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(14)

「メイジー、あの詩は何なのよ」


 教室に行くとレイチェルがメイジーに詰め寄っていた。


「な、何って……?」

「とぼけないでよ」


 レイチェルは手に持っていた紙切れをメイジーの目の前に突き出した。

 キャシーとブリトニーが横からそれを覗き込む。


「これ、メイジーの詩?」

「穀物新聞の?」


 二人には状況が飲み込めていないようだが、レイチェルの瞳は怒りに燃えている。

 メイジーが首を傾げた。


「この詩が、どうかしたの?」

「これ、私が書いた詩を真似して書いたでしょ」

「え……?」

「この三節目の表現、詩作の授業で私が選ばれた時の詩とそっくりじゃないの!」


 キャシーたちが紙切れを手に取って読み始めた。


「そう言われれば、読んだことある感じがするわね」

「確かに……。主人公の心情を現す言葉とかが、なんだか……」

「そこだけじゃないわ」


 レイチェルは悔しそうに唇を噛むが、メイジーは「たまたま似ちゃうことって、あるんじゃないかしら」と、困惑したように小さく笑った。


「たまたまじゃないでしょ。私の詩を授業で聞いてたんだから」


 メイジーが黙り込むと、どこかから「被害妄想じゃないの」という囁きが聞こえた。

 やや人を見下すところのあるレイチェルをよく思っていないクラスメイトの誰かが言ったらしかった。


 それに励まされたように、黙り込んでいたメイジーが口を開く。


「あの……、何かを参考にしたり、何かの影響を受けたりすることって……、誰でもあるんじゃないかな……」


 メイジーが弱々しく言うと、誰かが「そうよね」と同意の声を漏らした。

 キャシーとブリトニーは困ったように周囲を見回し、レイチェルに視線を戻す。


 レイチェルはメイジーを睨みつけた。


「参考にしたとか、影響を受けたっていうレベルじゃないわ。これは模倣よ」

「そんなこと言われても……、私は……」


 泣きそうな顔でメイジーがうつむくと、周囲の目が同情的になる。

 それと同時に、レイチェルを責める空気が強まってゆく。


 詩を作る上で何からも影響を受けないということはないし、何かを参考にすることは確かにある。

 メイジーの言うことは、いかにも正論のように聞こえた。


 けれど……。

 

「泣きたいのはこっちよ! あんたに盗ませるために、あの詩を書いたんじゃないんだからね!」


 そう叫ぶと、レイチェルは教室を出ていってしまった。


 ビミョーな空気が満ちる中、フェリシアは教室に足を踏み入れた。


 キャシーが持っていた紙切れを見せてもらうと、それは穀物新聞に送られたメイジーの詩の写しだった。

 少し前にメイジーの名前が掲載された時のもので、その時は、詩そのものは新聞に載らなかった。


 どのように手に入れたのかはわからないが、詩作に熱心なレイチェルが、メイジーはどんな詩を出したのだろうと気になって取り寄せたようだった。


 ざっと読み始めて、すぐに、フェリシアはメイジーが何をしたのかを理解した。

 固有名詞を変えただけの箇所が何か所か目に入り、ほかにもあちこちに語順を少し変えただけの箇所、レイチェルの詩と全く同じ内容の物語が展開されている箇所があった。


 そして、読んでいくうちに背筋がひやりとし始めた。


(これ……)


 その後ろに続く物語は、フェリシアが授業で提出したものと瓜二つだった。

たくさんの小説の中からこのお話をお読みいただきありがとうございます。

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