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【書籍化】転生魔女の気ままなグルメ旅~婚約破棄された落ちこぼれ令嬢、実は世界唯一の魔法使いだった「魔物討伐?人助け?いや食材採取です」  作者: 茨木野
二章

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129.妹は実は才能があった



 マリィは王と上空にいた。

 マーサがおとなしく外壁外へと出ていく姿を見て、マリィが感心したようにつぶやく。


「やるじゃあないの、あのクロネコ。ただの猫じゃあないのね」


 まあオセは猫ではなく悪魔なのだが……。


「さて、じゃあ私は自分の仕事に専念しようじゃあないの」


 マリィが眼下を見下ろす。

 王都には汚泥でできた巨人が立っている。

 禁書庫の番人ロウリィにほどこしたのと同じ魔法、有為転変が使われてるのだろう。


「大解呪」


 マリィは蓬莱山で身に着けた魔法を使う。

 あらゆる呪いを解除する魔法なのだが……。

 ばしゅうぅ! という音ととともに、魔法が解除されてしまった。


「ふぅん……ちょっとはやるじゃあないの」

『オ、オロオロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』


 おぞましい化け物の叫び声。

 声のするほうを見やると、泥の巨人がマリィめがけて、腕を振るってきた。

 マリィは結界魔法でそれを防ごうとする。

 バキィイイイイイイイイイイイイイン!

 結界が粉々に砕け散ってしまった。そのままマリィを張り倒そうとしてくる、が。

 マリィは乗ってる箒を操作すると、敵の一撃を華麗によけて見せる。


「なるほどね……そういう仕組み」

『ちょっとちょっとちょおおっとあんた! 何やってるのよ!』


 そのとき、マーサのやかましい声が聞こえてきた。キョロキョロと見回すと、マリィの魔女帽子の上に、蝶々が留まってるではないか。

 マーサの使い魔だった。そこから、マーサは五感情報を共有し、声を送ってるようだ。


『何あんなのに苦戦してるのよ!』

「作ったのはあなたではなくて?」

『きっかけを作ったのはアタシ、だけど。でも、あの力はアタシが施した術式じゃあないわ』


 術式。魔法の設計図のようなもの。ここに魔力を流すことで魔法が発動する。

 そう、魔法なのだ。


「わかってるわ。あの術式はグリージョが生まれつき持ってるものでしょ?」

『そ、そうなの?』

「ふぅ……」


 魔法の知識がなさすぎて、マリィはこの女が、自分と同じ魔女というカテゴリーにされてるのが、嫌な気持ちになった。


「多分グリージョには魔法使いの才能があったのね。あれは、すごい術式よ。そうね、名付けるなら【魔法錬成】かしら」

『ま、魔法錬成……? どんな魔法なの?』

「敵の魔法を分解し、自らの魔力に変える魔法ね」

『んな!? なにそれ! それって敵の魔法を解呪ディスペルするだけじゃあなくて、その魔力すらも吸収できる……1つで二つの効果を持った魔法じゃあないの!』


 マーサが驚くほど、その魔法は高度なものだった。

 だからこそ、マリィは確信をもって言う。


「今わかったわ。グリージョは、この世界において、高い魔法適正を持っていたのね。だから、法力が弱かった」


 法力。法術(※治癒魔法)を使うための力。

 マリィもこの法力がよわかった。が、それは、マリィに絶大なる魔法の才能があったからだ。


「どうにも法力と、魔法って相反するようね」


 法力の才能が高いと魔法がうまく扱えない。

 逆に、法力の才能がないと、魔法適正が高いといえた。


『じゃあグリージョって子は、世が世なら、すごい魔法使いになってたってこと?』

「そうなるわね。まあ、その才能も、馬鹿に利用されて暴走させるようじゃあ、意味ないけどね」


 マリィは少し、ほんの少しだけ……顔をゆがめた。

 何か痛ましいものを見るような目だと、カイトやオセが近くにいたらそう指摘していただろう。

 だがマーサは気づかなかった。

 マリィがなぜ、この食べられない相手と戦うのか。


『で、どうするのこれから? あの化け物は、アタシの魔法で暴走したグリージョ。あの化け物に解呪の魔法をかけても、グリージョの術式魔法錬成によって、こっちからの魔法がキャンセルされちゃう』


 グリージョが現状を説明する。


『なにお手上げ? じゃあアタシの勝ちってことで』

「ふん、馬鹿言ってるんじゃあないわ。あなたごとき、雑魚に負けるものですか」


 マリィは杖を手に取って、泥の化け物となったグリージョを見つめる。


「かかってきなさい、グリージョ。最初で最後の、姉妹喧嘩、しましょ?」


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