45.だから食えるの連れてこいっての!
マリィ一行は村を出発し、シナノを目指す。
馬車が舗装されていない荒れた道路を歩いてる。
しかしマリィのまじないのおかげで、ほとんど揺れを感じないのだ。
「あとシナノまでどれくらいなのかしら?」
正面に座るケモミミ料理人カイトが、村でもらった地図を開いて言う。
「半分くらいですね。今はカイという領地だそうです」
「半分……ね。もうすぐだわ」
待ってろ寿司、とマリィのなかでは、呪術王を倒すことより、その先に待ってる美味しいお寿司に思いをはせる。
しかしカイトは、マリィが呪術王を倒し人々に平穏を早くもたらしたいと、思ってると勘違いしていた。
やはり魔女様は凄い……と感心しきりである。
そんなとんちんかんな構図を、冷ややかな目で見やるのが、黒猫のオセ。
椅子に丸くなって座りながら注目する。
『あんまちんたらしてたら、妖怪による被害が拡大しちまうぜ?』
「わかってるわよ。だから、早めに倒すんでしょう?」
急がないと、米も魚も、根絶してしまう。
許すまじ妖怪……。
「ま、妖怪も全員が悪いわけじゃないけども」
「そうですよね! カッパさんとか、いい人でしたし!」
そういうニュアンスで言ったわけじゃない。
妖怪も美味しいやつがいるよね、という意味合いだったのだ。
確かにぬりかべは食えたものじゃなかったが(カッパもだが)、波山は美味しかった。
妖怪がくるなら、ああいう連中がいい。
とそのときだった。
『止まれぇい! 小娘!』
ごぉ……! と馬車の前につむじ風が発生する。
マリィは妖怪が来たのだと思って、喜び勇んで馬車を降りる……。
『呪術王四天王がひとり! 天狗様が相手してやろう!』
妙な妖怪がそこに居た。
赤い顔に、長い鼻。
人間のようなフォルムだが、背中からは羽が生えており、手には葉っぱの団扇を持っている。
彼は自分を天狗といった。
なるほど……天狗……。
「食べられそうなフォルム……してないじゃないの!」
マリィがキレるのも無理からぬ話。
彼女が望んでいるのは、食べて美味しい妖怪なのだ。
どう見ても、天狗は食用に適さない。
「駆逐してやるわ……」
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