61.毒位で死ぬと思ったか?
マリィはワーズ湖にて、妖怪、毒妖鳥と相対する。
毒妖鳥は翼から毒を分泌し、攻撃を行った。
しかし毒の霧はマリィの、風魔法によって吹き飛ばされる。
『はっ! 馬鹿が。毒霧なんぞ、この魔法使いに通じる分けねえだろ!』
黒猫の悪魔、オセが勝ち誇ったように言う。
彼もまた毒使いだが、マリィの魔法に手も足も出ず敗北してる。
毒の弱点は、同じく毒使いであるオセが熟知してるのだ。
しかし……。
ドスッ……!
「魔女様っ!!!!」
『なんだあの翼! 異様に伸びて、魔女様の体に突き刺さっている!』
まるで注射針のように尖った翼の先端が、魔女に突き刺さる。
『魔女様は結界を展開していた……。それをつらぬくとは!』
『しゃしゃしゃ! 結界を毒で溶かし、針を内側へ伸ばしたのだ!』
無数に突き刺さる翼。そこへ、毒妖鳥の毒が流し込まれる。
「魔女様!」
『ばか! 近づくんじゃあねえぞ小僧!』
近寄ろうとするケモミミ料理人、カイトを、オセが呼び止める。
「で、でも魔女様が!」
『……あんなんで、やられるやつじゃねえ。見ろ!』
オセが尻尾で、マリィを指す。
毒が流し込まれているはずなのに……。
『ば、馬鹿な! 原型を保っているだと!?』
毒妖鳥が驚くのも無理は無い。
魔女の結界すら溶かす毒を、体内に直接投与しているのだ。
体は一瞬でドロドロに溶けてもおかしくない。
だというのに、マリィは平然としている。
『ぎしゃあ! どうなってやがるんだぁ!』
「この程度の毒で、私が殺せると?」
よく見るとマリィの体が淡く発光し続けていることがわかった。
オセは、マリィが毒を受けても無事な理由について気づく。
『そ、そうか。魔女様は常に解毒の魔法を展開し続けているんだ!』
『ば、ばかな! 解毒だと!? そんな低級魔法で、わしの呪毒が打ち消せるとでも!?』
ふん、とマリィが鼻を鳴らす。
「あなたの毒を受けた瞬間、体内でその毒の成分を分析し、それを打ち消すよう魔法をチューニングしたの。それだけよ」
……それが、どれほど高度なものなのか。
オセはわかっているため、愕然とするほかなかった。
そもそも体を一瞬で溶かす毒を、受けたその瞬間に解毒法を作り出す時点で、イカれているのである。
魔法の組み立てる速さ、そして魔法を改造するその手腕は、悪魔を持ってしても驚嘆するほかなかった。
「終わりね」
マリィが魔力を込める。
するとマリィを包んでいた光が、毒妖鳥へと逆流していく。
『ぼぎゃぁあああああああああああああああああああああ!』
どがあああああああああああああああああああああああん!
……毒妖鳥の体が、内側から破裂した。
唖然とするオセ達。
『ま、魔女様よ……ありゃあいったい……?』
「解毒の魔法を強めて、あいつに流してやったんだわ」
『解毒って……爆発四散してるんだが……』
「ふむ。威力をミスったようね。ま、倒せたんだから良いでしょ?」
ぼと、ぼと……と毒妖鳥の肉が地面に落ちてる。
「さ、カイト。きじ鍋つくってちょうだいね」
カイトは呆然としてたもののすぐに回復し、魔女に笑顔を向ける。
「わかりました魔女様! おいしいきじ鍋作りますね!」
カイトが落ちてるきじ肉を集める一方で、オセがため息をつく。
『やっぱあの女、やべえ……』
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