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雲の上学園生徒会記録  作者: skyofnet
第3章『東海林家の一族・前』
34/119

34 年度末報告会

扉には東海林御春。白銀の着物を着た桜の祖母が立っていた。

この人は、東海林家では、祖父の次に権力が高い。

なので、誰もこの人には逆らえないので、先ほどまで、言い合っていた君枝は黙り、席に座り込んだ。


「ふむふむ・・・、全員いるようじゃな。」


御春は全員の顔を一瞥し、自分の席に座った。


「今日は、世界の爺いはこない。」

「お父さんが欠席ですか!?」


薔薇都たち、御春の子供組は驚いていた。


「あの、何よりも、この会議を大事にされているお父さんが欠席とは・・・」

「あら、でもその分少し気が楽になったんじゃない?」

「そらそうや!ほな、お母さん。お願いします。」

「そうじゃな、では・・・」


御春は席に座ったまま、真剣な顔になり


「これより、東海林家親族会議を始める。まず、各家の新規報告から」


薔薇都が立ちあがる。

この会議は年齢順、薔薇都・瞳・勇気・桜の順で報告をするようだ。


薔薇都が説明をしている間、桜はかまないように、口を動かし練習していた。

緊張はあまりしていない。今回が初めてではないので、ごもることはないと思う。


だが、噛むなどの失態に対しては、ペナルティーがつく。

ずっと前、桜は途中頭の中が真っ白となり、ペナルティーがついた。

そのペナルティーは桜個人にかされるものではあった。

内容は、ヘリから突き落とし。ドッキリであった。浮輪も落とされたが、鮫に襲われ死にかけた。



「・・・以上で、私からの報告を終えます。」

「うむ、ごくろう。次は瞳。報告せよ。」

「はい、お母様。」


続いて、瞳が話し出した。

その間も桜は練習をしていた。


桜の報告する内容は主に二つであった。

使用人が増えたこと。そして、生徒会に入ったこと。

簡単なことだ。今回は非常に運がいい。


「・・・私からは以上です。」

「次は勇気。」

「ほないきまっせ。」


桜は考えていた。

もし、今回失敗したらどうなるだろう?


過去の出来事を思い出していた。



あれは、中学校2年生だったか・・・


アマゾンに行ったときだった。

桜と御春は、崖の上にいた


「おばあちゃん。なんで、肉を後ろにつけてるの?これ外れないよ??」

「これも修行だよ。ってやつ。頑張ってこい!」


桜の後ろには虎がいた。


「ぎゃああああぁぁぁぁああ!!!!喰われるうううぅぅ!!!」


桜は無我夢中で飛び出した。

そして崖から飛び出した先は・・・空だった。


「みぎゃああ!!!??」


落下。


下の木々に引っかかり、致命傷は避けられた。


「・・・・死ぬ・・・。はっ!!」


殺気と視線を感じた。


虎の群れが落ちた木を囲っていた。


「・・・っ!!!」


無言で木の頂上まで登り、猿のように木を移動し始めた。



そのまま、桜は三日間不眠不休で遭難していた。





「・・・・以上や。」


そこで桜は意識を戻した。


「次は、桜。」

「はい。では・・・」


桜は息をすぅっと吸った。


「私の家では昨日から・・・・・」


桜はすらすらと答える。

口ごもってしまうと、次は危ない取引現場に連れて行かれるかもしれない・・・本気で思っていた。

桜は必死・・・字の通り、“必死”であった。


「・・・・であり、現在、我が邸には使用人五人住んでおります。そして私は、雲の上高等学校に進学し、生徒会役員として活動をしてます。」



その瞬間、場の空気が固まった。


「ば・・・馬鹿な・・・。あの雲の上の生徒会だと!?」

「桜ちゃん?この場で冗談はなくてよ。」


「ほんまかい?雲の上の生徒会といえば、エリート集団で、希望してもなれへん話やで?」

「勇気さんは、たしか希望したけど、なれなかったんでしたっけ?」

「いたいとこつくやないか~」


周りが騒がしくなった。

桜は親族から見て、非常によろしくない印象を持っている。

学業面では下。東海林家は基本的に学業はかなり優秀であるので、薔薇都夫婦から軽蔑されている。


薔薇都夫婦はインテルの塊である。

息子である葉にも勉強をかなり教養していた。

おかげで、彼は企業の若手社長をしている。


「桜。それは本当なのか?」


ずっと黙っていた、東海林葉が声をだした。


「ウチもわからないけど、理事長にこいって言われた。」

「そうか・・・」


少し、間を置いて、


「おめでとう、という所かな。誰も言わないから言わせてもらったよ。母さんたちもいいなよ。東海林家にとって栄誉あることだよ」


薔薇都夫婦はかなり悔しそうである。

いままで小馬鹿にしていた桜が、エリート高の生徒会役員であったことが、非常に悔しい。


「ま・・・まあ、そうだな。おめでとう。」

「そうね、」


その途中、御春が咳払いをした。


「そろそろいいかな。というやつだ。」

「あ、お母さん。申し訳ありません。」


そうして、収入報告などの報告会を始めるのであった。





午後2時。

この日の報告会や会議は終わった。


桜たち孫グループは砂浜に遊びに、大人たちは、家に残り、昔話でもしようと言っていた。使用人たちは、半分に分かれた。



「桜・・・・」

「ん?何、愛歌?」


桜に話をかけてきたのは、青い髪をした、愛歌であった。


「識様・・・元気?」


どうやら、愛歌は、結婚式のときに助けられた識になついたようだ。


「そうね・・・今は、うちで執事やってるよ。今度会いに気なよ。」


愛歌は顔を赤く染め、ニコリと笑った。


(これは・・・まさかのまさか??)




「青い海のばかやろーーーー!!!!」



そんな声が聞こえてきた。


これはあの有名な失恋したときのセリフだ。

その方向を見ないでも、誰が言ってるのかは検討がついていた。

だが、とりあえず、という気持ち程度に見た。

やはり恋継であった。


「青い海のっ!!!」

「その辺にしないか、恋継。」


恋継を励ましたのは、葉であった。

東海林家の孫グループでは、一番年上なので、こういった役はよくやるほうである。

それにイケメン種である。


「葉の兄貴・・・」

「結婚式にはいけなかったが、話は聞いたよ。・・・辛かったな。」

「兄貴・・・」


このとき、恋継には、波の音がとても心地よく聞こえたそうだ。

しばらく、男二人で海を見ていた。


「兄貴は結婚しないのかよ?」

「俺か?おれはそうだな・・・。まだこれといって一人に決めてないからな。」


それは・・・つまり・・・


「いや、会社で愛人を作りすぎてな。困っているんだ。俺は自由人だからな。誰かに縛られたくないんだけど、ついつい昔の悪いクセで愛人を作っちまうんだ。」


恋継は正直な殺意が沸いてきた。


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