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24.雷を止める

【★おしらせ】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。



 マリィたちは順調に極東へと向かっていった。

 船室にて、マリィは優雅にたこ焼きを食べている。


「あーむ……」


 マリィが食べているのは、通常のたこ焼きの上にめんつゆ(オセが出した)と、大根おろしをかけたたこ焼きだ。


 めんつゆにひたひたに漬けられたたこ焼きを、一口食べるとじゅわりと甘みが広がる。

 そこに大根おろしのさっぱりとした風味が加わり、絶妙な調和を取れている。


「おろしめんつゆたこ焼き……凄すぎるわ。おいしすぎる……」


 そこへ、ケモミミ料理人カイトと黒猫悪魔オセが外から戻ってきた。


『あんたまだたこ焼き食ってたのかよ』

「ええ。おいしくて無限に食べられるわ。それにタコもまだ余ってるしね」


 クラーケンは恐ろしくデカいモンスターだった。

 そこから回収できたタコのぶつ切りは相当量あり、直ぐには食い切れないほどである。


 それでもカイトが飽きさせないように、いろんなたこ焼きの食べ方を教えてくれる。

 やはりこの旅にカイトは必要不可欠だな、とマリィはご満悦な表情でうなずきながら、そう思った。


『船の連中から情報を仕入れてきたぜ』


 オセがテーブルの上に乗っかって説明する。


『あと半日もすればエドって街に着くらしい』

「そこに米があるのよね」


 今回極東へ行く理由は、美味しい寿司を食べたいからである。

 寿司には米という、極東で栽培される特殊な穀物が必要。


 だから、マリィは海を渡ってこの島へと来た……のだが。


「どうやら、ちょっと問題があるらしいのです」

『米は不作で、このところ取れてないんだと』


 たこ焼きを食べる手を止めて、マリィが顔を手で隠す。

 マリィにとってご飯を食べれないのが何よりも辛いことだった。


「ま、魔女様! 落ち込まないでください!」

『いちいち泣くなよ……ないんじゃなくて、取れていないってだけだよ』


 マリィが顔を上げる。


「どういうこと……?」

『異常気象が続いてるんだとさ、このところずっと』


 カイト曰く、米は稲作といって、特殊な育て方をしないと収穫できない。

 しかも天候に非常に左右されやすい、とのこと。


『極東は四季っつって、1年で4つ季節が変わるらしいんだが、なんかそれがめちゃくちゃになってるんだとさ』


 日照りが続いたと思ったら洪水が、そして雪が降ったりと、完全に四季を無視した季節の変動が見られるらしい。


「原因は?」


 別に事件の真相なんてどうでも良い。

 ただ、自分の敵を見定めておきたいだけだ。


 美味しいお寿司を食べられなくしてる、不届きものをこらしめたいがゆえに。


『呪術王っつー、呪術使いが今極東で猛威を振るってるみたいだ。そいつのせいだ』

「ふーん……呪術王ね。そいつが犯人か」


 マリィが決意を胸に拳を握りしめる。


「そいつ……ぶっ飛ばす!」

「! 魔女様……それって……! もしかして……! 極東に住まう人たちを助けたいからですか!?」


 また始まった……とオセがあきれた表情になる。

 どうにもこのケモミミ少年は、魔女の行いを全部肯定的に捕らえる様子である。

 今も目をキラキラさせてて、正義の魔女が弱きもののために立ち上がったとしか思っていない。


 だがオセはわかってる。こいつは結局、自分のためにしか動かない女なのだと。


「ふん。勘違いしないでちょうだい。私はただ寿司が食べたいだけよ」

「ツンデレですね……! さすが魔女様! お優しい!」


 ふんっ、と鼻息をつくマリィ。


「なんにせよ原因がハッキリしててよかったわ。その呪術王を見つけだして撃破。しかる後、米を回収」

『そんな直ぐ見付かるもんかね?』

「見つけるわ。なんとしても!」


 寿司のために……! とマリィ。

 その後たこ焼きを食って時間を潰してると……。


「そろそろ極東につく頃合いかしらね」

『おいおいでもなんか、船とまってねーか。窓の外の景色がうごいてねーぞ』


 マリィがひょっこりと窓から顔を覗かせる。

 オセの言うとおりだった。


「トラブルの予感だわ」


 マリィが船室を出て行く。

 カイトはトラブルを解決しに行く魔女様カッコいいと思ってる。


 が、ほんとは単にご飯を邪魔するものを排除に向かってるだけだ。


 甲板に出ると凄い雨が降っていた。

 顔にびしゃびしゃと雨粒がたたきつけられて不愉快である。


 船長たちが困った表情で空を見上げていた。


「なにがあったの?」

「オオ! 魔女様! 実は船が出せぬのです」

「大雨のせい? なら天候操作ウェザー・コントロールで……」


 そのときである。

 ピシャッ……! とまばゆい光がマストにぶつかり、雷鳴をとどろかせる。


 カイトは「うひゃあ!」とその場に丸くしゃがみ込んでしまう。


「なるほど……この雷のせいなのね」

「はい。しかもあの雷、どうにも意思を感じるのです。この船を狙い撃ちしてるというか」


 雷がまた輝く。今度は甲板に穴を開けた。


「なるほど……雷を誰かが撃ってきてるのね。……上等だわ。受けて立つ」


 マリィが戦う意思を示す。

 船長は余計な船員達を引き下がらせた。

『おいおい大丈夫なのか? 相手は雷だぞ?』

「問題ないわ」


 ピシャッ……!

 マリィは右手を頭上に掲げる。


 雷がマリィに直撃する……。

 だがしかし、マリィは無事だった。


「おおお! 魔女様! すごい、今のでご無事だなんて!」

『どうやってんだ?』


 マリィが息をつく。


「反魔法よ。どうにもこれは、魔法で雷を発生させている。となれば、反魔法で打ち消せられる」


 魔法を打ち消す魔法、反魔法を使って、マリィは外敵の雷を打ち消す。


『守ってるだけじゃかてねーぞ?』

「言わずとも、わかってる。それにもう捕まえたわ」


 マリィが右人差し指をぴんとたてる。

 うっすら指から、半透明の糸のような物が伸びていた。


『なんだよそれ?』

「魔力の残滓……まあ残りカスみたいなものね。それを操作して糸に変えた」


 敵の攻撃は魔法による物。つまり魔力を元にしている。

 反魔法で魔法を打ち消し、相手の魔法の残りかすを操作して糸に変えた……。


 その糸はどこにつながっているか。


「姿を現しなさい」


 くいっ、とマリィが糸を引っ張る。

 するとイタチのような獣が空から落ちてきた。


『ちくしょう! この雷獣様が捕らえられるなんて!』


 どうやらこの獣は雷獣というらしい。


 どう見ても、食えそうに無かった。だから……。マリィはたおさなかった。


「骨折り損のくたびれもうけね……」

『もうそのモンスターを食える食えないで判別するのやめろよ……』


 一方で雷獣を捕らえたことで雷はピタリと止まった。

 雨足も心なしか少なくなってるきがする。


「すごいです魔女様! 雷の化け物をとらえてしまわれるなんて!」


 船長がマリィに感服する。

 そしてカイトは目を輝かせていう。


「さすがです魔女様! 困ってる船のひとみんなを助けてしまわれるなんて!」


 くどいようだが、別にこいつらのためには働いていない、と思うマリィであった。


【★☆新連載スタート!】


先日の短編が好評のため、新連載はじめました!

タイトルは――


『伝説の鍛冶師は無自覚に伝説を作りまくる~弟に婚約者と店を奪われた俺、技を磨く旅に出る。実は副業で勇者の聖剣や町の結界をメンテする仕事も楽々こなしてたと、今更気づいて土下座されても戻りません』


ページ下部↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!

リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。


https://ncode.syosetu.com/n6008ia/

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★1巻10/20発売!★



https://26847.mitemin.net/i766904/
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