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雲の上学園生徒会記録  作者: skyofnet
第6章『西園寺家』
76/119

76 救出作戦

監禁部屋

七海はソファーに座り、これからどうするか考えていた。

ポケットを探り何かないか探す。


案の定携帯電話は没収されていた。

他に何か入れてないか探る。


あったのは家の鍵だけだった。

当然これでは何もできない。


はぁっとため息をつく。


すると、義経が再び入ってきた。


「お嬢。私がどこに裏切ったとか興味ありませんか?」

「興味ない。」


フイっと顔を横へと向ける。


「ふふふ、頼朝と一緒ですね。」

「頼朝さんと…」

「あいつはここに来て死にます。」


心臓に衝撃が走る。

私のせいで、頼朝が…


「ご安心を。その後、あなたも殺します。その時は銃で一瞬ですから。」

「あなたは!」

「西園寺組は近い将来滅びます。」

「だからこうして、会合をしたりして!」

「私は西園寺組にいるより、“九龍”に席を置くことを選びました。」

「ッ!!!よりによって!あいつらが何をしたか!わかってるの!」

「西園寺組の幹部を殺した。それだけです。」

「だけって…」


もうずいぶん前から組に忠義がないのだと思う。


「では、お話は以上です。」


義経は出て行った。


再びポケットを探るが、やはり何もない。

仕方ないので家の鍵をいじる。


(そういえば…、このキーホルダー桜からもらったやつだっけ…)


しばらくキーホルダーを見る。


(昔もこんなことあったな)


それは昔、球磨川と喧嘩して負けた後、倉庫に連れて行かれた後…


そこで、キーホルダーをいじっていると、ボタンがあることに気づく。

不審に思い、ボタンを押してみる。


すると、キーホルダーの穴の中からガスが大量に噴出した。

一瞬で部屋にガスが充満して七海もガスを吸ってしまった。


「ゲホッ!ゲホッ!あの馬鹿桜!なんつーもの…」


そこで、七海の意識は途絶え、眠ってしまった。




東海林家

午後3時

桜含め、屋敷の人間は全員睡眠していた。


静かな屋敷内に突然、ビー!ビー!っと警報音が鳴り、赤ランプが光る。

深夜に何事かと思い、識はあわてて、部屋を出て、広間へと行く。


広間には茜がいて、識は何があったのか尋ねてみた。


「茜さん!これは何事ですか!?」

「これは桜の身に危険が迫ったとき、防犯ブザーを押したら、鳴る警報音です。」


その当の桜がノソノソと桜が広間へやってきた。


「桜?防犯ブザー押しましたか?」

「ウチ押してないよ。」

「ならどうしてなってるんです?」


茜は明らかに不機嫌そうである。

深夜に起こされたのだから無理はない。


「ん~。とりあえず、どこでボタン押されたか調べてみよう。」


桜は壁のボタンを押して、大きなスクリーンを出した。

スクリーンには日本地図が表示され、一箇所光っている。

そこを縮図して場所を確かめる。

場所は京都。


「桜、先日京都に行ったときに、ブザー落としたんですか?」

「そんなはずは…、あ、そうか先日、七海にあげたんだ。」

「西園寺さんですか?間違って押してしまったんですか?」


桜は壁のボタンを押して、カメラモードに切り替える。


「これで、キーホルダー付近の映像がわかるはず。」


画面にはコンクリートの壁が映し出された。

さらにカメラを回すと、眠っている七海を発見。


「桜、催眠ガスが出るって言いましたか?」

「言ったような、言ってないような…」


さらにカメラを回すが、コンクリートの壁しか見えない。


そこから茜はある答えを出した。


「これは監禁されていますね。」

「監禁かぁ~って監禁!」

「西園寺が誘拐されたのか!?」


茜はコンピューター操作をしてみる。


「ここは廃ビルですから、監禁にはもってこいの場所ですね。」

「黒井君!」


桜が屋敷内に響くように叫ぶ。

どこからか、黒井が上から登場した。


「ここに!」

「ハリヤーで…」

「待ちなさい!」


茜が制止する。


「わかっているんですか?あなたは今から何をしようとしてるのか!?」

「七海を拉致ったやつらをぶっ殺しに行く。」

「相手は銃器を持ってるんですよ。」

「わかってるよ。でも、友達を見捨てちゃいけない。」

「…」

「…」


茜が本気で睨む。

桜もそれに怯むことなく受け取る。


「わかりました。」

「へ?」

「御春様からこのような事態が起きたら、桜に強い意志があったらやらせるようにいわれてますから。」

「茜さん。」

「でもかならず帰ってくるんですよ。」


桜は茜へと振り返る。

丁度扉が開き、風が桜の髪を揺らす。


「行ってきます。」




京都の廃ビル

ビル周辺には複数の黒服を着た男たち。

手にはライフル・マシンガンといった銃器を持つ。

七海が監禁されている場所はビルの七階である。


「義経。頼朝さんが来たらどうするつもり?」


義経はぶきみに笑う。


「私が九龍に入るための条件として向こうが提示してきたのは、あなたの首と頼朝の首。なので、来たら私の手で」


義経は銃を構える。

大きさからしてハンドガンより少し大きいサブマシンガンといった銃だ。


「これで蜂の巣です。」

「まともに勝負もできないのね。腰抜け。」


その言葉に義経はピクリと反応する。

パンっと乾いた音がなり、七海の頬が赤く染まる。




午前6時

ハイヤー内

「桜嬢!中嶋!後、5分で目的地に到着します。」

「識!準備はいい?」

「ああ!かく乱の方頼むぞ!」


桜は木刀を構える。


「この特殊部隊のような服どうにかならないか?」


識が着ているのは紺色のピッチリと身体に密着した特殊部隊のスーツ。

桜に渡されて強引に着させられた。


「着なきゃクビだなんて脅すんだもんな。」

「それウチが着たかったんだからね!メンズしかないからしぶしぶ譲ったのに…」


本気で悲しそうな眼をしている。

桜は戦隊ものなどが非常に好きなのでこういうものを好む。


「ところで識。ここからパラシュートなしで飛んでもらうけど」

「いや死ぬだろ!!」

「そのスニーキングスーツなら大丈夫。これはいて」


桜が渡したのは底の厚いブーツ。


「これをはくと、足裏からブーストが出て、着地の衝撃をなくしてくれるわ。ただし一回こっきりだからね。」

「そんなことしたら気づかれるだろ。」

「だからあんたは、ビルのずっと前におろす。そこから下水道を通ってビルの下まで行って。地図はスーツ機能の腕モニター見ることができるから。」


ブーツによるダイブって。識は死ぬかもしれないと思った。


「大丈夫。東海林家の技術部である、恋継の兄貴が作ったものだから!」

「確かその人“俺の家を爆破”した人だよな。」

「さあ行くぞぉ!」

「聞けぇ!  俺死ぬかも…。」




廃ビル上空

「さあ!行ってみよう!」

「お前…」

「オラ行け!」


痺れを切らした桜は識を蹴って外へと追い出す。


「バカさく……」


最後に『ら』が聞こえた気がしたが桜はまったく気にも留めなかった。



「くっそぉ!ぶっつけ本番ってやつかよ!」


落ちながら恨み言を言っても仕方がないと思い、靴をいじる。

桜の説明ではかかとのボタンを押せば…


「…ボタンが壊れてる!!!!」


ダイブ中にパニックになるのはいけないことだとわかっているが、これは焦る。


「あんのバカ桜ぁ!不良品渡しやがって!くそ、冷静になれ。かかとがダメでも他にどこか…」


必死に靴をイジルが何もない。いたって普通のブーツである。


そこで、桜の言葉を思い出す。

腕モニターで地図が見れるといっていた。

ならば、地図機能以外にもあるかもしれない。

腕のボタンを押す。


ピッという音で腕からデジタルモニターが出てきた。


「えっと…」


現在も落ちながらボタンを必死に操り、操作方法を探す。


「あった!…緊急用ブースターは…これかぁ!」


両ブーツを打ち付ける。するとモニターから


『緊急用ブースター発動 OK?』

「OKだ急げ!」


地面まで数メートル。

靴底から爆発的なジェット噴射がでる。


そのおかげでギリギリ地面との直撃はさけられた。


「し…死ぬかと思った。」


生きた心地がしなかった。


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