33 東海林家という島
さて、物語を始める前に少し説明をしましょう。
【東海林家について】
桜から見て・・・
東海林世界(祖父)
東海林御春(祖母)
薔薇都(叔父・東海林家長男)
君枝(叔母)
葉(従兄弟)
瞳(叔母・東海林家長女)
ヴァレンタイン(叔父)
恋継(従兄弟)
恋美(従兄弟)
愛歌(従兄弟)
勇気(叔父・東海林家次男)
光子(叔母)
心(従兄弟)
花(母)
天津(父)
です。本編でも一応説明しますが、一応書いておきます。
東海林本家
ジェット機で10時間飛ばした無人島に存在する。
島の大きさは普通の無人島と同じくらいの大きさである。
この島は東海林家が買い取った島であり、島には東海林家関係者、と言っても使
用人と本家の人間しか住んでいない。
来島者は月に一度近くの国から食料の運輸があり、その作業員がほとんどである
。
島の作りは、中央の山の頂上にドデカイ城があり、近くに飛行機の滑走路がある
。あとは森がほとんどで、隅っこに、発電所やらがある。
桜たちのジェット機は島の中央の城、本家のヘリポートに離陸した。
10時間ジェット機に乗って窮屈でいたので、降りると同時に、背筋を伸ばし、大
きく深呼吸をした。
そんな桜たち三人を出迎える、本家使用人たちの列が綺麗に並んでいた。
その列の、中から、一番年輩のような白髪の男性が出てきた。
「桜様。お久しぶりでございます。お待ちしておりました。」
「来栖さん、お久しぶり。叔父さんたちは来てるの?」
「はい、薔薇都様、瞳様、勇気様、の御家族様がすでに、到着されております。
」
自分が一番最後の到着であったことを知り、少しばつが悪いと思った。
「では、そろそろ御春様が親族会議室に来られますので、お着替えをしていただ
きます。」
「じいちゃんは?」
「主様は、本日欠席でございます。」
そして、桜は着替え部屋へと通された。
部屋では茜と二人で着替えていた。と言っても、茜は桜の着替えの手伝いをして
いるだけである。
茜は普段と違い、心配そうな顔をし、桜を見ていた。
「桜、こんなこと今言うべきではないですが…」
「わかってるよ。…お母さんの分まで、頑張るって決めたから。」
しばらく静寂が流れる。
桜が着替えているのは、東海林家の正装と言われる服である。東海林の者は皆こ
れを着て親族会議を行う。
女性はドレスであるが、桜はまだ未成年なので、ドレスではなく、学校の制服の
ような物を着る。
女性ワイシャツに、ネクタイをし、黒ジャケットを羽織る。
下はスカート。
黒ジャケットには、右肩部分に黄金の鳳凰の刺繍がされている。
東海林家の正装には、全て鳳凰の刺繍がされている。
桜は準備を整え、後はジャケットを羽織るだけとなった。
「親父は生きてるかさえも、わからない、ってかどうでもいい。お母さんは…死
んじゃってるから、ウチが頑張らないと、お母さんが残してくれた物が、本当に
なくなっちゃうからね。」「桜…。後で花様のお墓にお参りに行きましょうね。
」
「うん。桜家当主として恥かかないようにしなきゃ。」
桜は持っていたジャケットを回すように振り回し、着る。
「じゃ!行ってくるよ!」
「はい。おきをつけていってらっしゃいませ♪」
茜は笑顔で、桜は真剣な顔をし、部屋を出た。
親族会議室へは、使用人である茜や黒井は入ることができない。
本当に桜は一人であった。
従兄弟にあたる、恋継、恋美、愛歌とは仲がいいが、彼らは、東海林瞳の家族。
また別である。
親族会議室の扉を開ける。
「桜ぁ!遅いよ!」
開けたと同時に声を出したのは、赤い髪をした恋美であった。
服装は桜とにているが、紫色のジャケットを来ていた。
「ごめんごめん。でも婆ちゃんまだでしょ?」
「居たら、桜半殺しにあってるよ。」
「確かに…、兄貴は?」
兄貴…とは従兄弟の恋継のことである。恋美さ恋継の実の妹である。
「ほら…、あそこに…」
指を指した方向では、真っ白に燃え尽きた何かがいた。“何か”こと恋継さ何か
ブツブツと呟いていた。
「……もう結婚なんかしないもう結婚なんかしないもう結婚なんかしない………
…」
前回、結婚が失敗に終わり、トータル三回目の結婚式失恋をし、恋継は、真っ白
に燃え尽きていた。
二人が話していると、
「桜やないか!おひさしゅうな!」
「勇気叔父さん!」
ふとっちょのメタボ叔父さんが話をかけてきた。
彼は、東海林勇気。
桜たちの中では一番話しやす人気ものである。別に関西人ではない。
「桜さん、お久しぶりね」
「光子さんもお久しぶりです。」
スーツを着た、スマートな女性。
東海林光子。
外見ではキャリアウーマンを想像させる。勇気とは体系的にはまるで逆である。しかも若い。まだ20代後半くらいである。
彼女は知的な感じを出しているが、基本的にやさしい女性なので彼女も好かれている。
「おほほほ、桜おひさしゅ」
「だからやめなさいって!」
ポカンと殴られた。
殴られた女の子は二人の娘、東海林心である。
まだ、小学生であるが、どこで覚えたのか、やたらヘンな言葉を喋るので、そのたび指導が入る。
桜たちが話をしていると、
「ほら、桜も早く座りなさい。そろそろ御母様が参られる。」
薔薇都が注意をした。
「あ、ごめんなさい。ウチの席は…。」
「桜は孫だから、私たちの隣だ。」
ここで席順を説明しよう。今は、薔薇都家、瞳家、勇気家、桜家の四家族がいる
。
席は
世界(祖父)-御春(祖母)
薔薇都(叔父)-瞳(叔母)
勇気(叔父)-空席
葉(従兄弟)-恋継(従兄弟)
美(従兄弟)-桜
愛歌(従兄弟)-心(従兄弟)
君枝(叔母)-ヴァレンタイン(叔父)
光子(叔母)-空席
である。
“-”の部分は机があると思っていただきたい。
つまり、“世界と御春は机をはさんで、向き合っている”状態である。
順番は、直系→その子供→配偶者という順番である。
桜たち、全員席に着座し、あとは世界と御春を待つのみである。
時間を余しているので。君枝(薔薇都妻)が話し出した。
「ところで、さっき気になったけど・・・、ねえ?あなた?」
君枝はアイコンタクトを薔薇都にする。
「う・・・うむ。」
薔薇都は何かきまづそうである。
「まさか。まだ桜ちゃんが自分のことを“ウチ”って呼んでいるなんてね。笑っちゃうわぁ!」
その瞬間、いままで真っ白に燃え尽きていた、恋継が復活し、声を荒げた。
「君枝さん!!!」
だが、君枝は一切怯むことなく続けた。
「だって本当のことじゃない。恋継君の結婚式の時からウスウスは思っていたけど、まさか、“まだ”そう言ってたとは、私面白くて」
「君枝さん!!やめないと」
「あなたたちだって思ってるはずよ!」
恋継と言い合いをしている。
だが、
当の桜は、
これが、何の会話かまったくわからなかった。
(ウチって????昔からそう言ってたと思ったけど???でもそんな重要なこと???)
「君枝さん」
桜が質問する。
「あら、桜ちゃん。何かしら?」
「ウチは」
「さっきからやかまし!!!!!!!!」
大きな声で会話が途切れた。
その声は、入り口から聞こえた。
全員その声が誰の声なのか既に察していた。
「まったく、わたしのことを黙って待つことすらできんのかの~。ってやつよ」
この言葉の最後に“ってやつよ”とつける癖がある人物。
「またせたな、御春ちゃんの登場じゃよ。ってやつよ。」
次回予告
茜「ついに出番がなくなりますわ。」
黒井「そうですよね、特に私なんか今回もセリフありませんでしたよ」
茜「あら?私だって桜の着替え手伝ったきりですよ」
黒井「私たちは、今回蚊帳の外ですから。」
茜「悲しいですわ。」
黒井「でも、私たちは基本、全ての話で蚊帳の外ですよね」
茜「それは禁句ですわ~~~」