」
「…………」
少し考えて、オセを持ち上げる。
そして、ひょいっ、とオセをカイトに投げつけた。
『なにすんだよ』
「猫。あんたはカイトを守りなさい。カイト、あなたはここで待ってるの」
「! そ、そんな……どうして……」
マリィは多くを語らず、九尾をつれて街へと降りていく。
気落ちするカイトに、オセが声をかける。
『魔女様は、おまえの身を案じてんだろ』
「うう……ぼくを守るために……!」
まあおそらくは、カイトがいなくなったら、美味しいご飯が食べられなくなるから……だろうけども。
と、オセはおもい、実際にその通りであるのだった。
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