2 学園の図書館
翌日。桜たち一行は昼休みに、図書館に集い、学校の七不思議について調べていた。
「桜~、そっちは見つかった?」
「ないよー!南は?」
「なぁいよぉ~」
三人はそれぞれ慣れない「調査」を行っていた。
この学校は金持ち学校なだけに図書館が広い。とにかく広い。
「だめだ~見つからないよ。」
三人はあきらめ、椅子で休憩をしていた。
「学校の歴史なんて本見つからないね」
三人は図書館で学校の歴史関係の書籍を探していた。
これだけの規模の学校の図書館ならば、学校の歴史を記した資料があるはず、と思い探していた。
だが、どう探しても見つからない。
南がパソコンで検索しても、七海と桜が図書館をグルグル回ってもまったく見つからない。
もしかしたら、学校の歴史関係の本なんて存在しないのかもしれない。
だが、手紙を出した主曰く、七不思議でイタズラをしている人がいるということは、その人物双方は、七不思議を知っているということになる。
どこで七不思議を知ったのか。
「いや、もしかしたら氷柱ならわかるかもしれない。」
急に桜が呟き、驚いた二人が振り向いた。
「急に言い出すから、驚いたよ。氷柱?まぁあのスーパー超人ならわからないことがないと思うし」
すると後ろから声がしてきた
「七不思議ですか?」
後ろに立っていたのは、長い黒髪をしたいわゆる清楚な感じの女性だった。
「あ、ごめんなさい。私は図書委員の薬師寺といいます。」
「ええっと薬師寺さんだっけ。七不思議を知っているの?」
「ええ、私もどういうわけか資料としてないのが不思議ですが、私は先輩づてで七不思議についてうかがってます。まず一つめが…」
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなり、昼休みが終わりを告げた。
図書館にいた生徒は立ち上がり、それぞれの教室へと歩き出した。
「ごめんなさい。お話したいのですが、授業がありますので、放課後でよろしいですか?」
そう言い、薬師寺はスタスタと教室へと戻っていった。
「私たちどうする?」
「サボるか?」
「じゃあぁ、学校の裏山へレッツゴー♪」
裏山
「ZZzzz……」
一人の少年が裏山の丘で寝ていた。この丘は学校が一望でき、昼は少年の寝場所。夜はカップルのスポットとなっている。
ちなみにこの裏山も雲の上学園の敷地内である。
この裏山へは教師の監視はこない。
学校、裏山を大きな塀で囲んでいるのが雲の上学園の敷地である。
「……でさぁ、そのお店のアイスクリームがねぇ」
桜たち三人が少年の寝ているところへ、会話をしながら近づいてきた。
「あ、識。いたの?」
識と呼ばれた少年はムクリと起き上がり、寝ぼけ眼で三人を見つめた。
「…桜…三馬鹿か。なんでこんなとこに…」
「あんたいいの?授業始まるよ」
そういい桜は時計を見せた。時刻を見た識は寝ぼけていた眼を大きく見開かせて、飛び上がった。
「やっべ!もうこんな時間か!寝すぎた!おい三馬鹿。またサボりか?」
「最低限の出席はしているからいいのよ。ホラ、遅刻しちゃうぞ」
桜がそう言うと識はいそいで山を降りていった。
「中嶋くん、私たちと違って真面目だよね。」
「勉強もできるし、スポーツもできるんだよねぇ。桜ちゃんと同じくらい運動面ではバケモノクラスなんだよね」
「私まで化け物言うな!」
ちょっと反撃をしようと、桜はニヤッとして意地悪く冗談を言ってみた
「あれ~。もしかして南、識にホの字かな?」
すると南はシラッ冷たい眼をし、
「いやいや、ないってないって。それなら七海ちゅんだよ。ね♪」
「ばっ!ちちちち違う!バカバカ」
普通ならこれだけ否定をすれば、真実はその逆であると思うのが常だが、この三人は恋愛に関する感がひどく鈍い。
「まぁ、そうだよね。識が誰かに好かれることがあったら逆立ちして校舎一周してもいいわ」
「桜ちゃんならそれ普通にできるよね。」
この東海林桜はどういうわけか、金持ちでスポーツ万能、頭はいまひとつという人間である。
この学校の金持ち生徒の大半はスポーツや運動をまったくしないので学内遠足を行うと翌日は筋肉痛になる人が大勢いる。
この南と七海も例外ではない。
特に生徒会長氷柱はかなり貧弱は部類に入る。
以前、桜たちが中学生の時、七海がバイクのひったくりにあい、その犯人を屋根を飛び越え追いかけ捕まえた一件。三人で下校しているとき銀行強盗の車に桜がぶつかり、放置自転車の鍵をぶっ壊し追いかけ鉄拳制裁した件。
この二件以降桜を「バケモノ」と呼んでいる。
桜も言われて本気で嫌がっているわけではないのであまり注意はしない。
「しっかし…やることないなぁ。P〇Pもってきた?」
「私今日忘れちゃったよぉ」
「あー、ごめん。昨日家の親父に取り上げられちゃった。」
「そっか、モ〇ハンのリオ〇イアを一緒に討伐してもらおうと思ったんだけどな。」
鞄から取り出したP〇Pをしぶしぶとしまう
「……」
「……」
「……」
三人はやることがみつからずその丘で寝てしまった。
放課後
1-7組から昼休みに丘で寝ていた中嶋識が生徒会室へ向かおうと、鞄を持ってでてきた。
中嶋識はいたって外見は普通の歳相応の少年である。
170くらいの身長
髪は長くもないし、短くもない。ちょっと髪を立てている。茶髪である
ただ家が恐ろしく貧乏なので家は今にも壊れそうというより、半壊している。
本人曰く親は中学生のときからいないらしい。
この学校へは特待生として学費免除の権利を得て入学した。
その識は氷柱から呼び出しをくらっていた。
巨大なエレベーターを上り生徒会室へつくと既に氷柱が会長机で仕事をしていた。
「氷柱さん。先生づてで呼び出しするのやめてくださいよ」
「あら、いつまでも携帯を買わない識くんがいけないのよ。プリケイ(プリペイド携帯)なら生徒会の経費で落ちるっていっているのに」
「携帯をもつことによって時間とかいろんなものに束縛されるのはいやなんです」
「じゃあ文句いわないで。」
この言い合いは氷柱が勝った。
識と氷柱は桜たちと同じ一年生である。が、なぜか識は氷柱に対して敬語を使う。
そして、氷柱は本題といわんばかりに書類を識に差し出した。
「……なんです。このすっごく怪しいのは」
氷柱が渡したのは桜の目安箱に入っていた依頼の紙である。
差出人不明。内容の不十分。これを見て怪しまない人はいないだろう。
「桜たちがそれを調べているのだけれどどうも心配だから、桜たちとは別ルートで調査してくれる?」
「調査ですか…。わかりました。けどいつもなら桜たち関連のことなら氷柱さんがやるのにどうして今回は俺にたのむんですか?」
言われると氷柱はフイッと横を向きどこか遠くを見ながら極力識に顔を見られないように話し出した。
「……おばけ………怖いから」
学校の見える丘
「ZZZzzz…」
三人は寝ていた。
トゥルルルル!トゥルルルル!
「うわっ!!!」
寝ていた桜がとびおき携帯を鞄の中から探し出し、手にとった
『桜ですか?茜です。』
「あ、茜さん。どうしたの?」
『今日は晩御飯のときでもよかったと思ったのですが、従兄弟の恋継さんが来週結婚式を桜の家で開きたいといってるのですが、』
「え!?…じゃあウチから電話するからいいよ」
『わかりました。なるべく早く電話してくださいね』
そう言って電話を終えた。
茜というのは東海林家の使用人である。これは次の次くらいの章で詳しく話そう。
恋継も同様に後に話そう。
桜は電話をきり、チラリと携帯の時計を見た。
「うわわあああぁぁぁぁ!!!起きろ!!二人とも!!」
桜は叫んで二人を起こした。
「おかあさぁぁん。あと五分だけぇ」
「親父…あとちょっとだけ…」
「二人して似たこというな」
とりあえず二人をビンタして叩き起こした
この時、時刻は4時30分であった。
今日図書館が閉まるのは4時45分。
次回予告
南「南でぇ~す」
七海「七海です」
南「今回はキャラ設定について少し説明しま~す」
七海「作者がヘタレ+国語能力が低いから誰が話しているかわからない時があると思うので軽く説明をするね」
南「私が話しているときは、小さい「ぇ」とか「ぉ」が入ったり、「~」をつけたりするよ」
七海「私は少し男気が混じってる話方だな。それか一人称を「私」と言ってる。」
南「桜ちゃんの一人称は「ウチ」だからなんとなく区別してね」
七海「じゃあとりあえずこんなとこで」
南「あ、待って。前回担当した氷柱ちゃんから伝言で、
感想を募集中!!!って」
七海「アクセスを解析したら意外と20人くらいは見てくれていたからね」
南「そんなわけで、よろしくねぇ!」
七海「バイバ~イ。次回は識と桜!」