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37.やはり食えない妖怪!


 マリィは馬車に乗り、再出発した。

 荷台に載ってるマリィは鼻歌をうたいながら、窓の外の景色を見やる。


『魔女様よ、なにそんな上機嫌なんだい?』


 黒猫悪魔のオセが尋ねる。

 

「妖怪も、いいわねって」

『はぁ……? 何言ってんだ?』

「妖怪って、食べれないノばっかりだと思ったわ。けれど波山はざん。あれは食べれた。とてもおいしかったわ……」


 マリィは極東に来てから、異形なる化け物しか見ていなかった。

 しかし先ほど遭遇した、妖怪の波山。


 あれは本当に美味であった。


「ただの鶏肉とはちがって、ぴりりと辛いのが良かったわ」

『カイトの味付けが良かったんだろ』

「それもあるけど、やっぱり大きい食材はいいわね。食べ応えがあった……ああ……美味しかたぁ……」


 バンバンジーの余韻に浸る魔女。

 特にここ最近ずっとタコが続いていたので、美味に感じた。


 マリィは目を閉じて感じ入ってる。

 人助けしたことより、食欲を満たせたことの方がうれしいようだ。


 そんな姿を見て、オセがあきれたようにため息をつく。


『さいですか……で、魔女様よ。これからどうするんだ?』

「もちろん、呪術王を倒しに行くわよ。まだ大いなる目的を達成できてないじゃない……!」


 大いなる目的。

 それは……寿司を食べることだ。


 マリィがそもそも極東に来たのは、お寿司というすごい美味い料理を食べるためである。

 しかし呪術王のせいで、極東は妖怪と呪いの毒によって酷い有様になってしまった。


「呪術王を倒し、極東を取り戻す……!」

「魔女様、素敵です!」


 ケモミミ料理人のカイトが、マリィに尊敬のまなざしを向ける。


『たしかにセリフだけ切り抜くと、正義のヒーローみたいなセリフだな』


 しかしここにいるのは、エゴイストな魔女のであった。

 極東を取り戻すというのも、元の状態に戻して、寿司を食べるというニュアンスだったのだろう。


 どこまでも己の食欲に忠実な魔女だった。

 さて……


「! 魔女様、妖怪の気配です!」


 カイトの耳がぴんとそば立つ。

 マリィはガタタタンッ、と慌てて立ち上がった。


「きたわね! 新しい獲物が……!」


 捕まえて食べるのだから、獲物で間違いは無かった。

 マリィはひらりと、窓から降りる。


「さ、かかってらっしゃい妖怪! 私が美味しくいただいてあげるわ……!」


 さて、そんなマリィの前に現れたのは……。


 一枚の、白い布だった。


「ぬの……?」

『くくく……! よくぞやつがれの姿を見破った!』


 ひらひらの布が、マリィの前で、まるで蛇のようにとぐろを巻く。


『僕は妖怪、一反木綿!』

「…………」

『布の振りして顔に張り付き、窒息死させるつもりだったのだが、見破るとはたいした物……!』


 マリィが、怒りで肩をふるわせる。


「魔女様が怒ってる。一反木綿の卑劣な戦い方に!」

『いんや、あいつがそんなことで起こるわけ無いだろ……』


 そう、オセの言うとおりだった。


「布って! 食べられないじゃないのよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

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