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お題シリーズ3

長いカビの夢

作者: リィズ・ブランディシュカ



 ジメジメした梅雨の時期。


 こまめに掃除をしないとシンクのまわりや、お風呂にカビが生えてしまう事がある。


 不衛生だから、できるだけ気を付けておきたかったけど、忙しい事がかさなるとつい後回しにしてしまう。


「あーっ、カビが生えてる」


 だから、ひさしぶりにじっくりチェックしたシンクの周りは、カビがたくさんはえていた。


 はぁ、お掃除用品きらしちゃってるし、もうちょっとこのままにするしかないかな。


 道具がなかったこともあって、私は疲れた気持ちで、その作業を後回しにした。


 こういうのって、一度後回しにしちゃうと、ずるずるどんどん後に後にって考えちゃうのよね。


 私は、スケジュールの事を思い浮かべながら、その日の眠りについた。


 まあ、いいよね。


 暇がある時やればいいんだし。






 その日、私は夢の中でそれと出会った。


「かび!」


「かびかび!」


「かびかびかび!」


「いやああああああ」


 目が合うなり襲い掛かってこようとしたのは、まさにカビだ。


 その丸くて緑色したカビ達は、四方八方から私へ押し寄せてくる。


 なんかねとねとしてて、不衛生そう。


 とても嫌だ。


「きゃあああ、ちゃんと掃除します。こないで、やめて、誰か、たすけてー」


 おいかけてくるカビの数は三桁はありそう。


 カビに埋もれて死ぬなんて、そんな間抜けな死因は嫌だ。


 私は必死の抵抗で、せまりくるカビの包囲網から逃げ続ける。


 逃げて、逃げて、逃げ続けて。


 そこで夢が終わっておけばよかったんだけど。


 夢はまだまだ続く。


 長い!


 ふつうここでおわっておくものでしょ


 お掃除やめとこうって言ってた私の日常タイムの長さと比率があってない!


 そんな私は逃げ続けている間に別の場所に移動していたらしい。


 気が付いたら落とし穴に落ちていた。


 なぜ落とし穴!


 私は、水のたまったシンクにドボンしていた。


 泳いでいると、水底からカビの変えた食器たちが襲い掛かってこようとした。


 お皿とかフォークとかに緑色のカビ達がくっついている。


「いやああああ。こういうのって一回悪夢見たらそこで夢がさめるものでしょおおお。無駄に場面転換しないでよおおおお」


 私は必死に逃げた。


 学生時代以来、一度も思い出した事がない水泳のフォームを思い出しながら。


 泳いで、泳いで、泳ぎまくった。


 おそらく映像記録や写真には残せないような必死の形相で、泳ぎまくった。


 そしたら、なぜかお風呂場にいた。


「かび!」


「かびびびび!」


 そこにもやつらは、いた。


 シャワーヘッドの穴から顔をだして、そして降ってくる。


「だからもうやめてぇぇぇl」


 私は頭をかばいながら、猛ダッシュ。


 必死で落下予想地点から走って逃げた。


 途中で足元のぬめりで滑って、お尻を強打したのがきつかった。







 そこで、私はベッドから落ちて目が覚めたのだった。


 長い悪夢だった。


 カーテンの隙間からは朝日が差し込んでいた」


「ぜぇ、はぁ。いくらなんでも長すぎるでしょ! 比率ってものを考えなさいよ!」 


 とりあえず思うのは「絶対今日、お掃除しよ」という事だった。


 私はこれ以上掃除を後回しにして、同じ夢を見たくないなと思った。



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