27 三度目の愛
「しっかし、あの兄貴本当に結婚できるのかな?」
「不吉なこといっちゃダメですよ!」
二人は恋継の家に行く準備をしながら話していた。
桜がこんなこというのには理由があった。
結婚式一回目、三年前。
「はっはっは!見たか桜!俺もついに結婚だぞ!いつもバカバカ言いやがって、
そんな俺もついについに」
礼服に身を包んだ恋継はよほど嬉しいのか、控え室で桜に自慢しながら泣いていた。
「でも兄さんバカだから愛想尽かされるんじゃない?」
「ばっ!何を言うか!一葉さんは俺のバカなところも、あの人そっくりで好きだ
って、どこか遠い方を見ながら言っていたぞ!」
桜は白けた。
「その…あの人って誰?」
恋継は幸せの絶頂で、躍りながら話し出した。
「そんなのどうでもいいじゃないか♪たしか友達って言ってたけど。たまに食事
するなかだって♪」
「へ~…(ドラマチックな展開が起きなきゃいいけど)」
「汝は妻を最愛の…」
と言った瞬間…
「一葉!!!!!」
バンッとドアを勢いよく開けた一人の男性。
「俺と…今まで言えなかったけど俺と結婚しよう!!」一葉は走りだし…
「一朗!!」
と抱きついた。
「もう、二度と話さない。ずっと一緒だ!!」
「ええずっと永久に」
「さあ二人の門出だ!」
と言い式場を出ていった。
残された恋継は立ったまま気絶をしていた。
二回目、一年前。
同じく控え室で
「今度は大丈夫なの?」
「桜よ…。手痛い同じことを二回やるのはバカだぜ。」
「バカじゃん」
クールに決めた恋継にクールに桜が答えた。
「今度の二葉さんは大丈夫だ!浮いた話なんて周りから一切聞かない!」
「へ~」
「今時珍しいねとても清楚な方でな…。あなたといると疲れるしけど、楽しい時
もあると…」
そこまで話した時
コンコン
ドアを叩く音
その日雇った、ボーイが入ってきた
「新郎様宛に新婦様からお手紙を…」
桜は恋継よりも早く手紙を奪った。
「恋継さんへ
あなたについていけません。
二葉」
ふらふらとよろめき、恋継は椅子へと座った。
「桜よ・・・燃え尽きちまったぜ・・・・」
それから数ヵ月は真っ白に燃えつきていた。
そして時間は現在に戻る。
「次は金目当てで結婚しようとして捕まるパターンかな」
「もう、桜。そんな不吉なこと言ってはいけません。」
桜は紅茶を飲み一息ついて。
「さて、私はバカを笑いに行こうかな。じゃあ行こう!」
と席を立った桜に
「あ、それと桜の友人も式に呼びましたよ。西園寺さんと、南嶋さんと、北皇子
さん。中嶋君はつかまらなかったから、三人ね。」
「識はどうせバイトだろうし仕方ないよ。じゃあ、兄貴の家に行ってくるから
、ヘリ出して。」
東海林家ではヘリ移動が普通らしい。
「今は移送用が結婚式の準備で使ってるので、ハイヤーしかないですけどいいで
すか?」
「ん~。ハイヤーは使いにくいけどいいか。黒井君補助運転お願い。」
「はい。かしこまりました。」
桜の執事黒井は30分ほどハイヤーを操作し、東海林恋継の屋敷に行った。
桜の屋敷ほど大きくはないが、明らかに金持ちの家である大きさだ。
屋上にはヘリポートがあるが、恋継宅にはヘリはない。主に親戚の為に作ったも
のだった。
桜はヘリポートに着陸した。
そこに出迎えのメイド、執事がいた。
「お久しぶりです。桜お嬢様。」
落ち着いた声、容姿の執事。不破(65歳)が一番に声をかけた。
「不破さんもお久しぶり。兄貴は?」
「若は、服を選別中です。自室にいます。」
「ありがとう。黒井君は不破さんと話でもしてて。私はバカと話してくる。」
「バカは・・・ではなく、若は今回の結婚はいつもとは気合いが違います。見ていただくとわかりますが。」
恋継の部屋からは、喜びの歌が聞こえる。桜はこれを破滅へのワルツと読んでい
る。
「兄貴、バカ面見に来たぞ。」
「マイシスターか。と言っても従兄弟だがな。マイシスターよ、俺は今日から生
まれ変わる。いや、変革する!」
「俺がガ○ダムだ!を見ただろ。」
「ぬ!さすがマイシスター。みと…」
「赤い人の名言を言うな。それにアンタはもう若くない!」
「ガ~~~~ン。だが俺はまだまだ、若いなとか青いなと三葉さんが言ってたぞ
!」
桜はここで結婚相手の名前を知った。
机を見たら、恋継と誰かが写っている写真があった。
(これが三葉さんか…。なかなか美人だ。しかも…)
「三葉さんはお前と違って、おっぱいが大きいんだ!!!」
ブチッ!!
何かが切れた。
「誰が貧乳だぁぁ!!」
そして、桜たちは家へと戻った。
「で、ボコボコにして帰ってきたんですか?」
家に戻った桜は事を知った茜は呆れた顔をしながら言った。
「だって…乙女の…」
「どうせ胸のことを言われたんでしょ。まったく・・・」
そして、運命の結婚式を向かえる。
次回予告
桜「今回は時間の都合で短く・・・次回からタイトルがあの愛の歌になります。」
恋継「桜が愛?・・・ぷっ!!」
桜「どおおおりやああ!!」
恋継「ひでぶーーー!!!!」