79 三本刀が折れる時
桜と頼朝は手榴弾があるエリアを突破し、屋上へと出る階段を見つけた。
「あとはしかけられてないから、ここをまっすぐ行けば大丈夫…ん?」
「人の気配が!」
階段をみると、そこから二人。麗玲と義経が降りてきた。
「頼朝さん。どうも。」
「義経ぇ!」
頼朝は平静を保つことができず、声を荒げてしまった。
それを聞いて、義経は薄気味悪く笑う。
「おう!恨みかってるネ。それと…おう!“むねなし”ね!久しぶりアルね!」
「あんたは!殺し屋の……誰だっけ?」
「麗玲アルね。お前を殺す女。メイド喫茶のお土産に覚えておくいいアルね。」
喫茶はいらねぇよ。とツッコみたかったが、雰囲気的につっこむことはできなかった。
なんせこれから殺し合いが始まるのだから。
「さて、ヘリが来てしまうので、そろそろあなたたちには消えてもらわなくてはなりません。やれ!」
合図とともに麗玲が袖から、小型の爆弾を取り出す。
すばやい動きで、桜たちのもとへ放り投げる。
ドンっと小さい爆発がおきる。
爆発をする前に桜と義経は左右に分かれ避ける。
それこそが、狙いであった。
頼朝には義経が
桜には麗玲が向かった。
義経はスーツから拳銃を二丁取り出す。
「頼朝さん!私に勝てるとでも!?」
バン!バン!っと撃つ。
それを部屋の柱をつかって避ける。柱に弾があたる。
「西園寺組でも私とあなた、弁慶の三人は力差が均衡している!」
「それがどうした!」
柱から飛び出て、義経へときりかかる。
「普段私はこの日のために力を抜いてるとしたら?」
「何を言ってやがる!」
刀を拳銃で受け止める。
頼朝の力が強いせいか、銃がいまにも真っ二つに分かれてしまいそうだ。
急に義経は拳銃を捨てて、後ろと飛びのき、サブマシンガンを二丁手に持った。
「私の最強武器はこれですよ!!」
サブマシンガンを連射する。
通常、サブマシンガンは反動が大きいので、片手撃ちなどできるわけがない。
しかし、西園寺家の三本刀と呼ばれる義経だからこそできる技でもあった。
頼朝は着ていたコートを脱ぎ捨て、一瞬義経の視界から自分の姿を隠す。
その隙に、再び柱へと隠れる。
「はっ!また隠れましたか!ですが!」
ドドドドドドッと柱に向かって連射する。
柱からポロポロとコンクリートの破片が崩れ落ちる。
「ここのビルの柱くらいなら私の銃で壊すことくらいわけない!」
古く、ボロボロのビルなので、柱の耐久性が悪い。
直にでも柱から弾が貫通して、頼朝へと直撃しそうだ。
「さあさあさあさあ!」
なおも撃ち続ける。
義経は勢いよく飛び出る。
「やっと出てきましたね!」
義経へ銃口を向ける、
頼朝へと弾丸が発射されそうになるその瞬間。頼朝は地面に転がっている大きなコンクリートの破片を刀の峰でゴルフスイングをするように飛ばす。
大きな石は義経の手へとあたる。
「ぐっ!」
右手に持っているサブマシンガンを落としてしまったが、左手に持っていたサブマシンガンを打ち続ける。
だが、手に石が当たったとき、義経は頼朝を一瞬視界からはずした。
その瞬間に、頼朝は刀を振り上げ、義経へと近づく。
そして、刀を振り下ろす。
シュッという音とともに、義経の“右手”が飛ぶ。
「ぐわああ!!ぐ!」
頼朝は痛がる義経を一切気にせず、さらに刀を振り上げとどめをさそうとする。
だが、切られたときによろめいていた義経はその流れで幸運にも刀を避けることに成功した。
「くらええぇぇえ!!!!」
絶叫にも似た声で叫ぶ。
なぎ払うかのようにサブマシンガンを振り回し、一発でも頼朝に弾丸を当てようとする。
「堕ちたな義経。」
一言。
それは最後に義経へと残す言葉であった。
頼朝は自分へと飛んできた弾丸を振り上げた刀で
キィィン!!!!
という音を立てて、真っ二つに斬る。
二つに分かれた弾丸は頼朝の後ろへと流れ、遥か後ろにあった手榴弾へとあたり爆発する。
ドオオォォン!!という音がしている間に、頼朝はさらに一振り。
次はサブマシンガンを斬る。
バラバラになったサブマシンガンが地に落ちる前に義経の横を通り過ぎると同時に胴体へと一閃。太刀を入れた。
そして、義経は
「そんな…わたしは……西園寺家の…」
義経は膝をつき、そのまま地面へとうつぶせに倒れた。
もう二度と立ち上がることはなかった。
「三本刀…。折れちまったな…」
背を向けている頼朝がサングラスを直しながらポツリとつぶやいた。