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雲の上学園生徒会記録  作者: skyofnet
第6章『西園寺家』
78/119

78 遅れてきた男

桜が廃ビルに向かっているころ、識は三階へと足を進めた。


三階で待っていたのは



「ぐっへっへっへ。ここで通行止めだぜぇ」


下衆な笑い声とともにお出迎えしてくれたのは、北〇の拳の雑魚で出てきそうな連中数人。手には鎖やら鉄球など武器を持っている。

すでに下での識の戦いのことを知っていて、待っていたようだ。


「通行料はテメェのたまだぁ!」




七海は…

「お嬢。どうやら助けがきたようですよ。」

「え!?頼朝さん?」

「いえ、あなたのご学友ですか?よくわからないガキです。」


頼朝が助けにくるということを聞かされていたので、それ以外の人物が助けにくるなんて予想だにしていなかった。

それに同い年の人物となると桜ではないかという疑念がよぎる。だが、桜がこの場所を知るすべがない。


「誰?」

「ですからわかりません。男が一人で、九龍の三幹部を倒してしまいました。」


男と言われて、ますます誰なのかわからなくなった。


「麗玲!いるか!」


七海の記憶では、麗玲とは九龍が雇った殺し屋だと先ほど義経が言ってた。

ドアから中国人の女性が入ってきた。


「呼んだアルネ?」

「下の階に行って、ガキを一人消して来い。」


麗玲は少し考えて


「お前、ワタシの雇い主じゃないアルネ。ワタシの雇い主九龍の旦那。旦那に言われて、西園寺七海の誘拐の手助けする言われた。お前の命令聞け言われてない。」

「貴様!」

「それにいいアルか?お前一人になるアルネ。」

「どういう意味だ?」


自分の命令に口を出されて、義経は眉間にしわを寄せた。


「お前一人になって、誰かにここはいられたら死ぬよ。」

「っ!!貴様俺を舐めてるのか!」


最後の『か』を言った瞬間、義経の首下に何かひんやりと冷たい物が当てられた。

それは麗玲の青龍刀であった。


「西園寺七海の誘拐のための命令協力する。けど、任務失敗しそうな命令拒否する。おわかりアルネ?」


ドスの聞かせた声。そして、鋭い目つきで言う。

そういった世界で生きている義経は、たいていのことでは怯まないが、麗玲は本物であった。人を殺す目つき。まさにそれであった。


「そういうわけだから、弱いお前のボディーガードもしてるアルネ。」


刀を納め、笑顔になった。

義経にとって、その笑顔は逆に恐怖を感じる。


「わ、わかった。だが、この階に来たときは!」

「わかってるアルネ。しっかりと殺してやるアルネ。」




その頃、丁度桜はビル内部の侵入した。

「あ!誰もいねえ!つーか一人倒れてるし!」




そして黒井の乗っているハイヤーのガソリン補給のため、一度基地へと帰還しているときビルの裏側に一台の車が止まっていた。


黒い立派なリムジンの中から、男性が出てきた。

頼朝である。


『細長い筒』をもって、ビル内部へと歩き出す。



だが、タイミングが悪かった。

丁度、一階に入った時、桜と鉢合わせをしてしまった。



ヤクザ者の中に女がいるのは珍しくない。

だから、こんなところにいたので、桜を敵と認識した。


桜も、大柄の男で、手には細長い筒…日本刀を持っていたので、敵と認識した。


双方が敵と認識したとき、とる行動はひとつしかなかった。

二人が踏み出したのは同時だった。


頼朝は日本刀の中身を出し、斬り付ける。

桜も木刀・村雨を出し、対抗する。


日本刀と木刀がぶつかり、あたりに衝撃が走る。


「ほう…、姉さん只者じゃあねえな。」

「あんたも、雑魚じゃなさそうね。さくっと片付けたいんだけどね。」

「俺は…、お嬢を助ける!!!」


その瞬間、一気に頼朝の力が強くなり、桜が押し負けた。

桜の体勢が崩れた。

そこへ、頼朝の力をこめた斬撃が襲う。


ぎりぎりで、桜は木刀を身体の前に出して、防御することができた。

だが、力強い義経の攻撃で、桜は壁まで飛ばされた。


「つっ…、こんのクソ力が!」


足を壁につけ、その壁を利用して、跳躍。


予想外の身軽さに、頼朝は驚き、わずかに反応が遅れた。


飛んできた桜の一撃を完全には交わすことができず

桜の反撃を完全には避けられなかったが、肩に若干の傷をつけた。


「姉さん、やるじゃねぇか。素早い」

「あんたはクソ力の持ち主だけどね。それに一度刀を合わせてわかったけど。」


戦いの最中だが、桜は木刀を下ろして、頼朝を真っ直ぐ見つめる。

それは、頼朝が攻撃をしないということを信頼しての行為である。


「あんたは、悪い人じゃない気がする。少なくとも今は黒い物がなくて…こう何

か善なることをしてる。」

「俺は自分の信念、そしてお嬢のため生きてる。」


それを聞いて桜はある疑問が浮かんできた。


「お嬢って誰?」

「何をとぼけてる。テメェらが誘拐した、七海嬢だろ。」

「…」


なるほど、これは俗に言う『勘違い』ってやつだったらしい。

さらにそのまま、日本刀を持った人物と殺し合いをするという、骨折り損ってや

つか。


とにかく、時間も惜しいので、頼朝に自分がここにきた経緯を説明し、誤解を解

いた。




二人が上の階へ進むと、そこには大量の人が倒れていた。

転がる人、壁に突き刺さっている人など、おそらく識に倒されたのだろう。


二階、三階、四階と同じ光景であった。


そして、五階。このビルは六階立てなので、ここにいなければ七海は六階に監禁されていることになる。

五階も同じく人が倒れていたが、その中に一人肩で息をしている人物。識がいた。


「あ、やっと追いついた。識!あんた全員ぶっ飛ばして!つーか潜入バレてんでしょ!」


疲れた様子で、識は首だけ声がした方向に向けて、息を荒くし口をあける。


「それに関しては…申し訳ない…」


素直に謝られたので、少し毒気が抜けてしまった。

もう少し言い訳をしてもよかったのにと、桜は少し残念そうにする。


「まぁいいよ。後はウチとここのデカイのがやるから」

「デカイの…」


自分が『デカイの』で説明されたことに少し嫌そうな雰囲気を出す頼朝。


「じゃあ、識は外で待機してて。黒井君が拾ってくれるはずだから。」

「わかった。それじゃあ後はまかせた。」


識は息を整え、桜たちの横を通り過ぎ、下へと降りていった。


「さて、上に七海がいるから行こうか。」

「ああ。」


頼朝はすでに日本刀の中身を出して、すでに臨戦態勢をとる。

同様に桜も同じく木刀を手に、集中力を高める。



六階

部下らしき人物は誰もいない。

ガランとしており、人の気配すらしない。それゆえ、待ち伏せをされているのかという不安が襲う。


「ところで、その義経ってのは、日本刀でも持ってるの?」

「いや、義経は…」

「待った!!」


桜は急に義経を制止をした。

桜が黙って指をさす。

義経がチラっと見るが、何もないように見える。


「ほらもっとよく見て!」


桜に言われ、目をこらして見る。

すると、何かが光っているのが見えた。小さくキラっと光る。


「なんだ?」

「手榴弾トラップだよ。」


仕掛けてあったのは、ピンと張ってある透明性が強いピアノ線。

足がひっかかるように張られており、そのピアノ線は手榴弾につながっていた。


「これは…」

「足をひっかけたらウチとあんたはドカン!だよ。つってもこの大きさからして、建物に影響する破壊力ではないけど、ウチらはドカン!だよ。ウチがここから見た感じだとこの階にたくさん仕掛けられているね。」

「つまり、ここには七海嬢と、義経はいないということか。」


爆破に巻き込まれないためにも、義経と七海は別の場所にいることを意味する。


「ここからいける場所となると、あとは」

「屋上。そして、これは時間稼ぎ。」

「早くいくよ!ついてきて!」


桜が先導して屋上へと急ぐ。



屋上

「義経!どうして屋上へ!?」

「あなたを助けにきたのは義経だけではなかったので、計画が大いに狂いました。いったんここから離れるためにもヘリに乗っていただく。あと30分は待ってください。」

「ちょっと。それって誰…ん?」


義経は七海に催眠スプレーを振りかける。

それを嗅いだ七海は眠ってしまった。


「おい麗玲!」

「どしたアルね?」

「義経と一緒にいるやつを始末しろ。方法はまかせる。」

「殺していいアルね?」


麗玲は怪しく笑い、青龍刀を構える。

その行動から、いかに麗玲が好戦的であるかを物語る。


「義経はどうするアル?」

「俺が殺す。」


義経はトランクの中から拳銃を二丁取り出す。

義経の戦闘スタイルは拳銃使いである。

西園寺家の中での一番のガンマンといえる命中精度。そして、両手での変わらない射撃能力を持って、西園寺家の三本刀まで上り詰めた。


「行くぞ!」


銃をスーツの懐にしまいこむ。

義経と麗玲は眠っている七海は屋上に放置し、階段を下りて、六階へ降りていった。


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