128.おかしの城、攻略
嫉妬の魔女マーサのもとへとやってきたマリィ。
だが魔女のもとへは向かわず、彼女の城の前にた。
「はぐ……もぐもぐ……うっまー!!!!!!!!!」
マーサの城は、お菓子の城。
城を構成するものすべてが御菓子なのだ。
「この、もぐもぐ……クッキーの城壁! むぐむぐ……おいしすぎるでしょぉお!」
中央に城があって、その周りに城壁が建てられてる。
本体と城壁の間には堀があって、そこにはホットチョコレートの川が流れていた。
城はホールケーキがいくつも重なっているような見た目。
城壁はそれを取り囲む、クッキー生地。
マリィは爆速で城壁をかじっていく。
「しかも……はぐはぐ……このクッキー! たんさんの種類の……むしゃむしゃ……クッキーでできてて、味に飽きないわ!!!」
よく見れば城壁は、チョコクッキー、抹茶入りクッキーなど、色とりどり、味も様々なクッキーで構築されてるのがわかる。
マリィは飽きることなく、城壁のクッキーを、まるでシロアリのごとく食べていくではないか。
「魔女様ぁ! そこのチョコレートの川からチョコを引いて、チョコレートフォンデュ作ってみました!」
またカイトという凄腕料理人+お菓子職人が加わることで、マーサ城後略が効率よく? 進む。
カイトはマリィから魔道具を借りてきていた。
一見するとただのお鍋なのだが、マーカーを水の中に置くことで、鍋の中に無限に水を転移させられるという代物。
この魔道具を応用し、カイトはチョコレートフォンデュを作ったのである。
マーカーをチョコの川のなかにおいておけばあらふしぎ、鍋の中に無限にチョコレートが湧き出すというもの。
城壁クッキーを砕いて一口大にし、それをマリィに渡してくる。
「なに!? チョコレートフォンデュって! どうやって食べるの!?」
「この湧き出すチョコレートにですね、クッキーとかマシュマロとかをつけて、食べるんです!」
「なんだそのさいこーにハッピーかつちょー楽しそうなおかしはぁ!!!」
マリィは実際にはやってみることにした。
クッキーをあふれ出るチョコにつけて、口の中に入れる……。
「ううううまぁあああああああああああああい!」
温かい、生のチョコレートがかかったクッキー。
かむたびにさくさくとした食感と、ホットチョコレートの甘い風味が相まって、最高においしかった。
「魔女様! クッキーだけでなく、マシュマロとか、フルーツとかも、あいますよ!」
「天才か貴様!」
「ありがとうございます!」
マシュマロやドライフルーツを串にさしながら、えへへとカイトが笑う。
これらはどこから、誰がとってきてるかというと……。
「急げ! 城攻めしている魔女殿のために働くのだ! 皆の物!」
「「「応!」」」
マリィのパシリ……もとい、帝国の皇女リアラと、キールほか帝国の兵士たちだった。
一度下界へ戻った彼らが、マリィの要請で、こうしてまた蓬莱山へと戻ってきたのでる。
理由は、見てのとおり、マリィの食事の手伝いだった。
兵士たちは城壁の穴(マリィが食べたあと)から中に入り、城にくっついてるお菓子をとってきては、カイトのもとへと置いていく。
カイトはその菓子を使って、さらなるお菓子を作ってる。
「すごい、魔女殿からお借りしたこの魔道具! 城の壁をサクサク砕ける!」
マリィはお菓子を採掘させるため、つるはしやスコップなどの道具を、帝国兵士たちに貸し出した。
それには身体強化をはじめとした、初歩の補助魔法がかかってる。
それのおかげで兵士たちは爆速でお菓子の城からパーツを削り出せていた。
そのおかしを、カイトが加工し、マリィがおいしそうに食べていく。
「マシュマロにホットチョコレートこんなにあうなんてー! うまー!」
「魔女様! スモワはいかがですか?」
「なんだスモワってぇえ!」
「クッキーにチョコレートと、そして少し溶かしたマシュマロをはさんで完成!」
マリィはカイトからスモワを受け取り、はむ……と食べる。
口の中でマシュマロ、チョコが溶け合って、めまいを起こすほどの甘さが襲い掛かってくる。
だがクッキーのサクサク感がちょうどいい感じに、味にアクセントをつけており、くどさを感じさせなかった。
「ふぉぉおお……♡ スモワ……しゅきぃ……♡」
マリィは次から次へ繰り出される、カイトの作る絢爛豪華なお菓子の数々に、恍惚とした笑みを浮かべる。
リアラはそれを見て、兵士たちに伝令を出す。
「伝令! スモワをもっとほしいそうだ! マシュマロとクッキーを城から採掘してくるのだ!」
リアラという指揮官がいることで、マリィが声に出して要求しなくても、欲しいお菓子が自動で出てくる。
カイトは次々とスモワを作り出し、マリィに手渡す。
マリィは受け取ったそれを、秒で口の中に入れていく。
まるで水のように、おかしを体内に摂取していくマリィに対して、オセは絶句していた。
「さすが魔女殿だ! マーサの城をこんなふうに、奇想天外なアイディアをもって、攻略するなんて! こんな方法誰も思いつかないぞ!」
『まあ、思いついても普通は実行しねえけどな……』
オセがあきれたようにため息をつく。
オセはカイトのおかしが、次から次へとマリィの腹の中におさまっていく様を見て、あきれ返っていた。
『どんだけお菓子好きなんだよ……』
「マーサのお城しゅきぃい♡ おやついっぱいでしゅきぃい♡」
しかし単にマリィがおやつを食ってるだけで、周りからは誤解を生むことになる。
すなわち、魔女マーサの城を、一人で攻略してるマリィ、という図が完成するわけだ……。
「魔女殿のために、身を粉にして働くぞ!」
リアラ皇女がマリィの雄姿に感動し、やる気を出すと、力強くうなずきながら言う。
「魔女殿をご満足させるため、われらは馬車馬のように働くのだ!」
「「「おう!」」」
オセはその様子を見て、『そんな気張らなくていいんだぜ……』といったが、その声は届いていないのだった。




