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頑張れルディ



今日はお店が定休日なため、市場に買い出しに出ている。


遅ればせながらこの街について説明すると、国名は”セルバクラッツェ”。

私の住む街の名は”ラスター”である。


世界地図のようなものは見た事もない。

そのため具体的な事は何も言えないが、カルアルイーナという大国の北東に位置しているらしい。

その大国と同盟を結んでいる状態。

守ってもらっている、というか、虎の威を借る狐状態、というか。


ラスターは東は海、北西には小さな山脈があって、自然豊かな街といえる。貿易も盛んだ。




常に最新のものだったり、他国の奇妙なものが軒を連ねる市場へと急ぐ。

普段なら、好奇心に負けて要らないもの、何の役に立つかも分からないものを買ってしまうのだが。

今日の道中は違うようだ。


最近セツの頭を離れない考え事が、くるくるくるくると回る。




「乙女ゲーム…」




ルディの話を聞く限り、王城では的確な状況把握が行われているようである。

つまり、シルヴィア様が謂れのない罪に問われたり、バカ側から婚約破棄され傷がついてしまったり。

勢い余って国外追放になる事もなさそう。


というか、カーラの存在ってなんだろう?


もし本気で乙女ゲーム風の物語を作ろうと考えた時、カーラってめちゃめちゃヒロインっぽくないか?

平民で、頭脳明晰で、しかも可愛い。料理もできるし家族想い。


王道じゃん。


……え、カーラ大丈夫かな。心配になる。

お花畑ちゃんに害されたりしない?


あーそしたら、シルヴィア様は悪役令嬢だよなぁ。



もしかして、ここ乙女ゲー世界だったりする?

普通にただの異世界だと思ってたんだけど。

乙女ゲームはやった事ないし、転生もののラノベを読んだことがあるくらいだ。

〝ゲームの強制力〟とか言われたらホントに分からない。

お花畑ちゃんの立ち位置も分からない。


ルディももしかすると攻略対象者だったりしそう。

学生時代には数々の伝説を打ち立て、卒業後は子爵位なのに第一王子の側近。

”攻略対象者のエピソード”としては申し分ないよね。


あ、そういえば、実際にカーラとも交流があるって言ってたな。しかも好印象だったって。

お?おおお?

ちょっと楽しくなってきた…!

乙女ゲームの世界であろうとなかろうと、もう関係なしにくっついちゃえば良いんじゃない!?

大歓迎する!!







んんんー、まあ、お花畑嬢が国母になる流れだったら本気で悩んでいたかもしれないけど。まあ要らない心配だろう。

そうなりかけたとしても、きっとルディがなんだかんだで頑張るだろうと思っている。


んーとさ、国とか政治のことについては、そもそも私に介入出来る部分なんて皆無。


考えても意味ないんだし、国を混乱させないのであれば何でもいいや、というのが私の端的な意見かもしれない。

貴族同士で勝手に決着つけてね、て感じ。


多分落ち着くところに落ち着くよ。

頑張れルディ。陰ながら応援してる。


お花畑嬢については知らん。

バカの愛人に落ち着くのか、どこかの修道院にぶっこまれるのか、はたまた処刑されるところまで行くのか。

まあ最終的に王子以外を選ぶのかもしれないんだけども。

それなら修道院生活か、相手が勘当されて貧乏生活。悪けりゃやっぱ処刑かな。


いやぁー処刑はちょっと後味悪いか?


はあ。お花畑嬢ってシンプルに勇気あるよね。

スリリングな道を行くなぁ。ハイリスクハイリターン。

それともただのアホなのかな。

バカなのかな。


もしくはよっぽど自分に自信があるのだろうか。


ああ、そういえば、SSランクのポーションとか魔導回路とかの開発って、現代知識の応用だったりするのだろうか。

もしくは乙女ゲーム内の知識?


うーん……分からない。

本人と会って話してみないことには、判断しにくい。



王子が卒業するまであと約一年。

今は3月中旬。数週間後には4月に入り、バカやシルヴィア様、カーラ達が貴族学校4年生になる。


よし。

この一年をどうにか平穏に暮らしてもらって、バカ太子様にはお飾りの王様になってもらおう。

ルディとか周りが補佐してくれるから大丈夫。

あとは、哀れなお花畑親衛隊の皆さんは、各家々からバッサリと勘当してもらっちゃおう。

ほぉ〜らスッキリ!






ここ数日それなりに悩んだその結果。

要は、「ルディ頑張れ」だ。


セツがわざわざ応援せずとも、それが彼の職務ではある。ただ、手を抜かず、職務放棄せず、ブラックな環境で耐えてくれという祈りを込めた応援とも言えるかもしれない。

ルディが倒れたらどうなるんだろうかと、詳細な仕事内容を知らないセツさえも危機感を抱いていたためだ。


彼が店に来た際には、ちょっとだけ帰れ帰れと言う回数を減らそう、あとルディ専用の仮眠室でも作ってあげるか?と思う程度には、心のこもった祈りだ。

もちろん、ケーキ代や紅茶代の免除、減額には断固拒否の態勢ではあるが。


正直、売れ残りのケーキを無償で提供してもいいとは考えているのだが。

しかし、やはりルディに必要なのは、金銭的支援ではなく精神的支えであると誰が見ても明らかだろう。

ならば、いくら友人になろうとも、ありがたく料金を受け取っておいて互いに損はない。


それに売れ残った分は、"賞味期限間近"として、店で出すものより何割か安くして販売している。

そのほかにも、型崩れしたものや焦がしてしまったものなど、失敗作も同様に売り出している。

実は試作品として作ったものも、正しく"試作品"と明示して同じように販売することが多い。

そうして客の反応を見て、正規品として売り出すか判断することがある、というか、ほとんどはそうだ。


まあ、プレゼント用だったりかなりのお金持ち以外は、こちらの割引き商品を買っていく。

だから10割の値段で売る商品も、その後割引きして販売する時のことを考えて、生産量を調節していたりする。

もはやどちらが正規品で、真の商品なのか微妙ではある。




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