表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】転生魔女の気ままなグルメ旅~婚約破棄された落ちこぼれ令嬢、実は世界唯一の魔法使いだった「魔物討伐?人助け?いや食材採取です」  作者: 茨木野
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

140/142

130.一件落着ね


 マリィは王都上空にて、泥の巨人となったグリージョと相対してる。

 グリージョには魔法の才能があった。

 魔法錬成。その特別な術式のせいで、マリィの魔法攻撃は一切通じない。


『オロロロロオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!』


 どばっ! と泥が津波となってマリィに押し寄せてくる。

 マリィは……その場から動かなかった。


『なにやってのよあんた! 死ぬわよ!』

「平気よ。だって……」


 パンッ……! と泥が弾き飛んだ。


『なんで!?』

「来たわね」


 マリィの前には一匹の、美しいフェンリルが現れていた。

 赤い毛皮のフェンリルに……マーサは驚く。


『フェンリル!? なんでこんなところに、どうして突然!?』

「私の料理人よ」

『あの犬っころが!?』

 

王都民の避難が完了したらしく、カイトが応援にかけつけてきたのだ。

 マリィはカイトの頬をなでる。ぐるるう……と彼は気持ちよさそうに喉を鳴らした。


『フェンリルを飼い慣らすとか……やばすぎでしょ……』

「カイト。泥の攻撃は、さっきみたいに防いで。できるわね?」


 こくん! とカイトが強くうなずく。

 泥の巨人が再び、泥の津波を発生させて襲ってきた。

 だがカイトはマリィを背中に乗せる。

 そして……。


「アオォオオオオオオオオオオオオオオオン!」


 大気を鳴動させるほどの咆哮。

 空気の塊は、泥の巨人が発生させた津波をかき消した。


『なっ!? また泥をかき消したですって!? どうなってるの、魔法はきかないはずなのに!』


 驚くマーサをよそに、マリィは粛々と【準備】をすすめる。

 杖を構えながら言う。


「カイトの咆哮は魔法攻撃じゃあないわ。単に叫んだだけ。それが空気の塊となって放出されて、泥を物理的にはじいただけ」


 魔法での防御は泥に触れただけでキャンセルされてしまう。

 だから、物理的に泥を弾き飛ばした、という次第だ。


『な、なるほど……』

「なんでもかんでも魔法で解決しようとしてるようじゃ、二流よ」

『う、ぎ、ぐ、あぁあああああああ! 腹立つぅうううううう!』


 マーサはマリィに魔法戦で敗北してる。マリィのほうが魔法使いとしての格が上ということが決定づけられたため、何も言い返せなかった。


「それより、あなた自分の仕事ちゃんとやってるの?」

『やってるわよ! 魔蟲どもを一切近づけさせてないわ! あんたこそぼうっと突っ立って何もしてないじゃあないの!?』


「ふっ」

 マリィが小ばかにしたような表情をとり、マーサがさらにぶちぎれる。


『なによぉお!』

「やはり二流ねと思って」


 泥の巨人が次は、その巨大な腕で地面をたたき割った。

 石畳が砕け散って、その破片がマリィたちめがけて飛んでくる。


「カイト。よけなさい」


 カイトはマリィを背中に載せると、華麗にそれを避けて見せた。

 たんたんたん! と石畳の上をジャンプして回避する。


『で、結局なにしてるのあんた?』

「すぐわかるわ。……よし、完成。カイト! 私をあの泥の巨人の頭上へと連れてきなさい」


 カイトはうなずいて、石畳を強く蹴り、天高くへと跳ぶ。

 マリィはカイトの上に立ち、杖を構える。


『魔法!? いや通じないわよ!』

「違うわよ」


 マリィが杖を構えると、泥の巨人の頭上に巨大な魔法陣が展開する。

 そして……マリィは杖をぱっと、手放した。

 杖は魔法陣の上に突き刺さると……。

 パリィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!


『魔法陣が砕け散った!? まさか、術式を破壊したの!?』

「50点。正確には、術式を中和したの」


 杖の中に、グリージョの術式を破壊する術式を汲んでおいた。

 それを、杖を突きさすことで、相手の術式を中和した。


『な、なるほどっ! あーはいはい! そういうことね!』


 あせあせ、とマーサが言う。どう見ても理解してる様子ではなかった。


「これで仕舞ね」

『オロロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』


 巨人を構成する泥が、一斉にマリィに襲い掛かってくる。

 だがマリィは冷静に、魔法を発動させた。


『そ、そうか! 相手の魔法を錬成する術式が解除されてる今なら! 魔法が通る!』

「そのとおり。大解呪!」


 瞬間、泥の巨人を構成していた汚泥が、一気に、きれいさっぱり消え去った。

 あとには全裸のグリージョが、空中に現れる。

 自由落下していくその女を……。

 ふわり、とマリィは抱き留めて、そして異空間から毛布を取り出し、妹の体にかけてあげた。

 ふぅ、とマリィがため息をつく。


「これにて、一件落着ね」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★1巻10/20発売!★



https://26847.mitemin.net/i766904/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ