38 ロシアン水鉄砲ゲーム
『諸君。理事長である。』
全員が黙って聞く。
聞き逃すようなことがあったら、大きな痛手になるからである。
『では、今日行うのは、“ロシアン水鉄砲ゲーム”』
水鉄砲を使うゲームくらいしかまだわからない。
『このゲームは特殊な鉄砲と玉を使う。鉄砲は6連リボルバー式で玉は黒墨玉を使う。が、ルールとして、打ちきり、装填するときに、六個のうち一つセーフ玉である透明玉を入れる。これで諸君に戦ってもらう。銃を撃ち合い、黒墨が身体にあたると、失格である。監視カメラで様子を確認しているので、あたった者はこちらで名前を放送する。透明玉にあたっても失格にならん。ゲームの範囲は、高等部・中等部である。教室の中など自由に使ってよいが、後半になると、生徒の所在地がモニターのGPSの位置が表示される。スタート地点は、担任に聞け。以上だ。』
周りが騒がしくなった。
『最後の一人となった者は報酬として、私のできる範囲で何でもしてあげよう。』
周りが一気に喚起めいた。
理事長の権限はでかい。
“何でも”なら学園内のことなら何でもできる。
しかし、理事長の放送はまだ続く。
『なお、Gクラスの者にはハンデを与える。』
「「「「「なにーーーー!!!!」」」」
報酬で盛り上がっていた分クレームはひどかった。
『Gクラスの者は初期装備はなしだ。武器は学内の至る所に隠してある。銃と玉だ。以上健闘を・・・いや。罰ゲームもある。一位ではなくい二位のものは罰ゲームがある。終了後理事長室に来てもらう。以上健闘を祈る』
そして放送が終わった。
全員“二位”の罰ゲームは大してきにしていないようである。
Gクラスでは、武器の支給がないときた。
それだけ、他クラスとは体力面などで大きくかけ離れているハンデである。
「ってことで、Gクラスはこの教室からスタートらしい。じゃあ私は、終わるまでタバコ吸ってるからあとよろしく。」
「桜~どうする?」
「罰ゲームにならなきゃいいかな?って私は思うなぁ」
南と七海はあまりやる気がないらしい。
「ならさならさ!ウチのサポートに回ってよ!」
「ん~まぁいいかな。南は?」
「私もやる気ないからいいよぉ♪」
よし!っと桜はガッツポーズを取り、
「あとは、氷柱さえ仲間にできたら・・・」
「でも氷柱ちゃんとはスタート地点が違うから、最初から組めないよぉ~」
「う~ん、氷柱は授業中携帯の電源切ってるからな。いや、氷柱なら、最初に生徒会室に行くと思うから、そこで仲間にしよう。」
桜は作戦を立て、待機。
「中嶋さんはどうするつもりで?」
「なんだよ椿。どうするって?」
「やる気の話よ。」
しばらく識は考えた。
「特に理事長にお願いしたいこともないし、ないかな。」
「じゃあ、組みましょう。」
「は?」
「私は優勝したいけど、今日は生憎ハイヒールにドレス。桜とやりあったら瞬殺だわ。」
たしかに椿の格好を見ると、制服ではなく黒いドレスに靴はハイヒール(雲の上は外履)である。
「組むって、どうすんだよ。」
「私がこの学校のセキュリティ室に入るから、貴方たちに情報を送るわ。」
「“たち”って後だれいるんだよ?」
椿がチラリと見た。
その方向には、間宮がいた。
「そう言えば、椿と間宮って仲いいよな。話してはないけど、よく一緒にいる。もし・・」
「別に付き合ってるわけじゃないわよ。」
「そういう仲じゃないわよ。私たちは。」
椿は特に感情をこめることなく言っていた。
その教室の奥で・・・
「村瀬さんはどうしますか?」
「倉田さんのご指示のままに。」
倉田と村瀬である。
おじさん顔の倉田とそのメイドである村瀬。詳しくは15話を見よう!
「私は特に興味はありませんが、いい機会です。私のことはいいので、村瀬さんちょっと頑張ってみてください。」
「はい、わかりました。では、数人手駒として扱いますわ♪」
Gクラスでは、桜組・椿組・村瀬組の3グループにわかれた。
Sクラス
「あら、めずらしい。鏡博さんじゃない。」
「イエ~~~~~ス。今日は~~~理事長が面白いことをやる~~といってたので、きま~~~したぁ。」
「研究の資料集めですか?」
「い~~~~えす」
氷柱はSクラスで洋書を読んでいると珍しい顔があったので声をかけていた。
彼は、鏡博。白衣を着、丸眼鏡、高身長の研究者である。髪は切るのが面倒らしく、後ろで結んでいる。研究中の事故で、髪は真っ白である。
彼も、研究といい、あまり学校にはこない。
「今日は~~~~徳川~~~も来るそうですよ~~~」
「徳川君が!?」
「あと千里兄弟もで~~~す。」
「っ!!!!どうして!?なんで、今日はそんなエリートがくるの??」
周りの生徒も驚いていた。
同じSクラスでも、“徳川”そして“千里”が登校するのは稀である。
この二人が同じ日に登校するとなると、このクラスでは事件である。
(これじゃあ・・・桜は優勝できないっ!!!!)
「でも、まだ来てないのよね?」
「12時までには来るらしいで~~~す。」
(遅刻してくれれば・・・なんとか・・・)
時刻は、12時を回る5分前。
氷柱たちのスタート地点は、中央時計台の下、時計台の中にある生徒会室の下でもある。
「はい、皆さん。では、あと少しで始まりますよ。」
担任が時計を見る。
担任の教師に氷柱は聞いてみる。
「あの先生。徳川君たちは、きてますか?」
「まだ来てないわよ。」
氷柱は安心した。
恐らく、この学校での脅威である徳川がいないのならば、桜の優勝もありうる。
だが、少し遠くから、声がした。
「千里。どうやら間に合ったようだよ。」
「そのようだな、徳川。」
「お兄様。あと30秒で1200時であります。」
その姿は、千里千歳・徳川空・千里命の三人であった。
教師が、出席名簿に名前を書き込むと同時に、12時のチャイムがなった。