65 六章『西園寺一家』
さて、新章です!
読者を増やすためにも頑張ります。
あとできたら評価を厳しくお願いします。
ぜひとも今後参考にさせていただきたいので。
ではスタート!
私は…
私の本当の願いは…?
家族のため?自分のため?
誰のための未来?
違う。
私はもう決めていたじゃないか。
私が…やらなきゃいけない。
さようなら、みんな。
六月
梅雨…
桜達生徒会は今、内部での戦いを行っていた。
桜と南は生徒会室でら目線を合わせ、火花を散らしていた。
「準備はいいね?」
「いつでもぉ!」
静寂が流れる。
「南、一つ言っておくことがある。」
「何かなぁ?遺言だったら聞いてあげるよぉ~。」
桜は拳をグーにして、力の限り手を握った。
「南が勝ったら殴り潰す!」
「はひぃ~~!」
「ジャケポン!勝った!」
桜が脅して動揺している間に、チョキを出して勝った。
「桜ちゃんずるいよ~」
「うちは勝ったもん勝ちでしょ♪はい♪」
桜が手渡したのは、ペットボトル。
ラベルはなく、中身は茶色く、濁っていた。
「…人体に影響あるんじゃない?」
「大丈夫。うちはそれを飲んだことがあるから。」
その濁ったペットボトルの蓋に手をかける南。
「う~」
「あ、さあ!さあさあさあさあ!」
歌舞伎のノリで南を急かす。
意を決して、蓋を開け、口に鼻をつける。
「………!!!?、ぎにゃあああ!!」
正に激臭が南を襲った。
例えるなら、生ゴミをもっと生々しく腐らせたものである。
南はソファーで倒れた。
「ぎゃっはっは!」
「笑いごとじゃないよぉ」
南はソファーに顔を埋めながら反応した。
「はぁ…」
笑い終わり、何かが足りない。そんな風なため息を桜は漏らした。
「やっぱり、足りないよね」
「うん…。最近どうしたんだろう。」
「ねぇ氷柱?」
「何?」
机で雑務をテキパキとこなしている手を止めず氷柱は応える。
「七海さー、ここ二週間休んでるけどどうしたか知ってる?」
そう、生徒会役員である西園寺七海は理由は秘匿で欠席をしていた。
この学校は秘匿を理由に休みを得ることができる。
「わからないわ。秘匿だと、理事長くらいしか知らないし、理事長もそれを話し
たら大問題が起こるから、いくら桜でも聞き出すのは無理でしょうね。」
「人の弱味をちくちくいじる情報通の氷柱でも知らないかあ。」
氷柱はカチンときた。
「何か言ったかしら?Aカップの東海林さん?」
氷柱に悪口は禁句、倍返しされるようだ。
その日のホームルーム後
桜はダメ元で担任教師の紫部に七海のことを聞いてみた。
「センセ、七海のこと知りません?」
「あー、私も心配でな、自宅に行こうとしたんだよ」
「あ、やっぱり一応先生らしいことするんですね。」
「お前成績下げるからな」
「嘘です先生の鏡です」
「でな、自宅がAレベルの秘密でな、自宅にも行けない状況だ。」
Aレベルの情報。
超お金持ち学校ということもあり、個人情報は厳重に保護されているが、Aレベ
ルの情報は、特別にその家からの要請を理事長が承認すると、教師ですら情報を
知ることが許されない。
知っているのは理事長のみとなる。
「まぁ、一応理事長にはこの件のことで問い合わせしたが、秘匿としか帰ってこ
ない。」
「そっか。」
桜は手がかりを掴めず落胆した。
紫部もなんとかしたいが手がないといった様子である。
「センセありがと。」
先生に別れを告げ、次なる場所へ移動した。
美術部アトリエ。
「椿は知らない?」
「知るわけないじゃない。お母様は仕事の義務は真っ当する方よ。家族といえど
ね。」
さすがに校内一位二位を争う情報通が知らないのではお手上げである。
これ以上の収穫はないと思い、アトリエを後にしようとした。
「お待ち。」
椿が制止をかけた。
「何?」
「大会の約束。赤羽刀は?」
「うっ…」
5月、雲の上生徒会は椿などの助っ人を引き連れ、六姉妹校での交流大会に出場
した。
その時、椿が助っ人になる条件としてら赤羽刀を賞品としてもらうことが約束さ
れていた。
結果、予選負けしたので、何も賞品は出なかった。
「で?どうするのかしら?」
「えっと…うんと…」
「私から提案があるわ。」
椿は一枚のチケットのような紙を取り出した。
「何?」
「私の言うことを何でも一回きく券。」
「何でもって?」
「恋人になれから…えっちなことも…」
桜は未だにかつてない寒気に襲われた。
「ひぃぃ!」
「はい、拇印」
すっといつもの高速移動で指に朱肉をつけられら勝手に判子を押された。
「あ!こら!」
「約束を破った当然の報いよ。」
「あうあうあう…」
「これは大事にとっておくわ。」
桜は椿のところに行かなければよかったと後悔をしてアトリエを出ていった。
西園寺七海。
桜とは,中学からの仲であるが、プライベートでの交流はあまりなかった。
いや、プライベートは荒れていた。
彼女は喧嘩三昧の毎日を過ごす少女であった。
高校一年の10月にとあることをきっかけに更正し、桜達とゆるゆる生活を送る
ようになった。
そのことを知っているのでら桜は再び不良になったのではないか心配であった。
翌日
結局桜は七海の手がかりを得るこはできなかった。
どうやっても情報が手に入らないので、七海がどうにかして学校に来るのを待っているしかないと思った。
「氷柱?七海はどう?」
「相変わらずね。」
連絡・手がかりなしということらしい。
七海のことは時間が解決してくれることを願おう。
七海のこととは別に今日は氷柱に申し出があった。
「それと氷柱。これ見てチョンマゲ。」
「ギャク古!」
「オヤジギャグ以下!」
「うるせっ!」
氷柱、南のWツッコミ。
「で、これ。」
桜は一枚の紙を出す。
A4の紙に文字が印刷されている。
「え~、これってっ!!」
南はまったく反応しなかったが、氷柱は驚愕の表情を浮かべた。
「あの超豪華中華料理屋『黄龍』じゃない!!」
「何それ?」
中華料理屋『黄龍』
政府の人間。海外の大統領、国王も御用達といわれている中華料理屋。
完全防音個室で打ち合わせなど、プライベートなど公私共々利用者が多い。
破格の値段であることで有名であり、病院の娘である氷柱にとっては話には聞くが食事なんて夢のまた夢の話である。
「招待状!しかも無料よ!…桜!どんな悪いことしたの!?」
「そう疑いますぅ?」
はっきり言って心外だ。
でも、そう思われても今回はおかしくない。
それくらい奇跡的なことだ。
「まぁ、うちのじいちゃんが招待状貰ってね、いけないからってウチに回ってきたんだ。」
桜のじいちゃん、東海林世界はどういうわけか知らないが、よく大統領とかからプレゼントを貰うらしい。
「で4人なんだけど…」
「私、南、桜と?」
あと一人足りない。
本来なら、七海を連れて行くところだ。
だが、その七海がいないので、空席に迷う。
「どうする?」
三人はしばらく考える。
「エヴァちゃんはぁ?」
「あ~…」
はっきり言って迷う。
確かにエヴァなら暇そうだが、正直エヴァは一緒にお食事という間柄ではない。
桜は迷う。
「それかぁ、つばきちゃん!」
「それはイヤ!!」
断固たる拒絶をした。
そうこう悩んでいると生徒会室エレベーターが上がってきた。
チンと音がなり、浦島ともう一人中学生かと思われる少女が入ってきた。
「ぬしら三人のみか?」
「ああ、識はいないよ。デートのハウトゥに詳しい人物はいないよ。」
「失敬であるな…、今日は紹介したい人物がおってな。」
浦島はとなりにいた少女の背中を押した。
「今日から二年G組に編入した浦島乙姫じゃ。」
少女は懐から扇子を出す。
その動作を見て桜は椿を思い出す。
「わらわが乙姫じゃ。ふむ。」
浦島のような喋り方である。
「乙姫は工学関係の天才なんじゃ。最近ではロボットを作った。」
「この学園にはよい環境と教師がおっての。」
すると浦島たちを追いかけてくるように、エレベーターが再び上がってきた。
「乙姫さん?やっぱりここにいたのね。」
来たのは、保険教師兼科学教師の鏡レイナであった。
「あ、巨乳教師。」
「あらあら桜ちゃん。嫉妬はよくないわ。」
「のうレイナ殿ではないか。」
先ほど言ってた優秀な教師とは鏡レイナのことであった。
「このレイナ殿とわらわの共同作業で対暴徒用兵器“ガイア1号”を作ったのじゃ。」
「何だそれ?」
「うふふ、ひ・み・つよ。」
どうやらまた理事長の災害以外にも迷惑名物が増えそうな気がしそうである。
放課後。
「仕方ないから三人でいこう。」
識を誘うという案はなかった。」