137.手がかかる
マリィは蓬莱山を出て、下界へと戻ってきた。
すると地上では、大量の泥におかされた王都の街が広がってる。
「魔女様だ!」「あのお方なら我らをお救いくださる!」「た、たすかったぁ……!」
王都民たちは全員が、マリィが助けてくれることを期待していた。
しかし彼女のホウキの後ろにしがみついてる、カイト、そしてオセ。
特にオセは、この状況でマリィに救いを求める、王都の民たちに同情のまなざしを向けていた。
『かわいそうに、このエゴイストが、理由もなく人助けするわけないってのによ……』
そう……前回は魔物を食べるという目的があったからこそ王都を掬った。
しかし今回はそれがない。
しかも相手は泥の化け物。
戦って勝ったとて、食べられるわけがない。そんな魔物をマリィが倒すわけがないのだ。
『魔女様、帰るんだろどーせ。下の騒ぎなんて無視してよ』
さすがに魔女との付き合いもそこそこ長くなってきたため、マリィがどういう考え方をするのか、オセはわかっていた。
だからこそ……。
「いえ、助けるわ」
『は、はぁああああああああ!?』
オセは、驚愕した。
マリィが、あのエゴイスト魔女がである。
食べ物が絡んでいないのに、人助けするといってきたのだ。
カイトは「さすが魔女様です!」といつも通り、マリィが人を助けるのだと思って言う。
だがオセは違うのだ。
マリィがそもそも、基本的に誰かのために戦うことなんてあり得ないことを、知ってる。
呪術王のときでさえ、彼女にはお寿司を食べるという動機があったからこそ、戦っていた。
だが今回はそういう、動機(食べ物)が存在しない。
『ど、どうしたんだよ、あんた。頭でも打ったのか?』
「落とすわよ、こっから」
マリィはホウキの上に立ち、接骨木の杖を取り出す。
「カイト、オセ。あなたたちは王都の民をあの泥から守りなさい。私はあの泥をなんとかするわ」
「わっかりました! いきましょ、オセ様!」
カイトはオセを抱っこすると、ぴょいっとホウキから飛び降りる。
オセたちが降りたのを確認してから、杖を振る。
魔法陣が出現すると、そこからマーサが降りてきた。
「おい」
「むにゃむにゃ……」
「落雷」
「ほぎゃぁああああああああああ!」
女の子が出してはいけない声を出す、マーサ。
「何すんのよ!?」
「あんたの術式でしょ、あれ」
マーサの首根っこを掴みながら、あごでしゃくって、地上の泥を指す。
マーサは「ああ……そうね」とうなずく。
「解除しなさい」
「無理。一度発動させたら、触媒が死ぬまで泥を発生させ続けるっていうしばりで発動させてる術式だから」
「……ちっ。無能が」
「なんですって!」
ぱ……とマリィが手を離すと、マーサが地上へと墜ちていく。
「ふぎゃぁああああああああああああああああああ!」
ぴた、とマーサが一瞬、空中で止まる。
マリィが魔法で、宙づりにしているようだ。
「オセとカイトを手伝いなさい」
「な、なんでアタシが……」
「このまま頭から墜ちて死にたいの?」
「ひぃい! 手伝いますううう!」
マーサを恐怖で従わせることに成功したマリィは、目を細めてつぶやく。
「……ほんと、手がかかるんだから」
そのつぶやきを聞いた者は誰もいなかった。
マリィが、【とあるもの】を見つめて、言っていたことも。
【★新作の短編、投稿しました!】
タイトルは――
『俺だけステータスオープンできる件~ごみスキル【開く】のせいで実家を追放されたが、ステータス確認できる俺はチートスキルもS級アイテムも選び放題。馬鹿にした皆、金も名誉も手にした俺を見てねえ今どんな気分?』
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