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雲の上学園生徒会記録  作者: skyofnet
第5章『the six school』
55/119

55 大会の始まり

今回の大会の参加高校は六校。

雲の上学園

大江戸大付属

サントアンヌ

山之上

海王


どれも超がつくお金持ち学校。

どれも全国に散らばっている。例えば大江戸は大阪。雲の上が東京。

それに小学校からでなくては入校するのは困難であるほど偏差値が高い。

ちなみに海王が一番偏差値が高い。


橘には恋美と愛歌が通っている。

彼女らも生徒会役員なので、今回の大会に出場している。

桜の知り合いで、この大会に来ている他校の人は恋美たちだけである。



大会当日。

桜たちは全員学校の制服に着替え、開会式のため大江戸の体育館に集合していた。

出場者自体は“最低10人”なので雲の上以外の学校の生徒は20人ほどいる。

選手よりも各高校からの観客人数が多い。高校OBも来ている。

ちなみに雲の上からの観客はいない。なぜなら、桜が広報活動を怠ったことと、理事長がこの大会のことを一月前までまったく忘れて言わなかったことが原因である。



桜たちは開会式が始まるまで、しばらく時間があるので時間まで少しトイレ休憩にいったりする時間をとった。

桜と識は橘高校に通っている恋美と愛歌に会いにいった。



「桜~~!と識~!」


橘高校の人が集まっている付近で二人を探していると、声をかけられた。


「あ、恋美。それに愛歌。」


恋美と愛歌が近づいてきた。

橘の制服は基本濃い緑色が基調である。

それに対し、雲の上は白である。というかスタンダードである。

実は、桜は橘の制服を初めて見る。

少しかわいいなぁ~などど、羨ましがっていた。


「あ、そうそう。客席に兄貴がいるよ。」

「恋継の兄貴が?失恋から立ち直ったの?」

「いや…微妙なところかな。普段は元気なバカだけど、女性と話すことに少し拒絶反応が出ちゃうらしくて。」

「あの女好きの兄貴がねぇ~。」


恋美と桜がわいわい話していると、愛歌はそそっと識へと近づいてた。


「識様…。」

「お、愛歌さん。こんにちは。制服姿始めてみるけど、けっこう似合ってるな。」

「っ!!」


それを聞いて愛歌は顔を真っ赤にし、恋美にトイレに行くと伝え走っていった。

桜たちが話していると、別の橘の生徒が近づいてきた。


「東海林。そちらの方は?」

「あ、橘さん。従姉妹の桜です。雲の上学園の生徒会役員ですよ。」

「へぇ。雲の上の…。桜氏、俺の名前は橘祐介。偶然にも高校の名前と姓さ。橘高校で生徒会会長をしている。」


スッと慣れた手つきで手を出した。

それに応じるように桜も手をだし、握手をした。


「どうも、ウチは東海林桜。ウチは生徒会の雑用ですよ。」

「お互い、全力を尽くして頑張ろう。」


目線を識へと移し、識に向けて手を出した。

識も、握手をする。


「中嶋識です。俺も生徒会で雑用っす。」

「そうそう、君たち二人の噂は聞いたことがあるよ。桜氏と識氏。」

「「ウチら?」」


二人の悪行が雲の上学園で広まるならわかるが、遠く離れた橘高校にまで聞こえるとは、思えなかった。


「たしか、先月そちらの理事長が行ったレクリエーションのベスト3に入る人物だとか。」

「そんな情報がどうして橘高校に?」

「うちの学校の理事長が他校のニュースを記事にするのが好きでな。それで知ったわけさ。」


いわゆる校内新聞というやつらしい。

識と桜はこの人物と話してまだ数分だが、生徒会長の名に恥じないとてもしっかりとした好青年である印象を持っていた。髪も坊主より少しながい清潔感あふれる印象を持つ。


そこへ一人の女性が歩いてくる。


「お兄ちゃん。そろそろ始まるよぉ。」

「ああ佐江子。今行く。」


少し離れたところから声をかけてきた人物は橘祐介の妹、橘佐江子らしい。


「あら、お知り合いの方…きゃ!」


歩いていると、何もないところで何故かつまづいて転ぶ。


その光景を見た瞬間。今まで好青年であった橘祐介の顔が一変。本気の顔になった。


「さぁえこぉぉ!!!大丈夫かぁ!!!」


絶対にたいした怪我ではないのに、超ダッシュで駆け寄る兄。

特に激しく転んだわけではないので、橘生徒が駆け寄る祐介の進路を不意に妨害してしまった。


「あ、会長悪い…」

「邪魔だあぁぁぁ!!」


ゴオォン!と激しくアッパーを繰り出す。

橘生徒は宙へと飛ばされた。


好青年の印象を持っていただけに桜たちは口をポカンと空けたまま何をしているかわからなかった。

横から説明するために恋美が声をかける。


「あのね…、この人普段は生徒会長の鏡のような人なんだけど、妹のことになると鬼にでもなる。極度の“シスコン”なの。」


人の株価が大暴落するといった気分であろうか、とにかく見る眼が変わった。


その一方で、そんなことを言われていることに気づかない祐介は佐江子の様態を大げさに心配する。

殴られた橘生徒は痙攣を起こしている。


「あっちの人のほうが何倍も重症ね。」



そうこうしている間に時間は過ぎ、開会式が始まった。

開会宣言は大江戸の生徒会長が行う。

その人物は、徳川海であった。


その後、台の上では大江戸大付属高校の理事長である赤井理事長が開会の言葉を話している。

格高校の生徒会の人物のことだけあって、誰一人おしゃべりしている人物はいない。

かと言って、真面目に話を聞いているわけでもない。


話が終わり、大会のルール説明が始まる。

出てきたのは、雲の上学園理事長である黒雛理事長であった。


「今大会は二ブロックに分けて、総当たり戦を行い、格ブロックの優勝校同士で決勝戦を行う。なお、決勝以外はどの競技を行うかはランダムに決められる。頭脳を使うもの、身体を使うものなど様々ある。商品は急遽変更となり、優勝者及び順優勝者にのみ付与される。諸君らの検討を祈る。以上。」


そして、各高校の生徒会長が台の上にあがり、四角い箱の中から玉をとるよう指示された。

よくある抽選のやりかたである。

雲の上からは当然氷柱が出た。

箱に手を入れ玉をとり、雲の上は第一ブロックに決まった。


結果はこうである。


・第一ブロック

雲の上学園

大江戸


第二ブロック

サントアンヌ

山之上

海王


事情をしる人物から見て、海王とあたらなかったことは幸いであった。

海王は学力だけでなく、スポーツまで全国区である。


「では、試合順を発表します。第一ブロック第一試合…

雲の上学園vs橘。

第二ブロック第一試合サントアンヌvs山之上。」


桜たちはさっそく試合だ。


「一時間後にはじめます。第一ブロックはA広場。第二ブロックはこの体育館で行います。では解散。」


周りがさわがしくなる。

中でも、海王と同じブロックになったことを嘆いている声も少なくない。

桜はその海王のことを知らないので、氷柱に聞いてみることにした。


「ねぇ氷柱。海王ってそんなにスゴイの?」

「そうね、海王は超エリート校中のエリート校。部活動もほとんどが全国決勝にまで進む

わ。そして、生徒会なんだけど。」


氷柱は目線を恐らく海王と思われる生徒たちに向ける。

海王の生徒の中でもものすごく目立つ人物が二人いた。


「あの目立つ人わかる?」

「長すぎる金髪…つーかちょっとテカってる人と、これまた微妙に長い銀髪の人?」


男性としては、いや女性としても長すぎるくらいの金髪をした、少し恐持ての人物。

そして、銀髪の女性とも受け取れる顔たちをした人物。

顔で言えば真逆といえよう。


「金髪の人が、“金獅子”さん。銀髪が“銀河”さん。二人は、この六校を取り締まる、“総理事長”と“副総理事長”の息子よ。」

「総理事長なんていたんだ。」

「知らなくても無理はないわ。…あら?」


遠くから手を挙げ近づいてくる人物。徳川空がいた。


「徳川君。あなた病院行くから参加できないって…」

「京都の病院でね。明日ちょっと検査があるんだ。まさか君たちも京都でやってるなんて知らなかったから。」

「そう。」

「僕の妹が参加するって聞いてきたんだ。」

「あの“海”って子?」


顔を出すように氷柱の肩からヒョイっと出て呟いた。


「ああ、知っていたのか。そうだよ。大江戸大付属高校生徒会長徳川海。二年生さ。」

「あら、私たちと同い年ね。」

「妹とあたることがあったら、気をつけたほうが…、いや彼女は決勝まで出ないだろう。」

「どうして?」

「金獅子君と戦う時まで温存しておきたいのさ。」


敵に自分の情報を一切公開しないということらしい。

それは『予選は勝って当たり前』といっているような物であった。


「なかなか言ってくれるね。ウチらをあまり舐めない方が学校のためだよって伝言頼める?」

「さ…桜。」

「ははは、わかったよ。ん?」


また一人の男性が近づく。

今度は縁の細い眼鏡をし、黒髪でいかにも真面目そうな人であった。

青い制服…桜にはどこの生徒かわからなかった。


「徳川。久しいな。」

「九条じゃないか。出てたのか。」


二人は再会を喜ぶように握手をした。


「あ、紹介するよ。彼は九条貴怜。サントアンヌの会長さ。」


桜は内心、(また会長クラスか、これで四人の生徒会長を知っちゃったよ。)と思った。


その九条の後ろに二人の小さな女の子がいた。

なんだか表情が読めない無の表情をした双子らしき女の子であった。


「ああ、たしかフェイさんとファイさん。ええっとメイドさんだっけ?」

「「徳川様。お久しぶりでございます。」」


二人は合図なくまったく同時に喋った。


「彼女らは私の専属メイドだ。」


桜にとって茜のようなものか。

歳は茜よりだいぶ若いがっと桜は思う。

九条は氷柱を見て、少し考え告げる。


「あなたは、たしか北皇子総合病院の…」

「はい、娘の氷柱です。」

「お会い出来て光栄です。」


“生徒会長”としてではなく、病院の娘として知られていた。


九条は時計を見ると、次の試合の準備があると言い、別れを告げた。

桜たちも同様に試合の前にやることがあったため、参加選手でミーティングを開いた。



ミーティングをやるための部屋はあらかじめ用意されていた。

中は和式の会議室。畳の部屋で、座布団がしいてあった。

ホワイトボードも用意されていた。


「では、第一試合のオーダーを決めます。」

「試合内容は?」

「ここに封筒があります。先ほど渡され、ここに試合内容が書かれているそうです。」


そう言い、司会である氷柱は封筒を開封する。


「試合は…“走って書いての大レース(仮)”……」

「…」


一同は静まり返る。


「つ…つまり、何か頭を使ったりするレースかしらね…。」

「まぁ(仮)が気になるけど…」


封筒の中にはもう一枚、オーダー用紙が入っていた。


1.早ときドリル!

2.???

3.数学早とき!

4.ドリルでバイク

5.???


「???が気になるけど、誰か立候補者いる?」

「そうだねぇ…。」

「はいは~い♪」


南が元気よく両手を振る。


「ん?南、出る?」

「私が出たらアウトぉだよぉ。」

「「「確かに…」」」

「ひどいよぉ~~、でね、まず早ときドリルは氷柱ちゃんが適任だと思うなぁ」

「確かに氷柱なら適任だね。」

「あとは私が早ときバイクだっけ?あれがいいな。」


乗り物関係なら七海は超人的な動きができるので、立候補した。


「よし、わしは2番目の???にでよう。」


立候補したのは浦島であった。


「なら私が数学に出ようかしら?」

「椿数学得意なの?」

「いいえ、誰もやらないなら私がとっとと決めるってことよ。」

「…いや、数学なら南がいい。」


残るは最後の???のみ。


「どうする?」

「抽選でいいか?」


ということで、くじで決めることになった。




そして、一時間後のA広場。

「愛歌と恋美と一回戦からやりあうなんてね。」

「ふっふっふ。手加減しないよ。」


そして第一回戦、雲の上vs橘の試合が始まった。


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