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雲の上学園生徒会記録  作者: skyofnet
第2章『三月旅行』
23/119

23 銀色に舞う風

キャラメル店・伽羅女流

「おい!タコ!あの木刀いいのかよ!」


店でエヴァと店主が言い合っていた。


「かまわね。俺が持っていてももう仕方ない。」

「それに!あの木刀狙われてるんだろ!」

「大丈夫だろ。一応封印してある。」

「ずいぶん無責任だな。天下の五大妖怪一人、海坊主よ。」


店主はタバコを出し、すい始めた。


「そういえば、前に狼男のあれ、えっと、何つった?」

「鬼火狼だ。あの狼男種のしつこい奴だ。」








雪山

雪音の視線の先、大型の影。


「雪女種の出来損ない。雪音。さっきはしとめ損ねたが、依頼を達成させてもらおう」

「誰の依頼ですか?兄ですか?」

「それはいえねぇ。とにかくこれはビジネスだ。とっとと死んでもらう。」

「狼種も落ちたものね。依頼で殺しをするなんて。精霊が言っていたけど、狼種は誇り高いと聞いていたわ」

「どの種族にみ、はぐれ者とかいる。お前とかな。」

「そう・・・。でも私とあなたは違う。」


影は大きく笑う。

下品にガッハッハッハッハと笑う。


「何が違うって?」

「貴方は自ら落ちたのよ。」

「言ってくれるぜっ!!」


影が月に照らされた。姿は二足歩行する青白い狼。

かなり大きな格好をしており、突き出ている牙。後ろには長い青白い髪。


「鬼火狼。私もタダではやられない。」


雪音は両手をクロスさせた。恐らく戦闘の構えであろう。



桜は少しづつ近づく。

雪音と狼の戦闘が始まった。

桜にも会話は聞こえていたのでこれから恐らく常識を超えた戦いをするだろうと思った。




雪音はクロスしていた両手を広げた。それと同時に袖から氷柱が数本飛び出た。

氷柱は狼へと飛んでいく。

狼は避ける。避けつつ、近づいていく。

狼は恐らく近接攻撃が得意なのだろう。必死に避けながら近づいていく。


雪音の氷柱はすぐに弾切れとなった。



次は両手指で大きく輪を作り、その輪に向かって息を吹く。

すると、そこから大型の氷柱が出現する。

先ほどの氷柱とは段違いのスピードで飛んでいく。


今度は狼が避けることはできない。そう思った。

狼はよける。だが、完璧には避けることはできず、わずかにかする。


「・・・まさか、テメェ相手に傷を負うとはな。仕方ねぇ。」


狼は両手のひらを上へと上げた。

両手のひらから、青白い炎が出てきた。

その炎をお手玉のように、転がすと炎が三つになった。


「三つぐらいでいいな。」


その炎がどんどん形を変える。

一度、丸くなり、所々が出っ張ってき、最終的に四本足の小さな狼の形になった。

見た目は、青白い目がない狼になった。

その狼は一斉に雪音に向かって走り出す。


雪音は迎撃にでる。

数を打とうと思い、両手を広げ、小さい氷柱をたくさん飛ばす。

そのうちの数本が三匹のうちの一匹にあたる。一匹は炎に戻り消滅する。

だが、他の二匹の迎撃はできなかった。


(間に合わないっ!)


狼の牙が雪音を襲う。



ボォン!ボォン!


狼が雪音に届く前に、狼の口に雪球が投げ込まれる。

二匹は炎となり消滅した。


雪音は後ろを向いた。

そこには桜が立っていた。


「ども。」

「桜さん!なんでこんなとこに!」


雪音は心底驚いた顔をしていた。


「私、ここに来れないようにドアに結界をはったんですよ!」

「ん~、どうしてだろ?」

「まさか・・・妖力が・・・?」


「はっはは!見られちまったからには、テメェを殺さないといけねぇな!」


狼は大きく笑う。殺す相手が増え、喜んでいるようだ。


「桜さん・・・。巻き込んでしまいましたね・・・すみません」

「いや、私が望んでなったことだし。気にしないでよ。」


桜は狼に向かって構える。


狼は再び炎を出す。今度は5つ出した。

その炎は狼の形を形成し、襲ってきた。


「今度のは、雪玉くらいじゃあ、どうにもならないぜ!」


桜は手刀を構え、狼に振りかざす。

直撃し、狼は地面へ叩きつけられる。だが、狼は再び体勢を立て直し、襲ってきた。


(ダメだ!踏み込みが!)


桜は雪に足をとられ、うまく力をいれられない。さらに厚着をしているせいで、うまく腕が動かない。

足場さえしっかりとしていれば、おそらく一撃で炎に戻せただろう。


先ほどの一匹ともう一匹が襲ってきた。

桜は着ていたジャンパーを脱ぎ、それを狼の歯に噛ませた。

ジャンパーを自分の元へと引っ張り、それに食い込んだ狼も引き寄せ、今度は肘打ちをする。この動きならあまり踏み込まないので、大きなダメージを負わせることができた。

もう一匹にもどうように肘打ち。

二匹は炎となり消えた。


他の三匹も桜に向かってきたので、同様に片付けた。

そのせいでジャンパーはボロボロとなった。

今は上はフリースである。


「やっぱり、これは厚すぎだよね。・・・・でも寒っ!」

「桜さん。私がなんとかします」


雪音が桜に息をかけた。


「あれ?寒さが?」


桜の感じる温度が寒くなくなった。



「やるようだな。だが、悪いな。」


狼が指を上へとあげた。

その時、雪音の後ろで音がなった。


青白い炎が飛び出し、雪音に直撃した。


「かっ!!!」


雪音は少し避けたが、ほぼ直撃。横に吹き飛んだ。


「雪音さん!!」


桜がかけよる。

だが、狼は攻撃の手を止めなかった。


再び、青白い狼が二人を襲う。


(くっ!またさっきのを!)


桜の近くまで狼が襲ってきたところで、狼は炎となり、炎だけが桜を襲う。


(不味い!ここで避けたら、雪音さんにあたる!)


桜は雪音の盾となり、両腕を盾にしながら五発の炎をくらった。

あたった時、爆破をした。


「あっはははは!死んだか!人間!・・・・何っ!」


煙がはれたとき、桜は立っていた。


「人間!貴様なぜ立っていられる!防御したといえ、人間がくらえば・・・」

「ウチは鍛えてるからね。それより、そろそろ子分じゃなくて、直接やらない?」


狼は黙る。いままでの人間とは明らかに違う。そう思っていた。だから、近づくのは危険と思っていた。


「いやだね!」


再び、炎をだし、今度は狼の形にならず、直接桜に向けて飛ばす。


「桜さん!どいて!」


雪音が立ち上がり、手を広げ、氷柱を飛ばす。

炎にあたり、爆破を起こす。


「桜さん!今です!」


その声を聞き、桜は狼へと走る。

桜の制空圏に入った。


「人間がぁ!」



狼は爪を立て桜をかこうと振りかざす。


(見える!)


桜は完璧なまでに避ける。

狼との距離はほぼない。だが、桜は狼の動きを見て、避け、時には腕を掴む。

そして、


「せいっ!」

ボォォンッと音が鳴った。


桜は隙を見つけ、重心を安定させ、正拳突きを一発。


狼は飛ぶ。

背中から地面に落ち、まだ勢いがあり擦りながら後ろへと飛ぶ。


まだ、戦う気があるらしく、狼は起き上がる。


「こんな人間・・・なんかに・・・。ふぅぅざけるなあぁぁ!!!!」


狼は怒りだした。

妖怪ならまだしも、人間にこうも押されるのでは、プライドが許さないようだ。

狼は天に向かって吠え出した。

そして、狼は燃え出した。


まるでオーラをまとうように青白い炎が狼から出ている。


「さあ、仕切りなおしだ。いくぜ!」


狼が動く。桜は一切視線をそらすことなくそれに反応する。

狼の膝蹴り。それを防御するが


「爆ぜろ」


小さな爆発が膝から起きた。

爆発が小さかったのであまりダメージは負わなかったが、桜は怯む。

そこへ、狼はひっかく


さっきとは違い、少し遅れたため、桜は直撃をしなかったが、少し引掻かれた。

桜の脇から少量の血が出る。

その垂れた血は下の白い雪をポツポツ汚していく。


「桜さん!」

「大丈夫!かすっただけ。」


さらに狼の攻撃は続く。

一度、大きく跳躍して桜から離れた。


「もう終わりにしてやんよ。」


燃えた狼は自分の炎を解放し、いくつかの光線となって桜へと向かっていった。


「させません!“氷塊壁”」


桜の近くにいた雪音は氷の壁を建造した。

それにより光線を防ぐ。

だが、壁が次第に解けていく。光線が桜たち二人へと近づく。


「はっは!無駄だぜ!これは俺の体力をけっこう使うからな!それなりに強力だぜ!」

「やっぱり、今の私では・・・」


桜は今になって気づいた。

雪音の背中が血で汚れている。白い着物が血で汚れている。

さっき、攻撃を受けたときの傷だ。


雪音の作った壁が崩壊しかけている。


そして


青白い光は氷を突き破り、大きな爆発が起こった。





次回、決着編


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