41.魔女のシチューで元気もりもり
マリィたちは村で一泊することになった。
毒に犯された井戸の水を、魔法で浄化。
その後カイトはどこでもレストランを使って、シチューを完成させた。
マリィは優雅に、レストランのなかでひとり、シチューをすする。
「うまいわ……」
ほぅ、とマリィが嘆息をつきながら言う。
「ちょっと具が足りないけども」
『ぜーたくいうなよ、魔女様よ』
悪魔オセがテーブルの上で丸くなっている。
シチューの中には波山の肉に、乾燥した薬草が入ってる。
『あの獣人ぼーやも頑張ってるよ。ポーション用に魔女様がもっていた薬草とあまりもんのにくで、こんだけ美味いもんつくれるんだからさ』
「当然よ。あの子は料理の天才、私が見込んだんだから」
『さいですか……』
オセもペロペロとシチューをなめるようにして食べている。
ふと、マリィが気づく。
「カイトは?」
『村の連中にシチューを振る舞ってるよ』
「ひとりで?」
『ああ』
「ふーん……」
マリィが唇をとがらせる。
『なんだ、カイトを取られて焼き餅か? かわいいとこあんじゃあねえか……ぐえええ!』
マリィが風の魔法、風重圧でオセを押しつぶす。
「勘違いしないで。私はただ、おかわりが欲しいだけよ」
『自分でつげや……いってて。これは何割のツンが入ってるのかい?』
「ツンもデレも入ってないわ。いいわよ、自分で取りに行くから」
マリィが椅子から降りて、レストランの外に出る。
オセは嘆息をつきながら後ろからついて行く。
……空間をつなげる扉を抜けると、そこには……。
「魔女様がいらしたぞ!」「魔女様ぁ!」
やたらと血色の良い、村人たちがそこに居た。
笑顔で、走ってこちらに近づいてくる。
『おいおいこりゃあどういうことだい? 村の奴ら、さっきまで死にそうな顔してたじゃあないか?』
栄養不足により、頬はこけて、立っているだけでよろめいていたはず。
しかし今の村人たちはみな、しっかりと立っていた。
肌もつやつやで血色が良い。
「魔女様のおかげです!」
カイトが説明する。
「このシチューをたべたら、みんなあっという間に元気になったのです!」
「……? それは、あなたの作ったシチューがおいしかったからでは?」
オセが村人たちの分のシチューをぺろりとなめる。
『わかった。これ、めちゃくちゃ魔力がこもってやがる』
「どういうこと?」
『魔女様は、シチューの水に、浄化の魔法使ったろ? そのとき、水にかなりの魔力が込められていたんだ。それを摂取したから、こいつら元気になったんだろうよ』
魔力が欠乏すると身体に支障を来す。
彼らは魔力が足りていなかったのだ。
そこに、マリィの作った浄化の水を飲んだ。
結果、魔力が元通りになるどころか、彼らの身体を活性化させ、結果元気になったというわけだ。
「魔女様、さすがでございます! 水をきれいにするだけでなく、村人さんたちまで元気にしてしまうなんて」
完全に誤解だった。
別に元気にさせるつもりなんてなかった。
「はぁ……」
『あれ? いつもの勘違いしなで~はどうしたんだ?』
「……めんどいからパス。シチューのおかわりだけ寄越しなさい」
「はい!」
周りから賞賛されまくるが、しかしそんなの一切気にせず、シチューを食べるマリィ。
「人を助けるのがまるで当然かのごとくふるまい!」
「やはり魔女様は素晴らしいお人です!」
「さすが魔女様!」
……マリィはもう勝手に言わせておくことにしたのだった。
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