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雲の上学園生徒会記録  作者: skyofnet
第6章『西園寺家』
88/119

88 戦いの後へ

桜の強烈な一撃。放った突きは頼朝の腹部へ突き刺さり、後方、それは七海の近くの車へと飛ばされた。


車へ飛ばされた頼朝は、車体をへこませる勢いで飛ばされた。


「ぐはあぁ!!!」


そのままぐったりと気を失った。


「はぁ…はぁ…、ぐっ…」


気を失っている頼朝よりも桜の方が出血量でいえば気絶してもおかしくない状況だった。

先ほどの頼朝の刀を手で受け止めたとき、左手を刃に当てた為、かなりの血が出ていた。


「しばらくは…左は使えないな…」


腹部、そして左手からの出血、その他開いた傷口など、見るにたえない姿である。


その先、七海は


「どうして…、どうして…」


七海の眼から涙がこぼれていた。


「どうして?桜?」

「頼朝さんと刀を交えて…わかった。あの人が望んでいたのは…、組じゃない、七海本人が幸せでいること…だったんだよ。死なないこと…、あんたを死なせたくないって思ってた。」

「…そんな…、私は…、でも私は!父をあんな目に合わせたやつらを!」

「死ぬことは、あんたの父も悲しむ。命をはる所じゃない。死ぬことだけはダメだ。」


その時、気絶していた頼朝が気を取り戻した。


「お…嬢。」


話すだけで精一杯で、その場から動かず、口を動かしていた。


「頼朝さん…私…」

「すみません…、俺は…お嬢が…友人と笑っていられる未来を望んでしまいました。」


それ以上七海は何も言えなかった。


「識、行くよ。九龍のところへ。」

「桜!?あんたまさか!?」

「腕一本と首が動けば十分だ。」


そのとき、弁慶の携帯がなった。


「…はい、…はい、え!!はい!お嬢!!親父の意識が戻りました!!」

「お父様が!?」


七海の足がガクリと崩れた。

そばへ弁慶がかけより電話を渡す。




その頃、港では。

「…ふう。」


桜には大橋と偽名を名乗った、九龍の娘にあたる“九蛇”が港で樽の上に座っていた。

吸っていた煙草を地面へ投げるつけ、足でこする。


「来ないか。」


七海たちを呼び出した九蛇は予想外のことが起きたなぁとぼやいていた。


「なあ、ダオ。意外だったな。」


後ろから大きな影、ダオが現れた。


「ええ、西園寺七海なら動くと思ったのですが。ですが、計画は我々だけども実行は可能です。」

「西園寺家が行動を起こすということが都合よかったんだがな。」

「仕方がありません。時間もありませんし、やりましょう。」


九蛇は立ち上がり、歩き出す。その後ろには五つの影。

少女が二人、フェイ、ファイ。

大きな男、ダオ

痩せた筋肉質の者、マオ

マスクをした女、マスク


彼らは歩き出す。

九龍の船へと…




七海は電話を受け取り、泣いていた。

『七海…、組のためにとか俺の仇だとかつまらねぇことで死ぬようなマネするもんじゃねぇ。』

「でも…、私はあいつらが許せない。」

『たしかに状況は聞いた。だがな、お前の命をかけるヤマじゃねぇ。俺はピンピンしてる。』


電話をしながら七海は、うなずきながら、泣きながら、応えていた。


その様子を見て、桜は思う。


(父か…、ああいうのっていいな。信頼感があるっていうか…。)


それだけ思うと、桜は踵を返し、識の元へ向かう。


「行くのか。」

「それが目的でもある。」


識と桜はバイクにまたがり、この場を離れていった。




九龍船

船への入り口は一つ、そこへ配備されている組員は何事もないだろうと、あくびをしていた。

そこへ、九蛇がやってくる。


「あ、九蛇様。たしか船には乗られないはずでは?」

「父上に用がある。どけ。」


頭首の娘である九蛇の命令は絶対である。

道を開け通す。

その後ろ、九蛇の側近にあたるフェイ・ファイの二人がついていく。



船内の一室。パーティーも行うことができるだろうほどの広さを誇る部屋で九龍が席に座り、何かを書いていた。

部屋に入ってきた九蛇に気づいたようで手を止めた。


「どうした?」

「父上、話があります。」

「今は忙しい。後にしろ。」

「今必要なんです。」


やれやれという感じで、近くにこいと言った。


「あいかわらず大勢のボディーガードをつけていますね。」


部屋にもいたる壁にボディガードが待機をしている。

その他、船内にもいたるところに組員が待機していた。


「話とはなんだ。」

「お父様。私は常々あなたの行動を見てきて思っておりました。」


すると、九蛇は腕を腰へと回す。


「あなたのやり方は手ぬるい。私ならもっとうまくやれると。」

「ほう、では私を殺して、頂点へと立つか!?」


九龍は机を蹴飛ばし、腰に入れていた拳銃を取り出し、九蛇へと向ける。


「我が一族、親を殺傷し、頂点を奪おうとする歴史は存在した。だが、全ては失敗に終わる。我が“九龍”は貴様にやるには早い!」

「いいでしょう。では早いか、私の実力を見て判断していただきましょう。」


それを合図にしたかのように、船内で悲鳴が上がる。


「すでに兵を…、いや小娘二人か。」

「ええ、私が鍛え上げた、フェイ、ファイはよく働く。」

「だが、二人はこの部屋の外。この部屋にいるのは貴様一人、どうする。」


部屋の中には九蛇を中心に囲んだ組員が銃を向けている。


「お父様、私はあなたの知らない所で強くなりすぎた。」

「何を言っておる。」

「“言霊”という言葉をご存知ですか?」

「知らん。」


ふぅっとため息をつく。


「説明するのも面倒だ。お父様、さよならだ。」


まるで勝利を確信しているかのような台詞。自分の娘にそこまで言われてさすがに九龍も怒りにまかせて、言葉が走る。


「撃てぇ!」


その言葉と同時に九蛇ばつぶやく。


「『止まれ』」


すると、九蛇を囲んでいた組員の動きが止まる。

その様子を見て、九龍は組員が九蛇の言葉をまともに受けたのかと思い、さらに怒りを増した。


「ふざけるな!九蛇を撃ち殺せぇっ!!」


組員が再び照準を合わせる。それと同時に九蛇がまた呟く。


「『貴様らは寝ていろ。』」


その言葉を発すると、組員は全員急に意識を失ったかのように倒れ始めた。

摩訶不思議な光景に九龍は動じ始めた。


「き、貴様…何を!!」

「ですから、私が強くなりすぎたということです。では、」


バァン!っと発砲音。

九龍の持っていた銃が火を噴いた。


飛ばされた弾丸は動揺していたため、九蛇の横を通り過ぎていった。


「く…くるなぁ!」

「死ね。」




九蛇が部屋を出ると、それは惨劇という言葉が出てくる光景であった。

フェイ、ファイの二人それとダオが外から乗り込んで、組員を壊滅状態にしていた。

数名の反乱に賛同した組員を残して。

部屋から出てきた九蛇を待っていたダオから上着を受け取り、手渡された用紙に目を通す。


「お疲れ様です。」


船の外にはマオとマスクが暇そうに座っていた。九蛇が出てきたのを見て、マオが大声で叫んだ。


「ちょっと!九蛇ちゃん!!こっちにはぜんぜん人がこなかったじゃないの!!それにマスクが今日はブルーな日だからやりにくいわ!」


隣では以前はしゃべりまくりであったマスクがうつ病であるかのように下を向いたままであった。


「ほら!アンタも何かいいなさいよ!」

『ワタシ…ハ…イケン……ナシ』


その様子を見て、九蛇は


「それは済まなかったな。だが、お前たち二人が船内で暴れると、船を壊しかねないからな。」


マオはまだ不満があるようで、ぶつぶつ言っていたが、九蛇はそこで話を無視し、歩きながらダオと話をし始めた。


「状況は。」

「現在、反乱に賛同した兵が拠点制圧のため活動中。制圧後、貴女様の“九龍討伐”の発表を待つべく待機するとのことです。」

「よかろう。技術班の“ミラ”はどうなっている。」

「ミラ博士は現在潜入操作にて、技術の回収に努めております。例の…」

「ああ、“あの学園”だったな。ふふ、あの学園と私のやることはどこか因縁めいているものがあるな。」


何かを思い出し、笑みがこぼれる。


「それから“鏡恭介”殿の件は…」

「それについては移動の車で聞こう。」


船を降り、ダオが運転する車を待つ。

船はマオとマスクが運転し、予定された場所へと運ぶ。


「では、始めるか。我が組織、“九蛇”が門出として、父よ、安らかに眠るがよい。」





THE AFTER…

桜と識が港へ行くと、七海の言っていた時間が過ぎていたので、誰もいなかった。

その翌日。


包帯をグルグル巻きにしながら桜は学校へ登校してきた。


「ちょっと桜!?何それ!!?」


生徒会室へ入ったとき、部屋の中にいた氷柱に言われた。


「え~っと…、ドーベルマンにかまれた。」

「嘘!?」


さすがに本当のことは言えなかったので、適当に流した。


「これなんだけど…、」


氷柱が手に持っていたのは、七海の眼鏡であった。


「七海の眼鏡よね。忘れたのかしら?」


七海の眼鏡…それは、不良であったその時代と決別するためにかけた物であった。そして、同じく、生徒会を辞め園寺家を継ぐため、今の生活と決別するために捨てた眼鏡であった…“が”


エレベーターが昇り、一人の人物が出てきた。





「おはよう。昨日眼鏡忘れちゃった。」





再び、日常が始まった。


次回予告

桜「やっとこの章が終わった…。」

識「長かったな…」

桜「この話は連載前から考えていたけど、文章にすると、大変なんだなってよくわかった。」

識「まったくだな。作者があまり本を読まないから、文章を作るのに大変だった。」

桜「それはさておき、今回は6月の話だから、次回は7月の話でもやるのかな?」

識「ああ、期末テスト編だ。」

桜「なっ!!きっききき期末テスト???」

識「高校生なんだから当たり前だろ。」

桜「いや、うちはこのままバトルマンガにシフトしてくれたら嬉しかったけど…、テストって…テストって…」

氷柱「言っておくけど、私とクラスが違うからノート貸しても意味ないわよ。」

桜「あ、氷柱。いつの間に。」

氷柱「それと、テストの成績が悪いとペナルティがあるらしいわ。」

桜「んなぁ!?」

氷柱「詳しくは、次回本編でね。」

桜「あ、締められた!ととととにかく、次回、“期末テスト編”!!」


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