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【書籍化】転生魔女の気ままなグルメ旅~婚約破棄された落ちこぼれ令嬢、実は世界唯一の魔法使いだった「魔物討伐?人助け?いや食材採取です」  作者: 茨木野
二章

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134/142

134.泥の化け物、ふたたび




 マリィがマーサを撃破した、一方その頃。

 ゲータ・ニィガ王国。



 王城の地下牢では、マリィの妹グリージョが捕まっていた。



「くそぉおお……ちっくしょぉおおお……」



 グリージョは小汚い牢屋の隅っこ、ベッドの上で三角座りしている。

 衝動的に髪の毛をむしった結果、ベッドには抜け毛が落ちていた。



 何度も何度も、グリージョは繰り返し怨嗟の言葉を口にする。



「マリィぃい……あの女のせいで、こんな目にあったんだぁ……許せない……許せないぃいい……」



 別にマリィがグリージョをおとしめたわけではない。

 自分の力を見誤ったのがそもそもの間違いだった。



 途中で、グリージョはマリィの影響に気づいていた。

 姉が居たからこそ、自分の力は増幅されていたのだ。



 そこで、自らが劣ってることを認め、姉に対して謝罪すれば、こんな牢屋に捕まることはなかったものを……。



「それもこれも、全部マリィのせいだわ! くそっくそっくそっ! アタシのこと心の中では馬鹿にしやがって! ちくしょおぉお! ちくしょぉおおおおおおお!」 



 グリージョのなかでは、マリィは力を持ちながら、それを隠していたというストーリーができあがっていた。

 姉は自分を内心見下していたのだと……。



「くそくそくそ! なんであんなやつに力が! アタシの方がすごいのにっ! あんなやつになんで力があって、どうしてアタシにはないのよぉお!」



 負の感情がグリージョの中で蓄積されていく。

 妬みそねみ……。



 マリィにたいする、強い感情がため込まれていく。

 そして、グリージョの体に付与されていた、術式が……。



 マーサの敗北をきっかけに、発動する。



『力が欲しいか……?』



 誰かがささやく。

 周りを見渡しても、誰もいないことに気づいた。




「だ、誰……?」

『力が欲しいか? あの魔女を凌駕する、力が』

「!」



 マリィのことを言ってるのだと、グリージョは直ぐに気づいた。

 姉を凌駕する力……。



「ぜひ、欲しいわ!」



 姉が強いなんて認められないグリージョは、その悪魔のささやきに、耳を貸してしまった。

 突如、激しい吐き気がグリージョを襲った。



「な、なにこれ……うぷっ!」



 グリージョは吐き出してたまる物かと、口を押さえる。

 だが……体の毛穴から、ドバッ……! と何かが吹き出した。



「な、なにこ……おええええええええええええ!」



 口からも吐き出たのは、どす黒いなにか……。

 否、よく見ればそれが、泥であることがわかる。



 汚泥。そう表現するほかない物体が、グリージョの体から次から次へと吐き出されていく。



 汚泥は石の地面をじゅうじゅうと焼く。

 どうやら強い酸性が含まれているようだ。



 グリージョの体から吹き出した汚泥はあっという間に牢屋の外に漏れ出る。



「な、なんだ!?」「牢屋からこれは……泥?」「いぎゃあ! 足がぁ……!」



 異変に気づいた騎士たちが、すぐさまグリージョの牢屋の前へとやってくる。

 ……その頃には、グリージョはすっかり変貌していた。



「な、なんだこの、化け物はぁあああああああああああ!?」



 その姿をマリィが見たら、これ見覚えあるわ……と言ったことだろう。

 そう、蓬莱山の守護者である、ロウリィと同じ……泥の化け物の姿になっていたからだ。



 ただし。

 ロウリィのときとちがって、グリージョの場合は原型がとどまっていない。



 ロウリィの場合は竜の姿がかろうじて見えたが……。

 グリージョの場合は、止めどなくあふれ出る泥のせいで、人間の形をしていない。



 泥から巨大な顔と腕が這い出てるような、そんな奇妙なモンスターの姿となっていた。



『い、いやぁあ……いやぁあああああああああ! こんな醜い姿は、いやぁああああああああああああああ!』



 ……だがその泣き叫ぶ姿からは、かつての美しいグリージョの姿は見られない。

 醜い化け物が、雄叫びをあげてるようにしか、見えないのだった。

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