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雲の上学園生徒会記録  作者: skyofnet
第5章『the six school』
63/119

63 勝利を決める橋


識が負け(反則負け)大江戸も雲の上も後がない状態になった。


「ねぇ桜。織田って人でしょ?決勝の相手。」

「そうね、一度手合わせしたんだけど、負けそうになった。」

「桜が!」


氷柱にとって桜は基本敵なしの人物。


「決勝はまたプールに移動だっけ?」

「うん、まただね。水着に着替えるのかな?」

「桜が水着着てもねぇ」

「七海の水着は世間の毒だけどね。」

「桜は発育不足ね」


桜たちが話していると、椿がぬっといつの間にか桜の背後に現れた。


「つ!椿!って乳揉むな!」


桜の裏拳をヒュッと椿は避ける。


「って!椿。帰ったんじゃないの?」

「桜の試合は別よ。私の本当の楽しみの一つよ。」


意地悪な笑みを浮かべる。


そして、決勝会場のプール。

プールのは細いつり橋がかかっていた。

普通のつり橋とは違い、橋の端につかまる所などなく、簡単に落ちてしまう橋であった。


司会がつり橋にのぼり説明を始める。


「最終戦は!“決戦の橋”。両者武器を持っていただき、先に相手を落としたほうが勝利!ガチバトルです!」


ラストはガチバトルらしい。

桜にはうってつけの勝負である。


「よっしゃあ!いっちょやってくるよ!」

「桜ちゃんおっとこ前ぇ~」

桜は激励されながら、つり橋の上へと昇る。


「織田君。」

「む?」

「東海林はおそらく…」

「わかっておる。余はお主以外に負けるつもりはない。」


織田はそういい残すとつり橋へとあがる。


桜と織田は対峙する。


「主とは昨日以来であるな。」

「ええ。」

「余の木刀。“妙法丸”の錆びとなれ。」

「ウチの木刀。“村雨”の錆びにしてくれるわ。」


木刀を構える。


「それでは始め!」


始まった。

織田はゆっくりと動く。

桜は一度力をため、解き放つように走る。

走り出した瞬間、橋が大きく揺れた。


(やっぱり無理か!)


桜のバランスが崩れているとき、織田はスッとバランスを崩さぬよう移動する。


「うわ!」


織田の縦切り。

桜はどうにか防御するが、バランスの悪さ・織田のパワーが重なり、いやおうなく桜は後ろへ転がる。

当然つり橋での転がりは危険であったが、他にどうにもできなかった。


「くっ!」

「ぬるい。」


転んでいる桜に容赦なく攻撃を繰り出す。


(このままじゃあ!現状を打開する手は…)


桜もどうにか立ち、バランスをとることができた


(力比べは?)


織田と衝突するよう刀を振る。


ガチっと大きな音が鳴る。

少し競り合うと織田の方が力があるようで、押し負けた。


「やるね。」

「無価値。」

「何?」

「その程度でこの信長と刀を交えるか。」


その言葉を聴いて、桜はニッと笑う。


「そうかい!」


その瞬間、無謀にも桜は跳躍した。


つり橋でまさか飛ぶとは思わず、一瞬の隙を作った。


「意表をついたつもりか!」


再び木刀がぶつかり、お互いがすれ違う。


「…」

「無価値かな?」


織田の肩にかすり傷。

おそらく、すれ違ったとき、桜が一瞬で二太刀入れたのであろう。



「よかろう。この信長。貴様を敵と認識しよう。」



織田が鋭く睨む。



ブワッ何かに桜は蹴落とされた。

思わず、膝を落としそうになる。


(これは!?)


「ほう、我が“威圧”に耐えるか。」

「“威圧”?」

「貴様らでは不可能な業である。」



「逝け」



織田は走る。


桜は先ほどの“威圧”という業で動きがわずかに遅れる。


カンっと大きな音がなると桜の腕が上へとはじかれた。

それは防御がガラ空きとなったことを意味していた。


「っ!!!」


織田が放ったのは“突き”であった。

桜の腹を突き、桜は遥か後方へと飛ばされた。

幸い、真後ろであったため、リングアウトすることはなかった。


「つっ…あ…」


桜はまだ倒れたままであった。


「ほう意識がまだあるか。で、あるが。」


織田はゆっくり近づいてくる。

おそらく次でとどめを指すか、リングアウトするために吹き飛ばすであろう。



桜は少し目を閉じ、先ほどの“威圧”について考えていた。





三年前。

「ばあちゃんと稽古なんて死んじまうよ。」

「じゃかあし!一太刀でも入れたら桜ん勝ちじゃ、ってやつよ!」

「ちっきしょう!我武者羅剣!」

「ふん!」


御春が桜を睨むと尻餅をついてしまった。


「何だよこれ!」

「ひゃっひゃっひゃ!これは…」




ここで、桜は目をあけた。


「そうか!」


それと同時に織田がふたたぶ“威圧”をかけてきた。


「終わりだ。」


ブワッと威圧がかかる。



「渇ッ!!!」



今度は何も起こらなかった。


「何?相殺しただと…?」

「ウチにも使えたようだね。ま、うちはこれを“ヨウリョク”って教わったけど。」

「であるか。ならば、この木刀にて引導を渡してくれよう。」

「うっ!!」


また威圧がかかった。

おそらく無自覚に発生した威圧であろう。


織田は木刀に力をこめる。


「じゃあ、ウチもやらせてもらうよ。だけど、少し汚いマネすっけど!!」


桜は両手で木刀をもち上へと高く高く構える。


「消えよ!!!」


桜は息をスゥっと深呼吸する。

目を鋭く、相手を鋭く貫くような冷たい眼で見る。




「 “一ノ太刀・断罪” 」



桜は下のつり橋へと木刀を叩きつける。

その衝撃で橋が全壊した。


「うぉ!」

「今だ!」



桜は橋が完全にプールに落ちる前に、足場が崩れた織田の上へと跳躍した。


「なんとぉ!」

「いけえぇぇぇ!!」


織田は木刀で防御をとったが、桜の上からの攻撃で、織田は真下へと一直線。

もう橋がない以上、織田と桜はどちらが滞空時間が長いかの勝負となる。

どちらが、早く落ちるか?


今の状態は織田が下にいて、すでに二人は空中。お互いの木刀の射程外にいる。

桜の勝利はもう間違えないと思われた。



だが、



崩れた橋が偶然にもまとまって織田の真下に落ち、それにぶつかり、織田はプールへの入水をするの遅らせた。


織田が、橋のまとまりにぶつかっている間に桜が


「うそぉ!!??」


ザパーーン!!とプールへと着水。

その刹那後に織田がプールへと落ちた。




「試合終了!!!勝者!大江戸大付属高校!!!!」



雲の上学園は負けてしまった。

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