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雲の上学園生徒会記録  作者: skyofnet
第7章『雲の上期末テスト』
94/119

94 学校の会談・再び

夜12時。桜は屋敷を抜け出して一人、雲の上旧校舎へとやってきた。


「茜さんに見つかったら殺されちゃうよ…。つーかあの座敷わらし…つーか幻想の座敷わらしのイメージをぶち壊しすぎだろ、あの格好は…」


すると、噂をしていた座敷わらしが現れた。

桜の思っていた幻想の座敷わらしとは、子供でおかっぱな女の子の姿であり、

対して今目の前にいる座敷わらしは、キセルを吸い、30代近い格好をしている。


「なんだ?私の噂でもしてたのか?」

「いや、考えて見れば、あんたが座敷わらしだっていう保障はどこにもないんだよね。だって今のところ自称なわけだし。他の妖怪さんがそう言ってるなら信じるけどさ。」


正直桜は、この人物(妖怪)を座敷わらしと信じたくないという部分があった。


「ああ、そうか。なら仲間を紹介しよう。みんな私を座敷わらしと呼んでいる。」


案内されたのは、旧校舎のとある教室。


「おい、連れてきたぞ。」


ふよふよっと鬼火が漂う。はっきりといって異形な光景である。

そして鬼火は形を成し、妖怪が現れた。


「おお、これが桜って娘かえ?」

「……。」


桜は絶句した。

なぜならその人物は…


顔がない。首はあるけど顔がない。


「あ、わし“のっぺら坊”いいます。よろしょう。」

「あんたどこで喋ってるの?」


桜はビビるより、そこを疑問に思った。


「魂で喋っております。」

「はぁ」


いまいちわからないが、追求してもわからないと思いそこで止めた。


後ろでガラッと教室の扉が開く音がした。


「おまたせ。ごめんね、遅れちゃって。」


今度は人体模型。歩く人体模型といった所か。だが、なぜか声は女であった。

続いて入ってきたのは、外見は普通の男性。


「よ、座敷。」

「“首なし”。遅刻だぞ。」


首なしというわりには首と身体が繋がっていた。


「あれが、首なしなの?」

「ああ、わからんか。おい首なし、人体模型に返してやれ。」

「ちっ、仕方ねぇな。ほら。」


首に手をやると、スコーンと首だけが外れた。

その反動で、頭部分が地面へと落ちた。


「痛て!模型とってくれ!」

「私の首で遊んで何してるの!」


人体模型はコロコロと転がった頭を身体にセットしてあげた。


「…」

「っ!殺気!」


桜は背後に殺気を感じ、飛びながら距離をとった。


「花子、来てたのか。」

「は…なこ??トイレの花子さん??」

「知ってんのか。ああ、学校の七不思議ってのであったな。」


桜が困惑するのも無理はなかった。

トイレの花子さんと言えば、赤いワンピースの女の子というイメージがある。

だが、この花子さんとは、髪は怖いほど長く、後ろだけ長いのではなく、前髪も長く、髪で顔がわからない。来ている服は、赤いワンピースに赤い靴。


「正直かなり怖い…」

「ぁ…」


花子は何かを喋っている。桜は耳を花子の口へと近づけた。


「おなかへった。」

「やっぱり子供っぽいこと言ったのね。」


どうやらこれで一通りメンツがそろったらしい。


「さて、改めて紹介をしよう。のっぺら坊、首なし、人体模型、花子だ。」

「ウチの平穏な生活を返せ。」

「で、本題へ入ろう。」


プハ~っと煙をはく。


「まず座れ。」




教室の椅子へと座敷わらし以外の五人(妖怪含む)。


「我々、旧校舎側の妖怪はいたって健全であることはお前らも知ってのことだが。」

「ウチまで妖怪で一つくくりすんな。」


桜は手を挙げて主張するが、見ることなく無視をされた。


「だが、我々のことを快く思っていない連中、そう旧旧校舎の連中だ。」


旧旧校舎。桜には聞き覚えがない単語であった。


「そこの“メリー”と“テケテケ”に我ら飲み仲間である“二宮金次郎”が誘拐された。」


たまらず桜は手を挙げた。


「何だ、さっきから目障りだな。」

「あんたらさっきからウチの知らない単語ばっかり言って、何言ってるのかわからないよ!」


座敷わらしは明らかに面倒くさそうな態度を取る。周りからも空気を読めなどのブーイングの嵐。


「まず、旧旧校舎ってのは、ここよりも古い校舎のことだ。」

「そんなのあったの?」


桜は小中高と雲の上学園に通っているが、旧旧校舎など聞いたことはなかった。


「ああ、一般には知られないように林の中に隠してある校舎だ。」

「なんでそんな…」

「のろい。」


喋ったのは花子であった。今までずっと黙っていたので桜は驚いて腰を浮かしてしまった。


「の、呪い?」

「そうだ。呪いだ。呪いをかけられているから、黒雛理事長も手を出せないんだ。」


桜は驚愕した。“あの”暴君で知られ、別名歩くサイクロンと呼ばれる黒雛理事長が、何も出来ないなんて。しかもそれがすぐ近くに存在していたなんて。


「で、そこにいる妖怪ってのは正直“やばい”。私たちとは妖怪力のレベルの桁が違う。」

「ようりょく…?」

「妖怪が発する不可思議な力のことだ。で、そこにいる妖怪“メリー”“テケテケ”。あいつらに私達の仲間の二宮金次郎が誘拐されたんだ。」


これでやっと話に追いついた。おそらくその件で、桜を呼んだのであろう。

つまり、手を貸せということだろう。


「一度助けに行ったんだがな。」


周りが静まり返る。


(な…何だ?)

「紫ババが消された。」


それで、静まり返ったのかのはそれが理由かと桜は思った。


「頼む…、もうお前しかいないんだ。“あいつ”はこういう問題には規定で手が出せないから…」


その時

建物全体が何かに包まれるような圧迫感に襲われた。


「っ!!!な!何だ!この威圧感!?」

「気づいたか。やつらが来た。」

「まさか!でもどうして!?」


座敷わらしは先ほどのやる気のない顔とは違い、険しく、まるで人を殺すような怖い顔になった。


「私たちを“狩り”に来た。」


座敷わらしは教室を出て、一階大広場と呼ばれていた場所へと歩き出す。

座敷わらしを戦闘に、首なし、人体模型、花子、のっぺら坊も歩き出す。




一階大広場。

ただの広いホールである。昔はここに様々な美術品が置いてあったであろうと思われる。


「テケテケテケ!狩りに来てやったぜ、」


妖怪テケテケ。真っ黒な身体をし、足はなく黒いスカートのように下へ行くたびに大きくなり地面に直接繋がっている。手には大きな棒。


「またせたな。」


座敷わらし達とテケテケは向き合った。


「テケテケテケ!」

「…ウチ、化け物系は始めてなんだけど…」

「よし、桜。行って来い!」


桜は背中を押されて強制的に前へと出された。


「テケ?まさか!」

「そうだ。人間だ。」


急にテケテケは不気味な笑顔を作り天を仰ぎ笑い出した。


「テーーーケテケテケテケ!!生肉を狩れるぜえぇぇええぇ!!!」

「あの…リアルにまずくない??」


桜は後ろを向いて座敷わらしに尋ねる。

すると、その隙にテケテケは高速で接近をしてきた。


「ヒィィィィ!!!!」

「しまっ!」


ピリリリリリっと電子音が鳴る。


音を聞くと同時にテケテケは止まりどこからか携帯電話を取り出した。

何やら会話をし始めた。


「妖怪が携帯電話ってどうよ…。」


テケテケは話が終えたようで、こちらを見ている。


「おい、座敷。出ろ」


テケテケは電話を座敷わらしに投げた。

座敷わらしはスピーカーボタンを押して、周りにも聞こえるようにした。


『私、メリーさん。今旧旧校舎前にいるの。』

「で、用件は何だ。」

『私、金次郎さんと仲良くなりたいの。でも、あの子が私に心を開いてくれないの。だから、あの子の願いをかなえてくれたら私、身を引いてもいい。』


どういう理屈なのかさっぱりである。


「で、願いって。」

『テストで100点とるの。』


ぶっと桜は吹く。


「よかろう。」

『一週間。それ以上はまたないで、…』


しばらくの沈黙。


『ぁの子をきゅう収しちゃぅから。』


気持ち悪く、心に嫌な記憶として残りそうな声で喋り、一方的に電話を切られた。


「仕方ねぇ、お預けか…」


テケテケは地面へと飲み込まれるように消えていった。




「ってことで、頼む。」

「ふざけんなあぁあぁ!できるか!ウチは赤点ラインを飛行する人間だよ!」

「だから…」


妖怪一同、頭を下げた。


「このとおりだ。私達ではもう金次郎を救えない。お前しか…いないんだ。」


ここまでお願いをされたら桜は拒否できない。


東海林桜はそういう…基本頼まれたら断ることはできない人間である。


「はぁ…、ま、がんばるか…」


桜のテストに一人の妖怪の存在がかけられることになった。


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