142.二章エピローグ
エピローグ
マリィが王都の騒動を収めたあと……。
隣のマデューカス帝国、皇帝は、謁見の前にいた。
「それでリアラよ。その後はどうなった?」
「は! ご報告いたします、父上」
帝国、王国全域で発生していた魔物の大量発生は、ピタリと止まった。
また、帝国上空に出現していた蓬莱山は、綺麗さっぱり消えていた、と。
「オセ……魔女様の従者曰く、魔物大量発生は、蓬莱山出現が原因だったそうです」
「なるほど……では、島が消えた影響で魔物の活動が沈静化したと」
蓬莱山は記述によると、そう頻繁に表舞台に出る物ではないらしい。
皇帝は、ふぅう……と大きく息をついた。
「これにて一件落着か。して、我が国を救いし大英雄殿は、いずこに?」
リアラが少しさみしそうな表情をしながら言う。
「ことの顛末を簡潔に説明したあと、引き留める我らを置いて去っていきました。去り際に、『勘違いしないで。あんた達のタメじゃあないんだからね』と」
リアラ、そして皇帝はさみしそうに笑ったものの、しかし深く感心したようにうなずく。
「やはり魔女様は素晴らしいお方だ。国を救って、見返りをもとめないなんて」
「ええ、その通りです! 魔女様はとても偉大なお方でした!」
引き留められなかったのだが、それは仕方の無いことだろうと、二人は諦めた。
「彼女は世界を救うため、神が使わした御仁。我らのわがままで、この場に留まらせては行けぬお方だからな」
きっと今頃、魔女は世界のどこかで、自分たちのような救いを求めている人たちに、手を差し伸べているのだろう。皇帝親子はそう思いながら、魔女に畏敬の念を抱くのだった。
☆
「うっまーーーーーーい!」
そんな魔女はどこにいるかというと、蓬莱山のなかにいた。
マーサが王国に捕らわれたことで、ここの所有権がもとの、ロウリィの元へと戻った。
ロウリィから感謝をされたあと、マリィはマーサが所有していたお菓子の城をもらったのだ。そして、カイトという天才料理人の手によって、お菓子の城は解体され……。
マリィの目の前に、色とりどりの、お菓子が置かれていた。
場所は、ロウリィのいた禁書庫。
マリィはカイトのオヤツを、ばくばくばく! と凄まじい勢いで食べていく。
そんな様子を見て、オセは呆れたようにため息付いた。
『なんだ結局、元通りかよ。妹ちゃん助けてたところをみるに、ちったぁ精神的に成長したと思ったんだけどなぁ』
「うるさい。これは私のオヤツなんだから、食べたら滅するわよ」
『はいはい、エゴイスト魔女さま』
カイトはニコニコしながら、ポットからカップに、コーヒーを注ぐ。
「でも、本当に魔女様、素晴らしかったです! 王都の人たち、そして、自分の妹さんさえも、助けてしまわれるなんて」
「ふん。勘違いしないでよね。私は別に、王都の人なんて助けるつもりはなかったわ」
オセがニヤニヤと笑う。
『ふーん、王都の人【は】、ね』
「ふん……」
と、そのときだった。
「まぁああああああああああありぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
突如として、上空から飴細工の翼をはやした、マーサがやってきた。
全身に汗をかきながら、肩で息をしてる。
「あ、マーサ様! こんにちは!」
「うるさいわね、食事中よ」
カイト、マリィがそういうと、マーサはきれ散らかしながら近づいてくる。
「あんたのせいでトンだひどい目に遭ったわ! どうしてくれるのよ!?」
『自業自得だろうよ』
「うっさいわね悪魔ぁ!」
まあでも実際、自分が引き起こしたことなので、オセの言う通りなのだが。
『あんたなんでここに? 捕まったんじゃあないのか?』
「逃げてきたに決まってんでしょ……! そして、マリィ! アタシ決めたわ!」
「なに?」
「あんたに……付いてく!」
はぁ? とマリィとオセが首をかしげる。
「今回アタシが負けたのは、実戦経験が不足してたから。つまり、あんたについてって、実戦での経験を踏めば、あんたに勝てる!」
『自分一人で修行のたびにでも出ろよ……』
「うっさい! マリィの近くにいたほうが、より魔法戦の知識・経験が積めるでしょ?」
『はあそう。で? 魔女様よ、どうする?』
マリィはコーヒーをすすって、ほう……とカップをテーブルに置いた。
ぱちん、と指を鳴らすと、椅子やらテーブルやらを異空間にしまう。
魔女帽子をかぶって、カイトに言う。
「ごちそうさま。さ、じゃあ旅を再開しましょうか」
「はい!」『おうよ』
マリィは二人を連れて、ホウキにのる。
マーサは、もちろん置いて。
「ちょっとぉお! アタシも連れてきなさいよぉ!」
「うるさい。付いてくるな。おまえは役立たずだ」
カイトは料理人として、オセはまあ、愛玩動物だし。
二人を連れてく理由はあれど、このマーサにはなかった。
マリィは彼女を置いてさっさと、ホウキを飛ばして去って行く。
「魔女様、次はどこへ向かわれるのですか?」
「ふ……決まってるわ」
後ろに乗ってるカイトに向かって、マリィはにやりと笑って言う。
「美味しい物が、あるところによ」
【☆読者の皆様へ】
これにて2章完結です。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
マリィの物語はまだ続きますが、一旦ここで区切らせていただきます。
3章開始は少々お待ちくださいませ。
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