133.テクい魔女
マリィは落雷一発で、マーサを撃破して見せた。
倒れ伏すロリ魔女を見つめながら、リアラ皇女が呆然とつぶやく。
「あ、あんな凄い化け物魔女が、あんな……静電気みたいな一撃で、倒れるなんて……」
端から見れば、そう見ていたのだろう。
だが悪魔オセは首を振って言う。
『たしかにあれは、初歩の魔法、落雷。相手を麻痺させる状態異常魔法だ。攻撃魔法ですらない一撃だ』
「状態異常……つまり、攻撃力はないと?」
『ああ。だがあれのすげえとこは、魔法障壁をぶち破ってるところだ』
「障壁……?」
『ああ、隠蔽されていたが、マーサの体には幾重にも、敵の攻撃を防ぐ障壁が張ってあったんだよ』
魔法への適性がない一般人からしたら、なんのことかさっぱりだろうが。
しかし魔法適性の高い悪魔である、オセには見えていたのだ。
マーサを包み込む、障壁が。
『あの何十何百にも張った障壁を、あんな初歩の状態異常魔法で、貫通できるわけがないんだ』
「すごいことってことです?」
『そのとおり。恐らくマリィは、魔法障壁の隙間をぬって、攻撃を当てたんだろう』
「隙間……」
『魔法障壁には、わずかだが隙間が存在する。その隙間を全部ぬって、敵に落雷を当てたんだ。針穴に糸を通すのを、何十何百回もやってのけたっていえばわかるかな。しかも、たった一度で』
そう言われると、魔法に疎いリアラでも、マリィのすごさが伝わってきた。
障壁をぶち破ったのではなく、障壁の構造を見抜いた上で、その穴を全部穿いてきたのだ。
力業での破壊よりもテクニカルな所業であった。
「魔女殿、すごい!」
「魔女さますごいですー!」
わっ……! と帝国の兵士たち、そしてカイトが笑顔でマリィに近づく。
マリィはみんなに抱きつかれ、もみくちゃにされながらも……。
チョコレートフォンデュに、惜しむような目を向けていた。
恐らくもっとチョコレートぺろぺろしていたかったのだろう。
『ちなみに、あんなテクいことしたのって……?』
「消費魔力を抑えたかったからよ。大魔法で突破だと、その分お腹すいちゃうからね」
『ああ、そんなこったろうと思ったよ……』
すごいんだか、すごくないんだか、よくわからない……。
けれど、やっぱり凄い、魔女なのだと、オセは思うのだった。




