49.不満
マリィは天狗を倒したあと、山の奧へと進んでいく。
「はぁ……」
「どうしたんですか、魔女様……?」
ケモミミ料理人カイトが不安そうな顔をマリィに向ける。
彼女が窓の外を見ながら、物憂げな表情をしていたからだ。
しかし悪魔オセだけはわかっていた。
『どーせ飯の話だろ?』
「? それ以外になにかあるの?」
『だろうな……で?』
「お腹すいたわ」
オセはあきれたように、大きくため息をつく。
一方でカイトは、自分の出番が来た! と意気揚々と立ち上がる。
戦いの面で役に立てないカイト、せめて、魔女の食欲を満たしてあげなければ! という使命感に駆られているのだ。
一方でオセはもう何度も見た姿に若干うんざりしてる。
『魔女様よ、ちょっと腹減りすぎじゃ無いか?』
「戦うとお腹すくのよ。はぁ……天狗戦は、実に無駄な戦いだったわ。だって食べられなかったのですもの」
マリィにとっての戦闘は狩りに近い。
戦うとそのあとに、美味しいが待っている……はず。
しかし食べられない妖怪のなんと多いことだろうか。
可食部位にとぼしいモンスターばかりで、ちょっと極東が嫌いになりかけていた。
これで寿司がまずかったら、二度と極東には来ない予定だ。
「魔女様、手持ちの食材で何か料理を作りましょうか?」
「新しい美味しいを作れる?」
「う……ちょっと食材が足りないかもです」
はぁ……とマリィがため息をつく。
「都合良く向こうから、こないかしらね。妖怪が」
『そう簡単にくるかね? 魔女様やたらめったらぶっころしまくってるから、妖怪もびびって出てこないんじゃ……?』
と、そのときだった。
ずももも、と山の地面が盛り上がったのだ。
『なっ、なんだぁ!?』
「下です! 何か大きな物が……うわわあああ!」
地面が爆ぜる。それと同時に、マリィたちをのせた馬車が吹き飛ばされた。
マリィは空中で風の魔法を使い、彼女とカイトだけを助ける。
オセは地面に、顔から突っ込んだ。
「だれよ?」
『ふしゅしゅしゅしゅ! 誰とはごあいさつだなぁ……! 我はヤマタノオロチ! 呪術王四天王が一人!』
巨大な……蛇だった。
蛇……蛇かぁ……と微妙に乗り気じゃない、マリィ。
「もうちょっと美味しそうなの来なさいよ」
『何をふざけたことを! ここで殺させてもらうぞ、魔女!』
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