69 ヴァイオレンス
学校
「わぁ、すご~い。」
「エヴァさんというのはなかなかのものね。」
「倉田さん。久々の登場ですが、“あれ”は女の子と呼べるのでしょうか?」
「そうですね。あれはバケモノじみた女の子ですよ。」
南、椿、倉田、村瀬の四人。いや教室にはもっといたが、全員が注目している光景があった。
「うるああぁぁぁ!!!」
「どるあああぁぁ!!」
お互いの拳が頬をめり込み、衝撃波を生む。
その勢いに負けずに、二人はさらに接近する。
「エヴァあぁぁっぁ!!」
「さぁくらぁぁぁ!!!」
殴り合っているのは桜とエヴァであった。
ボディーブロー・リバーブロー・デンプシーロールの殴りあい。
「ふんがぁ!」
桜のヘッドバット。
「くそったれぇ!」
エヴァは桜の後ろをとる。
そこからジャーマンスープレックス!!
「ぐはっ!」
そして、桜の肩車。
「どらあぁぁ!!」
周りの被害が拡大していく。
この喧嘩の発端は
「銀座の流星菓子の限定クッキーだよぉ♪」
「いっただっきま~す♪」
今日は南が、昨日のお礼でクッキーを持ってきた。
クラス全員に持ってきたようだ。
「あれ、一個余った。」
ということで、ジャンケンをした。
残ったのが、エヴァと桜。
「最初はグー!ジャンケンポン!」
「ポン!」
「ポン!」
なかなか勝負が決まらない。
(こうなったら!)
(隙をみて、)
((ここにあるクッキーを口に入れるしかない!!))
二人の脳内は同じことを考えていた。
「「ジャンケン」」
「「いただき!!!」」
二人の行動はまったく同じであったので…
二人してクッキーをはじいてしまった。
「「しまったあぁ!」」
クッキーは地面へと落ち、
((世の中には三秒ルールがぁ!))
またしても考えていることは同じであった。
床に落ちたクッキーに手を伸ばす二人。
だが、
「ったく、先生もプリントは自分で運べっての…」
グシャリ
識が教室に入ってきた第一歩で、クッキーを踏み潰した。
「「あああああーーー!!!」」
「お?何だ何だ?」
二人の殺意は、識へと向かい、
「どうした?恐い顔して、べふ!!」
識はW面パンチを受けノックダウン。
二人は即座に振り返り、今度は拳をお互いに向ける。
「「次はてめぇだああぁぁぁ!!!」」
ということである。
「どっちが勝つかしら?」
「私は東海林さんかしら、倉田さんはどちらですか?」
「私はあの外人さんですかね。」
遠くでは、すでに賭けすら始まっている。
すると
「くおらあぁぁぁ!!!てめぇら!何騒いでやがんだぁ!!」
担任紫部の一喝。
二人は手を止め、
「「だってコイツが!」」
「やかましぃ!殺すぞ!隣のクラスから苦情きてんだ!給料減るだろ!」
とりあえず、紫部の仲裁により、二人の喧嘩は終わった。
「おい桜。」
「何だよ。」
「くせぇ」
二人は飼育小屋の掃除をしていた。
喧嘩した罰として、放課後、うさぎ小屋の掃除をしていた。
糞などが散らばっている。
「そういえば、じじいからの私ものがある。」
「じいさん?」
「伽羅女流のオーナーの海坊主」
「ああ、」
海坊主という名前は知らなかったが、伽羅女流という言葉は覚えていた。
「あのハゲか」
「そうだ。ハゲから、つい最近手紙が来てな。ほら」
「ここで渡すかね?」
と言いつつ、桜は手紙を受け取った。
封筒を空けたら、手書きの手紙がでてきた。
『東海林桜へ。
大会とやらで、エヴァのやろうがおぼれて迷惑をかけたらしいな。
お詫びとして、一回エヴァを自由につかっていいぞ。俺が許す。
海坊主』
「だとよ。」
「ざっけんな!!あのじじい!!」
中指を天に向け、あの禁止ポーズをとる。
「でもぉ、エヴァっちが負けたのは事実だしぃ。」
「ぐっ、てめぇ…」
「よろしこ♪」
「機会があったら、テメェのドタマからケツまで貫通させてやんよ。」
桜は満面の笑みを浮かべていた。
それにむかついたエヴァは箒でうさぎの糞を払い、桜の顔面にヒットさせた。
「ぶぎゃ!口に入った!」
東海林家
「え~!今日だっけ?」
「はい、お嬢が了承した話ですよ。」
家で、ゲームをしていた桜に黒井は告げた。
「本日七時から、会食があります。以前告げたとき、わかったとだけ言ってましたよ。」
「あ~…」
桜には薄っすらとその記憶があった。
あのときはかなり適当に了承したという記憶だけ残っていた。
「いかなきゃだめ?」
「だめです。茜さん呼びますよ。」
「ひっ!」
茜を呼ぶ
↓
強制的に脱がされる
↓
キャー!
「いいいい今着替える!!えっとドレス?」
桜はドレスに着替えた。
今日は正式な東海林家と他家との会食なので、それなりにしっかりとした服装が必要であった。
「桜~、準備はいいですか?」
「今行く!」
ドタドタとあわただしく階段を下りる桜。
「急いでくださ~い」
玄関には、移動用黒いリムジンが止まっていた。
そのリムジンを運転するのは黒井である。
桜家の乗り物を運転するのは基本的に黒井が担当している。
たまに茜が運転する。
こうして、桜家の桜、黒井、茜は会食場所である料亭へと向かった。
次回予告
識「今回は殴られたままですよ。」
雪音「それに喧嘩の火付け役でしたね。」
不知火「てめぇのことより、次回の予告しろ。」
識「ん?そうだな…、とりあえず言い切れることは、次回は不知火はでません!」
不知火「んだと!てめぇ!くらえ“狐火”」
識「おわっ!お前妖術使えるのか!?」
不知火「最近は火を出せるようにまで回復してきたんだよ。」
雪音「ああ、それじゃあ完全復活までもう少しですね。」
不知火「バカ野郎。完全復活なんて夢のまた夢のまた夢だ。」
識「そうか、次の妖術がどんなのか期待してまってよう。では!」