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雲の上学園生徒会記録  作者: skyofnet
第5章『the six school』
57/119

57 三四五回戦目

「申し訳ございません。」


浦島は皆の前に帰ってくるなり土下座をした。


「ちょ、浦島君。」

「わしの失態で雲の上全体に危機を与えてしまうとは…わしは…切腹ものじゃあ!」


懐から小太刀を取り出した。

鞘から身を抜き出し、それを腹に…


「命を粗末にするんじゃない!!」


言葉と一緒に識の拳が飛ぶ。

ほっぺたを拳で殴り飛ばした。10mほど。


「きゅう~」

「やべ!強すぎた。」


浦島は気絶をし、医務室へと運ばれた。



「次は南だっけ?」

「わたしだけどぉ、ちょっと不安かなぁ…。」

「桜、何で数学早解きに南嶋を選んだんだ?」

「それは試合が始まればわかるよ。」


意味深な言葉を残し、試合会場へと向かう。



試合する場所はグランドに設営された特製ステージ。

まるでクイズ番組のようなステージで机が二個並べられ、各机には専用モニターがついている。点数ボードが立っていたり、大型モニターがあったりする。


「さぁ次の勝負は名前の通り、計算対決です!それぞれ個別のモニターに出る数字を全てたして計算していただきます。」

「昔インド式計算術が流行った時に、よく出ていた問題だな。」


ステージに緊張しながら南が上がる。


「うわぁ~、今回はギャラリーが多いよぉ~。というか相手の高校の応援団、今回は気合がおかしいよぉ」


橘には今回応援団が駆けつけている。

弾幕には“LOVE SONG”と。直訳すると“愛歌”。

その通り、愛歌がステージに上がってきた。


「愛歌って高校では人気があるのね。」


従姉妹である桜もそこまでは知らなかったので驚いた。


「うおおおぉぉぉ!!!あ・い・か・ちゃ~~ん!!!」

「…恥ずかしい。」


応援されている愛歌は顔を真っ赤にしている。


「愛歌―!緊張しないでねー!」

「大丈夫…。」


「南―!負けたら今後メイドさんで登校だからねー!!」

「うわ!それはいやだなぁ。」


お互い緊張したまま、椅子に座る。

机には、クイズ番組で使われる電子ペンとモニターがあった。


「それにしても、そろそろ教えてくれないか?」

「ん?何を?」

「とぼけるな。お前と一緒で成績最下層の南嶋をどうして推薦したんだ?」

「それはね…。お!始まる。」


桜は途中で言うのをやめ、南の試合を見た。


「では、モニターをご覧ください。ここに数字が出ます。どちらが素早く全問書けるかを競います。よーいスタート!」


開始と同時にすさまじい対決が始まった。


「南はパソコンと計算問題だけは、尋常じゃないくらい得意なのよ。」


南は数字を見て、一秒以内に計算をし、解答していく。

それがどんな位の数字計算でも。


「愛歌さんもやるな。」


愛歌も南ほどではないが、素早く計算していく。


南があと一問というところで、まだ愛歌は四分の三ほど問題を解いたところであった。


だが、ハプニングが起こった。



ボキッとペンが折れた。


「ッ!!」


折れたことを知り、司会があわてて変えのペンを用意する。

だが、確実に時間のロスであった。


「まずい!このままじゃあ、愛歌が勝つ。どうすれば…。そうか!」


桜は“何か”に気づき、行動を起こす。


「識!歯を食いしばって!」

「へ?」

「村雨ぇっ!」


桜は手元に木刀・村雨を召還した。

そして、大きく振りかぶって…識を弾丸のように打った。


そのまま宙に放物線を描き、ある地点へと落下した。

愛歌の目の前である。


「…識さま…。」


桜の狙いとしては、とりあえず、知人が目の前に振ってくれば動揺するという狙いであった。

愛歌は顔を朱色に染め完全に手が止まった。


その間にペンが届き、一瞬で南が答えを書く。


その瞬間ブザーが鳴り、大型モニターには勝者雲の上学園という文字が出た。


これで1勝2敗。

まだ、ここから2連勝しないと勝利ではない。



次の試合まで休憩をとることになったので、全員で会議室に集まった。

ちなみに、間宮・椿・エヴァは消息不明になっている。


次は七海の出番であるが、休憩中。

「ところで、中嶋君?あの対戦相手とはどういうご関係?どうして桜の従姉妹さんとお知り合い?それに“識さまぁ?”えぇ?」

「いや、あのそれは…ぐるじ!」


識は七海に首を絞められ尋問…というより拷問に近いことをされる。


「ぎぶぎぶ!つか何だその黒いオーラは!?」

「さて、あの夫婦コントは置いておいて、次は…って七海だよ。おーいそろそろ、閉め落とすか、殴ぶり殺すなりして、会議しようよ。」

「その殺す前提の選択肢なんだ!」


我を取り戻し、識をポイッと投げ捨て、会議に加わった。


「次は“バイク”ってことだから、七海の得意分野だよね。」

「まぁ私は得意だよ。でも問題が出たら結構ヤバイよ。」


七海は社会以外は絶望的な成績である。


「あ、氷柱。どこ行ってたの?」


先ほどまでいなかった氷柱が会議室にやってきた。


「次の試合は、コースを回るらしくて、説明書きが配られてるの。ほら」


氷柱は桜に一枚の紙を手渡した。


「これは!!」


コースは第二グランド一周。

格コーナー四箇所に二択〇×問題を応える場所がある。

そこまで、自転車や三輪車など指定された乗り物で向かうことがルールである。


「七海?」

「ここ見て。」


七海が指したのは第二コーナーを抜けたところの円形の土俵。

どうやらここも通ることが決められている。


「この注意書き。“土俵の外に出たらコースアウトとして失格となる。”」

「なるほど…。」



そして、橘高校。

「ここだ。」

「なるほど…。これは使える。この平均台。」




時間がきた。

全員第二グランドに集合して、七海と橘の生徒はスタート位置についた。


「誰が相手?」


相手は、橘生徒A。先ほど祐介に殴り飛ばされた人物だ。


「ふっふっふ。桜相手が悪かったね。」

「何ぃ?」


わざわざ、恋美は雲の上チームのところまでやってきた。


「彼は一件間抜けに見えるが、自転車と一輪車の操縦は天下一品級。というかそれ以外とりえがない。」

「聞こえているぞー。」



「それでは位置について、よーいスタート!」


七海が最初に目にしたのは三輪車。


「う~、やっぱり漕ぎにくい。」


七海の漕いでいる様子を見て、桜と雪音はあることに気づいた。


「識くん。」

「あ、雪音さん。どうしました?というか二話ぶりくらいに話しましたね。」

「その…えっと…」


雪音は丁重に言葉を選んでいた。だが


「識。」

「ん、ってぎゃああ!!」


桜により目潰しVer.V指。


「ちょっと目を閉じていなさい。」

「な!なんで!言葉で言えってぇ!」


目潰ししたのは、七海の光景にあった。

二つの胸が身体の振動で上下しており…


「あれは識くんにはまだ早いです。」

「目の毒ね。」


そんなことをしていると、七海は問題コーナーにたどり着いた。

相手との差は20mほど。


ブー、


ブー、


ブー、


二択の〇×問題で三連続不正解。


その間に相手に抜かれてしまった。


「畜生!」


次は一輪車に乗り、平均台を渡る。

平均台から落ちたらその位置から逆戻りして、また渡る。


「どりゃあーー!」


相手はまるで躊躇しないかのような走行で平均台を渡る。


「素早い走りね。でも!」


それに負けないような走りをする七海。


「何!ええい!連邦の〇ビルスーツは化け物か!」

「伊達に赤い眼鏡をかけているわけじゃない!って桜の受け入りだけど!」


第二コーナーで相手と七海は並んだ。


お互い、一回目で正解して、次の乗り物、自転車に乗った。


そして、円形の土俵に着いた。


ここでお互いが動いた。


((今だ!))


七海は自転車をウイリィーさせ、相手自転車を攻撃しようとした。

それは相手も同じだった。


「な…!?」

「に…!?」


相手も驚いた様子であった。


タイヤの前輪と前輪がぶつかる。

お互いのバランスがくずれる。距離的に相手のほうがリング外に近い。


「でぇい!」


七海がしかける。

前輪タイヤによる突撃で相手は後ろへホッピングする。


「今だ!(いや、これは…)」


七海は足を動かし、前輪を上げたまま突撃。

だが、相手はそれを読んでいた。


大きくホッピングし、攻撃をヒラリと交わし、七海へと自転車の向きを変えた。

そのまま突撃。


「甘い!」


それを読んでいた七海は後輪を軸に180°タイミングよく回し、自転車によるビンタで相手をはたく。


予想外の攻撃に完全に相手はバランスを崩し、相手はリングアウト。


その時点で七海の勝利が決まった。


これで2勝2敗。



そして、5回戦。

単純なクイズ対決であった。


雲の上の選手は、雪音であった。


場所は、七海が使ったステージであった。


「雪音さんって…」

「クイズというか、一般常識もところどころ欠けている。つーか山暮らしだったからな。」


雪音がステージに上がる。



(どどどっどどどうしよう…。どうしよう。負けるたら、私のせいで学校が…負ける…。まずいよぉ。)


元々顔が白いが、今は青ざめている。


すると、いつもの効果が現れた。


「ん?なんだか肌寒いですけど、用意はいいですね?ではスタート!」


ジャジャン!という音と一緒に大型モニターに問題がでる。


そして、雪音は…


(まずいまずい…私のせいで…私のせいで………。)


気温が急激に下がる。

すると、


「ううう…」


相手が倒れた。


「え?」

「おや?」


相手は起き上がると、一瞬で舞台を降りてしまった。

雪音含め、全員困惑していると、司会が我にかえった。


「ええっと…、橘の不戦敗とします!!結果!3勝2敗で、雲の上学園の勝利!!!」




橘の生徒は口をあんぐりと空け、事実を受け入れることができていない様子であたった。


こうして、雲の上学園の綺麗な1勝を飾った。





次回、VS大江戸大付属高校

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