45 【決勝戦】 東海林桜 vs 徳川空
中嶋識から勝利を収め、桜は教会から出て、氷柱たち本部と連絡をとっていた。
「氷柱?後は何人なの?」
『あとは、一人。だけど・・・、私は逃げることを推奨するわ』
いつにない弱気な氷柱であることに疑問を持った。
「その一人ってどんな人?」
『徳川空っていう人なんだけど、Sクラスの中でも1,2位を争う人よ。』
「何をもっての1位なの?」
『総合点よ。実技も含めた総合得点』
「そんなすごいんだ!それは楽しみだなぁ♪」
『そうね・・・。気をつけてね』
「はいよ!」
無線を切ると同時に、人影が見えた。
見える限り三人。
視力7の桜には顔がバッチリわかるが、見たことのない顔であった。
「徳川様!距離100に東海林桜二年生がおります。」
「そうか。挨拶でもしにいこう。」
徳川は桜に向かって歩き出す。
その様子に気づいた桜も徳川に向けて歩き出す。
二人の声が聞こえるくらいの位置にまで近づいた。
「やあ、こんにちは。僕は徳川空。」
「どうも、こんにちは。ウチは東海林桜。」
「君が最後の相手かな?」
「そうね。これに勝ったほうが優勝者ってことだけど・・・」
「そうだね。」
二人は銃を取り出し、
「じゃあ!挨拶もまずまずだけど!」
「そうだね。やろうか。」
まず、桜が威嚇も含めた射撃をくりだす。
徳川が最低限の動きで避ける。
カウンターで、徳川も射撃。
桜も軌道を読み、避ける。
付近には遮蔽物がないため、わずかな油断が命取りとなる。
だが、何もしなければ、何も起こらない。
桜は一度、徳川に接近戦をしかけてみることにした。
まず、目くらましの目的で、近くにあったゴミ箱を蹴り飛ばす。
ゴミ箱に続くように、桜は徳川に接近する。
ただ、接近するのではなく、あえて、相手の横へと飛び込む。
徳川の横へとついたとき、驚いた。
徳川は既に横に銃を向けていた。しかも桜が来る前に。
横についた桜はその銃の射線上にいた。
「ごめんよ。それは悪手だよ。」
バンっと一発。
「あっ!」
このままではあたると思い、状態を逆U字に反り交わす。
そして、転がるように逃げる。
「危ない危ない。今のは読まれるね・・・。」
反省しながら、次の手を考える。
「って思わせて!」
銃を片手で持っていたが、もう片方の手で、背中に隠していた識から奪った銃を取り出し、発砲。
玉が、徳川へと向かう。
「それは水玉(セーフ玉)だよ」
徳川は玉を手ではじく。
「銃をもう一つ隠していたとはね。リボルバーだから、二丁使う人はいなかったな。」
「奇襲用ってやつよ。でも、水玉だったなんてね。」
「ふふふ。じゃあ、次はこっちから。」
徳川は連続で発砲。
それは異様な軌道であった。
「!・・!?・・・!?」
一発目は普通に避けることができたが、二発以降、桜の避ける位置を確実に先読みして狙ってきた。
これから行こうとする場所に発砲される連続である。
「あんた先読みの天才?将棋とか強いでしょ!」
「そうだね。でも僕がやるのはチェスさ。」
「そうかい!」
「次は僕に向けて、特攻かい?」
「っ!!!!」
まさにその通りのことをしようとしていた。
(読まれている?)
「君の行動パターンを分析したのさ。」
「・・・そう。じゃあ、これはどう!!」
桜は、背中から銃を取り出す。一丁ではない、三丁とりだした。
それを全て上へと投げ出した。
「何を?」
徳川にもそれは予想不能であった。
「こうするのよ!」
桜も上へとジャンプする。
「周りには足場がないよ。」
徳川は銃を桜に合わせようとする。
その時、気づいた。
(そうか、やるね。)
桜は徳川に対して、太陽を背に。
徳川が、桜を見れば、太陽を直視するような形になった。
さらに宙に上げた銃、桜の持つ銃を含めた五丁。
それを両手で連続で五発、撃鉄を引くことなく連続で撃つ。
「うおおおぉぉぉ!!!」
バババババン!!!っと撃つ。
玉は徳川からは、太陽で見えない。
「僕は逃げないよ。君をここで討つ。」
徳川は下を向いたまま、そう告げた。
桜の玉二発が、徳川にあたり、桜の最後の五発目が徳川をとらえた・・・ように見えた。感じた。
桜から見えたのは玉が当たると同時に、徳川がそこにいたはずであったが、霧のように消えた。
「な・・・何が????」
桜が着地する前に、何かが桜の頭にゴツンと当たった。
「あれ??(何も感じなかった???)」
「チェックメイト」
着地し、桜のわずかな硬直時間を狙い、バンっと撃たれた。
頭からは、透明な水が流れていた
「残念。セーフ玉だったね。」
桜はセーフ玉だったと知り、とっさに動いた。
撃鉄を引き、後ろを向きながら、徳川の身体に銃を当て発砲。
するかにように、見せかけた。
そして、桜は逆方向に銃を向ける。
そこには銃を構えた徳川がいた。
その銃に銃を突きつける。
「すごいな。君の友達と同じ手は通じないか。」
「残念だけどね。」
「だから、もう一手残しておいたよ。」
「!?」
ビチャっと桜の頭に何かが落ちてきた。
桜は銃を持っていない手で、頭を触る。
手が、黒い。
「あり?」
その瞬間校内放送がなった。
『たった今ーーーー!!!!勝者が決まったぁ!!優勝者、徳川空ぁぁ!!!!!』