59 椿vs明智光秀
第一回戦はプールで行うらしく、大江戸の特製プールステージに移動した。
「椿?あんたドレスのままやるの?」
「これは私のトレードマーク。脱ぐことは無いわ。」
「あ、そう…」
一応身を案じていったのだが、無駄であった。
「それに私は負けない。」
力強い発言である。
プールには直径5~6mほどのプカプカ浮いているステージで行うらしい。
司会の人物がステージに立ち説明をはじめた。
「さて、雲の上対大江戸第一回戦。“叩いて叩いて叩き落せ!”です。
ルールはお互いにやわらかい太いチャンバラ棒を持ち、相手をプールに叩き落としていただきます。棒を手放しても負けとなります。」
説明が終わり、係員が椿に着替えるよう言った。
「お断りします。私、“黒雛椿”は黒雛家のこの制服で闘います。」
その言葉に雲の上生は全員驚いた。
「「「「黒雛!!??」」」」
黒雛というのは、雲の上学園の理事長である黒雛理事長と同じ姓である。
「つっつつつ椿??あんた…黒雛って??」
「あら?言ってないかしら?私は理事長の娘よ。」
聞いてねぇぇぇ!!っと全員が心の中で思った。
「じゃあ、相手をサクっと片付けてくるわ。」
椿は驚いている全員をよそに、スタスタと戦場まで行った。
「あ、対戦相手は?」
正気を戻した桜は相手サイドを見た。
相手は紫の長髪といった不気味な雰囲気を漂わせた細い男であった。
相手も服は水着でなく、制服であった。
ちなみに、大江戸は赤い制服である。
「明智。」
「何です?信長さん?」
「相手はタダ者ではないぞ。気を引き締めよ。」
「んっふっふ。私は負けませんよ。あなたを副会長の座から引きずり落とすまでぇ!!」
明智は織田に飛び掛る。
織田は簡単にカウンターをし、プールに落とした。
「明智君…まだ下克上狙ってるの?」
「お恥ずかしい限りです。」
徳川海はあきれながらつぶやいていた。
「あら?あなたが、対戦相手?」
プールの中から明智は現れ、ステージに上がった。
「んっふっふ。貴女を潰す男ですよ。」
「そうかしら?もうぬれて帰る準備ができているようだけど?」
「んっふっふ。あなたのその服。ぬれた姿が楽しみですよ。」
お互いは棒を構える。
「さぁ!では一回戦“叩いて叩いて叩き落せ!”はじめ!」
開始の合図がすると、ゆっくりと明智が歩き出した。
「んっふっふ。私のお話でも聞かせてあげましょう。」
「どうぞ、ご自由に。」
明智は気分良く話し出した。
「私はね、副会長の座がどうしても必要なんですよ。その為には、あの織田が邪魔なんです。あの織田を排除するためなら私はヤツの言いなりになり寝首をかることもする。」
「真正面からじゃあかなわないからかしら?」
「んっふっふ。ええ、正攻法では返り討ちにあうのがオチですから。」
「でもどうして副会長?会長ではなくて?」
「んっふっふ。会長では都合が悪いのですよ。この学校は徳川海のせいで、特殊になったんですよ。ま、そのおかげで私は徳川海を相手にしないですむのですが。」
「へ~」
椿はあまり興味がないような返事をし、明智の反感を少し買う
「この学校を牛耳る。そのため、足がかりとして貴女を討つ!」
明智は一気に距離をつめ、攻撃に出る。
「貴女が一回戦に出ることは調査済みでしたよ!」
棒と棒がぶつかる。
「女であるうえ、データを見る限り貴女が一番勝率が高いんですよ!」
「ふうん…」
明智は乱暴に棒をふり、椿は避けつつ、防戦一方となる。
「さあ!私の計画の礎とぉ!」
「つまらないわ。」
「な…にー!!」
「ふっ」
椿による一閃。
明智にとっては何が起きたのか視界ではとらえることができていなかった。
明智の身体は椿の一閃で激しく吹き飛び、水上でバウンドして沈んでいった。
椿にとって明智は暇つぶしでしかなく、まったく相手ではなかった。
「し、勝者!雲の上学園!」