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雲の上学園生徒会記録  作者: skyofnet
第6章『西園寺家』
82/119

82 西園寺の誓い

桜が目を覚ましたのは、家のベッドの上だった。


「ん…あれ…?」


確か廃ビルの屋上で…と桜は記憶をたどる。

周囲を見渡すと、茜が椅子に座って眠っていた。おそらくずっと看病してくれたのだろう。

布団から出ようと、ベッドから足を下ろす。


すると


「いっででででっ!!!」


体中に痛みが走り、悲鳴を上げる。

その声を聞いて、茜が目を覚ました。


「ん…桜?」


茜が目にしたのは、ベッドに寝ている桜ではなく、地面に寝ている桜であった。


「寝るならベッドに寝てください。」

「…そんな冷静なツッコミ…」

「というか桜、あなた戦争でもしてきたんですか?」

「戦争屋に近い殺し屋と戦ってきた…。」


茜が笑っている。桜にはその笑いは、鬼の形相に見えた。


(殺される…)


死を予感した。



茜から聞いたいきさつでは、屋上で一人寝ている桜を識と黒井が回収したということらしい。


「待ってよ!七海は!?」

「西園寺さんはいませんでしたよ。」


それを聞いて、一つの可能性が頭をよぎる。

おそらく頼朝というやつが、七海を回収したのだろう。


「なら、安心かな。」



西園寺家

「…ん…」

「お嬢!!」


七海が目を覚ましたのは西園寺家の自室であった。

そばにいたのは、頼朝と弁慶。他の組員はどこにもいない…


いや、何か雰囲気がおかしいと感じる。


「頼朝さん。何が?」

「はい。それが」




桜たちが、廃ビルで戦っていたとき。

弁慶は他の組員と西園寺家で待機をしていた。


「弁慶の兄貴!客人が来てます。」

「客だと?今は親父もいないから追い返せ。」


組員は玄関へと走る。


「こんな時間に何だってんだ、」


時計は午前6時。

あきらかにおかしい客人であった。

組員に追い返すように指示をしたが、少し胸騒ぎがした。


「おい待て!」


大声で呼び止める。

返事が返ってきた。間に合ったようだ。


「俺が直接追い返す。下がっていろ。」

「へい。」


弁慶が玄関へ行くと、一人の男性が立っていた。

大柄な体躯に灰色の長いコートを着ており、どこか異様な雰囲気をかもし出していた。

早々に早く追い返そうと思った。


「悪いが、親父もいねぇ。今日は帰ってくれ。」

「そうか。」


立派な日本語を話す。

外国語だったらどうしようかと思った。


「でしたら、これだけでもいいので渡してもらえませんか?」


男はコートの中から、手紙を取り出した。

その手紙には、文字が書いてあった。


「九……龍。九龍!?」


それに気づいたとき、弁慶の身体にはナイフが刺さっていた。


「がっ…」


まだ動ける。弁慶は力を振り絞り、相手を睨む。

だが、すでに男は弁慶の後ろへと移動していた。


「ま…て!!」


男は首だけ振り向けると、冷たい目をしながら言葉を残した。


「お前はもう、負けている。」


瞬間、身体中に刺された大量のナイフに気づいた。


「ぐあああっ!!!」

「もう切られてる。」


その叫びを聞いて、組員がわらわらと出てきた。


「兄貴っ!!」


ナイフを持っている男を見て、こいつがやったのかと思い、ドスを抜き出して突撃をした。

向かってくるドスを指だけで掴み、弁慶へと振り返った。


「我が名は、“九龍の幹部、ダオ”だ。覚えておくといい。」


そのまま、前へ進むと同時に組員が倒れていく。




「そんな…。」


七海は自分がいない間に起きた惨劇を聞いて、血の気が引いた。


「犯人は…?」

「おそらく九龍の幹部かと。」

「あいつら!」


ぐっと唇をかむ。何もできない自分を悔やんでいた。


「私は…」

「お嬢。」


すると、屋敷内の電話が鳴った。

話を中断し、失礼、と言い頼朝が電話を取りに言った。


「はい、」

『どうも、私は九龍の者です。』


頼朝の手が一瞬震えた。まさか、襲撃したグループから連絡があるとは思いもしなかった。声からして女のようだ。襲撃犯ではないが動揺を気取られないよう、気を取り直し応対する。



「何のようだ。」

『すこし動揺してるかなと』

「…」

『本題に入ろう。西園寺七海を出せ。』

「断る。」

『そうくると思った。なら貴様らに有益な情報をやろう。どうせ近くにいるんだろう?スピーカーボタンでも押して聞かせてやれ。』


チラリと後ろを見ると、七海がいた。何の話をしているのか聞こえているわけないが、頼朝の様子からおおむねどういった話かは理解しているようだ。

概要を七海に伝え、スピーカーボタンを押し、七海にも通話声が聞こえるようにした。


『さて、貴様らがほしがっている九龍の当主である、“九龍”の首だが、くれてやるチャンスをやろう。』

「それを信じるとでも思っているのか?」

『私は、組を辞めたいんだよ。だから貴様らに情報をくれてやってる。』


七海としては、現在もう手がかりがないので願ってもないことだが、信憑性にかける。


『まぁ、信じる信じないは貴様らの自由だ。いいか、明日の17時。横浜の××港で船に乗り中国へと帰還する予定だ。極秘のことでな小さい船で移動することもあって、警備の数もすくない。つまり襲撃するならここしかない。』

「そうか。」

『やるときは、私も手を貸してやる。16時30分だ。それまでに付近のY倉庫に来い。チャンスはこれを逃したら一生ないと思え。』


そして一方的に電話を切られた。


「お嬢…どうします。」

「行きましょう。」


七海は迷うことなく言った。


「父が倒れている今、私が西園寺組を支えていかなくてはいけない。私の組をここまで破壊した九龍をこのまま中国へ帰すわけにはいきません。情報が嘘であっても、そこには九龍のメンバーがいるはず。返り討ちにします。」


七海の目はいつになく真剣であった。

頼朝は思った。西園寺七海は本当に、組の長である大海の血を引いている、迫力のある眼をしている、と。


「だから…」


七海は眼鏡を置いた。

そして、大海の部屋まで歩いて、奥にある刀・名刀“時雨”


「私は闘います。父のため、みなさんのため。それが私の願いです。」

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